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私は趣味でピアノを練習し、たまにコンサートに行くファンです。コンサートのプログラムには、ピアニストが誰それに師事したということがくわしく書かれていますが、今まではそのことの重要性を理解していませんでした。この本にはその師弟関係が何代にもわたってさかのぼって書かれていて、あらためてピアノ芸術の歴史の奥深さに感銘を受けました。ブーニンを生んだネイガウス家の話、山口県のコルトーの島の話など、人間臭いこぼれ話もたくさんあります。もっとピアニストに詳しくなればもっと楽しめることでしょう。昔のCDをいろいろ聞きながら時々読み返したいと思います。
古くはショーンバーグの“ピアノ音楽の巨匠たち”、あらえびすの“名曲決定盤”、最近だと吉澤ヴィルヘルムの”ピアニストガイド”、門田純の“ラフマニノフ”といった類書に比べると内容が乏しい。悪くいうとライナーノーツやリサイタルプログラムの寄せ集めとデータ化。“こういう経歴のこういうピアニストがいます。”という内容にとどまっている。“聴いてみたらどうだった。私はこう思う。だから好きだ(嫌いだ)”という活きた情報と著者の思い入れがほとんど(というか全く)ない。評論家の思い入れというのしばしばはうざいものだが、量的に充実した仕事の上であれば充分許せると思う。先にあげた著書は内容の充実度に加え、著者と一杯の飲みたいな的な気分にさせられるのだが…。
値段も安くないので星はふたつです。