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将校(人間)は4種に分類することができる。
「利口で勤勉な者」…マジメ君なので高級幹部に向いている。
「馬鹿で怠け者」…90%はこの種に属しており、ありきたりの任務に就かせればいい。
「利口で怠け者」…この種の人間は一旦緩急あらば、あらゆる状況に対処できる能力(度胸)が備わっているので最高司令部の指揮官に向いている。
「馬鹿で勤勉な者」…最悪で危険な人物。即刻放逐すべし。
以上はハマーシュタインが考え出した軍人(将校)の分類法(ハマーシュタイン自身は「利口で怠け者」の部類に入ります)なのですが、企業にもこれは大いに当て嵌まるのではないかと思います。
「利口な怠け者」ハマーシュタインに惹かれて一気に読みました。一家族のメンバーを軸にしながらナチ時代を描き出す文章は、ハマーシュタインその人の考え方のようにとてもクリア。
後の時代の人間が語っていいことと悪いこと、事実として語ることとフィクションとして語ることの区別に、気づかいが行き届いているからこそだと思います。
語る焦点が絞られていて、そのために状況が丁寧に拾われる。でもひとつひとつのエピソードは、総論に利用される材料ではなく、できるだけ元のまま取り入れられて個別に生きている・・・そういう印象を受けました。ハマーシュタイン家で、家族の誰かの決断が理由を問われることなくそのまま受け入れられたように。
あるがままということは、単純化されずに複雑なままということでもあります。この本も、明快ですが、要約することが意味をなさない点で複雑。
複雑さを切り捨てずに現実を理解する、ということがこの本の焦点のひとつだからなのでしょうか。
ただ現実はあまりにも多くの要素が錯綜しながら同時進行していて、その複雑さに誰もが耐えられるわけではないはず。当時のドイツの人々が「極端なものへの逃避」に誘われたように。
逆にハマーシュタインが「クリアな精神と強い神経」で時代を正確に見抜いていたのは、自分が理解できるように現実を単純化しないでいられるほど明晰な、真のエリートだったから?
ナチへの加担は断固拒否したけれど、他の何かに加担することもなかった彼は、寡黙でした。「伝えてほしい。――いや、もうなにもない。これ以上は約束できないからね」・・・複雑さを抱え込むことができると、語れることが少なくなるのかもしれません。
でも、彼と同じく複雑さを承知している作者の結びの言葉は「誰もが、作家もその例外ではないが、最善をつくせばいいのだ」。自分なりに最善をつくして読んだ私は、最善をつくすことの価値が少しわかった気がします。