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  • 空気の検閲 大日本帝国の表現規制 (光文社新書)

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空気の検閲 大日本帝国の表現規制 (光文社新書)

5つ星のうち4.3 (60)

【繰り返される 忖度の歴史 その源を探る】

◎内容紹介

絶対悪の代名詞「検閲」。しかしその実態は?
ブラック労働的なその現場、エロ本評論家と化す検閲官、検閲官とマスコミの驚くべき一体ぶり、
植民地における検閲の実情、検閲の対象となるメディアの広がり、官僚的セクショナリズムによる検閲の暴走、
法外の手段を用いた非正規の検閲と、忖度による自主規制、世間との共振……。
1928年~1945年のエロ・グロ・ナンセンスから日中戦争・太平洋戦争時代まで、
大日本帝国期の資料を丹念に追いながら、一言では言い尽くすことのできない、摩訶不思議な検閲の世界に迫っていく。

◎目次

はじめに

第一部 検閲の動揺

第一章 エロ・グロ・ナンセンス対検閲官(一九二八〜一九三一年)
検閲官は淫本の評論家?/
検閲官は「閲覧地獄」で神経衰弱/
伏字をめぐる検閲官と編集者の駆け引き/
検閲体制を裏から支えた便宜処分/etc.

第二章 世間と共振する検閲(一九三二〜一九三六年)
ミリとテロの時代へ/
検閲体制を支えた記事差止の効果/
日米戦争の小説は「戦争誘発」扱い/
「世間が動かされるから動かざるを得ない」/etc.

第二部 広がる検閲網

第三章 植民地の独立運動を抑圧せよ(台湾、朝鮮)
内地より厳しかった植民地の検閲/
台湾の検閲官、熱心に淫本を筆写する/
ガンジーやネルーの反英運動は「民族自決を高調」/
痕跡を残さない植民地の検閲/etc.

第四章 聴く検閲、観る検閲(脚本、映画、放送、レコード)
谷崎潤一郎が描いた「検閲官」 /
逓信省の縄張りだった放送検閲/
レコード検閲係はたった二名/
素人評論家による「高度な検閲」 /etc.

第三部 戦争と検閲

第五章 日中戦争と忖度の活用(一九三七〜一九四一年)
記事指導・内面指導の拡大へ/
不利益を被った地方紙・業界紙/
セクショナリズムの横行/
情報局の発足と内務省検閲課の誕生/etc.

第六章 太平洋戦争と軍部の介入(一九四一〜一九四五年)
ポジとしての大本営発表/
帝国日本の検閲体制とは何だったのか/
正規の検閲と非正規の検閲/
来たるべき「システムの検閲」?/etc.

あとがき
主要参考文献

◎著者プロフィール
辻田真佐憲(つじたまさのり)
1984 年大阪府生まれ。作家、近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院文学研究科中退。
2012年より文筆専業となり、政治と文化芸術の関係を中心に、広く執筆活動を続けている。
単著に『文部省の研究』(文春新書)、『大本営発表』『ふしぎな君が代』『日本の軍歌』(以上、幻冬舎新書)、
『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)、『愛国とレコード』(えにし書房)などがある。
また監修に『日本の軍歌アーカイブス』(ビクターエンタテインメント)、『出征兵士を送る歌 これが軍歌だ! 』(キングレコード)、
『満洲帝国ビジュアル大全』(洋泉社)などがある。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 光文社
  • 発売日 ‏ : ‎ 2018/3/15
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 本の長さ ‏ : ‎ 312ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4334043445
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4334043445
  • 商品の重量 ‏ : ‎ 200 g
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.7 x 1.4 x 17.2 cm
  • Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 669,974位 (本の売れ筋ランキングを見る)
  • カスタマーレビュー:
    5つ星のうち4.3 (60)

著者について

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辻田 真佐憲
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1984年、大阪府生まれ。評論家・近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。政治と文化芸術の関係を主なテーマに、著述、調査、評論、レビュー、インタビューなどを幅広く手がけている。単著に『「戦前」の正体』(講談社現代新書)、『防衛省の研究』(朝日新書)、『超空気支配社会』(文春新書)、『大本営発表』(幻冬舎新書)、共著に『教養としての歴史問題』(東洋経済新報社)、『新プロパガンダ論』(ゲンロン)、監修書に『満洲帝国ビジュアル大全』(洋泉社)、共編書に『文藝春秋が見た戦争と日本人』(文藝春秋)などがある。

カスタマーレビュー

星5つ中4.3つ
60グローバルレーティング

日本からのトップレビュー

  • 星5つ中5つ
    検閲の実態をわかりやすく解説
    2025年7月30日に日本でレビュー済み
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    戦時下に行われた、書籍、映画、レコードなどの、さまざまな検閲について述べている。これまであまり知ることのなかった検閲の流れ、方法、そして検閲体制、検閲官の実態について理解することができ、おすすめである。わかりやすい解説で、筆者の他の書籍も、ぜひ読んでみたい。

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  • 星5つ中4つ
    読む価値があります
    2018年3月31日に日本でレビュー済み
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    大日本帝国における検閲体制を「空気の検閲」と称し、その

    内実を語ります。

    従来の著作の延長にあるテーマですが、この著者にしては、

    作品としての纏まりを欠いている気が、しないでもありませ

    んでした。

    前半では、「出版警察報」の事例を豊富に紹介することで、

    著者自身が面白がっていることが判ります。

    しかしながら、風俗壊乱の引用例が次から次へと続くところ

    等には、辟易とさせられました。

    一方では、小林秀雄の『文藝春秋』に載せた紀行文のように、

    その慰安所に関する記述が、全集や国立国会図書館の『文藝

    春秋』には無いので、今では貴重なものとなった、「出版警

    察報」の引用箇所が開示されている処などは流石です。

    人員体制に限りがあり、規制する法令も継ぎ接ぎだらけであ

    り、管轄部局によるセクショナリズムがある状況下における、

    発行者の自主規制を促す、「空気の検閲」体制の発達史は理

    解出来ました。

    その正規の検閲体制すらが、特高警察、憲兵、陸軍による非

    正規検閲により、食いつぶされて行ったことも含めて、国家

    による統制ではなく、日本的な空気による支配の代表例を見

    る思いでした。

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  • 星5つ中5つ
    右とか左とか、そんなことはいいから読んで欲しい
    2018年5月6日に日本でレビュー済み
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    「検閲」「大日本帝國」、帯には「忖度」の文字。

    一瞬、最近流行の現政権批判かなと思いがちですが、

    中身はまったくそんなことはありませんでした!

    当時の検閲官たちのブラックな仕事環境や、

    エログロ小説の引用に笑ってしまったり、

    けれど、知らず知らずのうちに検閲がまかり通ってしまう世の中の怖さなど、

    軽快な語り口に、するすると最後まで読めてしまいました。

    どうせ政治本でしょと思うと、思わぬ収穫がある一冊です。

    次は個人的に思ったことです。

    著者の方も最後に語っていらっしゃいますが、

    こういった趣向の書籍の感想や、政治を語ろうとすると、

    「あなたは今の政権に賛成なの?反対なの?」と、

    極論でしか言葉が言えない世の中になってしまった気がします。

    その点で、辻田さんはとてもフラットな視線でこの本を書かれているんだなと思いました。

    気が滅入るような過去の歴史は苦手という方や、

    今のご時世に辟易という方に、

    あえておすすめの1冊だと思います。

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  • 星5つ中4つ
    大日本帝国における検閲の実態
    2018年3月19日に日本でレビュー済み
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    大日本帝国時代の表現規制として、比較的資料が残っているという1928年から1945年までの検閲体制と、

    検閲の実際をまとめた本です。

    帝国時代の検閲の特徴として「表現者側に自主規制させることで事実上の事前検閲を強いていた」というのが本論だと思いますが、

    まとめ方がちょっとアッサリしすぎている印象。

    帯の「繰り返される忖度の歴史その源を探る」はそういう部分も確かにありますが、

    時流に乗っかった過大な表現に感じました。

    実際の事例紹介としてはなかなか面白い本だと思います。

    属人的で曖昧な検閲基準。謎の批評眼を披露する検閲官。

    伏字や外国語などを用いてギリギリのラインを狙う駆け引き。

    生き残るため積極的に自主検閲に協力していた新聞メディア。

    その結果、戦中軍部の介入に対して検閲当局である内務省を味方のように感じてしまう新聞社。

    今から見れば滑稽に思えるところもありますが、現代に復活されたりしたら笑えない内容ではあります。

    最後に思考実験としてAIを使ったシステム的な検閲に触れているのも印象的でした。

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  • 星5つ中4つ
    内務省とメディアが作り上げた検閲システム
    2018年7月27日に日本でレビュー済み
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    戦前のメディア検閲について、われわれは「検閲=発禁」みたいなイメージを持ちがちだ。発禁のスタンプをボンと押す感じ。しかし、出すたび出すたび発禁命令→回収では、大メディアも大損になってしまう。事前に内務省や特高に持ち込んで相談し、ヤバい記述をセーフになるように消したり書き換えたりしていた。「言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家 (中公新書)」など、近年の戦前メディア研究を踏まえ昭和初期の検閲史の全容を論じている。

    発行前の検閲は、内務省側にもメリットがある。検閲を担当する内務省図書課の人数は庶務も入れ60~70人。これで全国の本や全国紙をチェックするので、神経衰弱休職者が続出したという。その上、発禁・差押も法に基づく行政命令なので、面倒な手続きが必要だ。事前検閲ならヤバい表現を出版側から教えてもらえるし、法手続の手間がかからない。

    検閲対象には、共産主義宣伝や国家体制批判の「安寧秩序紊乱」と、エログロ表現の「風俗紊乱」の2つがあった。「軍国主義だし、そんなエロエロ表現ないんじゃない」と思っていたが、無修正華やかなりし現代と違い、「素裸にされて両手を後ろに括しあげ殴打…」とフランス書院級のエロ記述が乱れ飛んで面白い。一方、安寧秩序の方は、軍国主義強まる世論と右翼イデオローグの「不敬」に煽られ、30年代後半どんどん厳しくなった。オカルトファンにはおなじみの竹内文書や大本教も「不敬」で発禁処分を喰らっている。検閲官のインタビュー記事も多く引用されていて、映画検閲官の「海を見たら要塞地帯と思え」という格言が妙にツボにはまる。

    日中戦争で戦時色が濃くなると、内務省とメディアの阿吽の呼吸でボーダーラインを作っていた検閲に、軍部が介入してくる。内務省検閲は建前上、事後検閲だったが、軍事ニュースは事前許可。検閲にも基準があり内務省を通す建前なのが、陸軍報道部は勝手な検閲をやり始めたことで、検閲権限を巡って両者は対立してしまう。

    朝日の中野正剛論文を巡る経緯が面白い。朝日は元旦に、東条英機をあてこする「戦時宰相論」を掲載する。内務省はゲラ段階では許可していたが、東条が紙面を読んで発禁を命じたという。朝日もいったん出た許可が撤回されるのは納得いかないが、官邸に許可をひっくり返された内務省の面子も丸つぶれである。内務省はせめての抵抗として、朝刊を配り終わる午後近くまで発禁命令を出さず新聞に拍手された。ほかにも「竹槍事件」「横浜事件」など、戦時は陸軍・官邸の口出しや無権限の検閲が横行した。また、植民地の検閲は総督府管轄で、とうとう終戦まで日本には統一した検閲システムが存在しなかった。

    読み物として楽しめ、かつ強権一辺倒な検閲のイメージを転換させる本の作りで今にも通じる行政の問題点も指摘する本である。

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  • 星5つ中5つ
    「検閲」は国家権力の妄想を映し出す鏡であること
    2018年8月23日に日本でレビュー済み
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    著者は1984年生まれの作家・近現代史研究家であり、軍歌、大本営発表などアカデミックな歴史家があまり取り上げない興味深いテーマに取り組み、多くの著書を刊行している。本書は大日本帝国における検閲をテーマにしている。分析手法は実証的で、多くの史料を駆使しながら、戦前における検閲を活き活きと再現している。大日本帝国に限らず、国家権力にはタブーにしたい分野がある。歴史的に見ればそれは妄想に過ぎないのだが、「検閲」は国家権力の妄想を映し出す鏡であることをあらためて痛感した。

    本書で取り上げているのは、昭和初期から敗戦までの検閲である。対象は、新聞、雑誌、書籍、ラジオ放送、音楽、映画、演劇などあらゆるメディアに及ぶ。専門の「検閲官」が隈なく調査し、問題があれば削除や出版禁止などを求めた。要は国民の自由な意見表出と流布を極度に恐れていたのである。

    本書によれば、昭和初期は性的表現(エロ・グロ・ナンセンス)、戦争直前は天皇への冒涜や共産主義運動、戦争期には日本兵の残虐行為や戦況報道などが検閲対象とされ、国内だけでなく植民地(台湾・朝鮮)でも内地より厳しく検閲が行われたという。著者が、エロ・グロ・ナンセンス本を目を皿にして読み込む検閲官を揶揄しているように、膨大な人員を投入して行う検閲は、一面で滑稽でもある。

    著者は、曖昧な法律だけで個別の審査を行う戦前の検閲を「空気の検閲」と名付けている。検閲官が国家から求められていることを「忖度」しながら行うことを意味している。言い得て妙である。山本七平がかつて『「空気」の研究』(文春文庫)で明らかにしたように、戦前の日本は社会の隅々まで「空気を読む」ことを強いられていたのである。

    最近のモリカケ疑惑が露わにしたように、「空気を読む」悪しき伝統は現在の日本にも生きている。戦前は「天皇制官僚主権国家」が「空気を読む」ことを国民に強いたが、最近は官僚の人事支配権を背景とした安倍政権が「空気を読む」ことを官僚に強いている。そればかりか、マスコミや地方自治体までが競って「空気を読み」、安倍政権の批判を自ら封じている。表現の自由を妨げるような国がどのような行く末を辿るか、73年前の敗戦で学んだはずであるが、安倍政権には全く馬耳東風のようだ。

    本書が明らかにしたように、検閲対象に天皇批判や共産主義運動だけでなく、性的表現も含まれることが興味深い。全体主義国家は、「性」を家族の再生産(戦争の消耗品としての兵士と納税者としての勤労者)にのみ閉じ込め、それ以外の「濫用」を極度に嫌ったのである。公娼制度や慰安婦制度も国家が性を管理しようとする現れである。現在の極右派が家族主義を主張し、女性には何よりも子供を産むことを求めることと通底している。ごく最近も自民党の国会議員が、子供を産めないことを「生産性がない」と発言して批判を浴びたばかりである。戦前の検閲には「国家による性の管理」という妄想が刻印され、その遺伝子は現在の極右派が引き継いでいるようだ。

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  • 星5つ中5つ
    検閲はただ恐ろしいと言うだけではない。
    2018年12月16日に日本でレビュー済み
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    もともとライムスター宇多丸さんのラジオ特集で作者を紹介され興味を持った。

    よく調べ上げていて、戦争中の検閲と言うとただ思想を取り締まる恐ろしいというだけでは無かったと言うことが理解できた。

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  • 星5つ中4つ
    検閲の実際から学ぶことは多かった
    2019年2月1日に日本でレビュー済み
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     戦前から戦中の検閲を振り返る。

     内務省による検閲は決して機械的なものではなかった。政治的なものから風俗的なものまで多岐に渡り、そのやり取りは時にユーモラスでさえあった。同時に、決して豊富な人手がない状態ではあの手この手で出版側の自主検閲を促すシステムも機能していた。

     戦時中もは軍部が内務省の検閲に横やりを入れることもあったことはメモ。

     検閲というと厳しい役人が非情な権力を持って断行しているというイメージがあったが、実際はそうではなかった。上からの言論統制という単純なものではなく、空気的なものも重要である。

     検閲の実際から学ぶことは多かった。

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