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リスク、不確実性、利潤 (単行本)
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- 本の長さ528ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2021/8/2
- 寸法13.7 x 3.3 x 19.4 cm
- ISBN-104480867333
- ISBN-13978-4480867339
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商品の説明
著者について
桂木隆夫(かつらぎ・たかお)1951年生まれ。法哲学および公共哲学専攻。学習院大学教授。日本法哲学会理事。主な著書に、『自由と懐疑、ヒューム法哲学の構造とその生成』(木鐸社)、『市場経済の哲学』(創文社)、『自由とはなんだろう』(朝日新聞社)、『ことばと共生』(三元社)などがある。
佐藤方宣(さとう・まさのぶ) 1969年生まれ。経済学史専攻。慶應義塾大学経済学部卒、同大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。現在、関西大学経済学部教授。主な共編著に『ビジネス倫理の論じ方』(ナカニシヤ出版)などがある。
太子堂正称(たいしどう・まさのり)1974年生まれ。経済哲学・社会思想史専攻。慶應義塾大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、東洋大学経済学部准教授。主な共編著に、『ハイエクを読む』(共著、ナカニシヤ出版)、『経済思想の中の貧困・福祉』(共著、ミネルヴァ書房)などがある。
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房
- 発売日 : 2021/8/2
- 言語 : 日本語
- 本の長さ : 528ページ
- ISBN-10 : 4480867333
- ISBN-13 : 978-4480867339
- 商品の重量 : 700 g
- 寸法 : 13.7 x 3.3 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 163,711位 (本の売れ筋ランキングを見る)
- 経済思想・経済学説 (本) - 194位
- その他の地域の世界経済関連書籍 - 598位
- 経済学 (本) - 840位
- カスタマーレビュー:
著者について

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カスタマーレビュー
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日本からのトップレビュー
- 星5つ中5つ
こういうと著者には失礼かもしれないが
2025年8月14日に日本でレビュー済み今やっと第3部に入ったところです。やっと面白くなってきた。皆さんがもしこの本を読まれるなら第3部から始められるのがいいかなと。その後で興味がれば第1部とか第2部に進まれたらと思います。この辺はちっとも面白くないし、理屈っぽくすぎる。
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私どものバイブル
2024年12月6日に日本でレビュー済み経営者のお給料が高いのは、世の中の不確実さを右とか左とかやって
上手に操縦して予想通りに落ち着かせるから
これは不確実性をいかに既知の未来として通常の状態にして会社運営をするかということで当社のバイブル
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満足度高し。
2024年10月16日に日本でレビュー済み綺麗な本だった。包装も丁寧。
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市場経済における不確実性、企業家と利潤、不確実性の下での意思決定
2025年2月17日に日本でレビュー済みナイトが経済学の分野で高い評価を得ている、という印象はあまり受けない。それでもナイトの名前が広く知られているのは、ブラックマンデーやリーマン危機など株式市場の暴落が起こる度に、ナイトの不確実性の議論が引用されるからだろう。確かに、こうした市場イベントは、株式市場の本質がリスク(統計的確率)の支配する市場ではなく、不確実性が支配する市場であることを思い起こさせてくれる。しかし、本書からは改めてナイトの理論の革新性とともに、彼の深い洞察と思慮に感銘を受けるだろう。
『リスク、不確実性、利潤』は、1921年に刊行され、市場経済における不確実性を基礎に経済学の再構築を試みる。当時の不安定な市場状況に対し、古典派経済学の限界を指摘し、不確実性を受け入れた新たな経済理論を提示したのだ。
ナイトは、現実の市場経済は本質的に高い不確実性を前提として機能していると指摘する。生産活動を例にとれば、生産に必要な資源の調達と生産された製品の販売には時間差があり、販売時点の市場での製品需給や価格などは調達時点での想定とは大きく異なることもあり得る。消費者の行動や嗜好の変化の動向もまた不確実である。ここで彼が強調する「不確実性」は、統計的な確率モデルでは予測不可能な事象を指しており、この考え方は古典派の均衡論を揺るがすものだった。
ナイトが構想する不確実性に基礎を置く経済学は、不確実性を受け入れ事業活動を実行する主体となる企業家、そして企業家を動機付ける利潤に着目する。企業家は、労働者には賃金、設備や材料の提供者には代金、資金提供者には利子を保証しながら、最終的に残る利潤を得る存在である。この利潤は不確実性のもとでプラスにもマイナスにもなり、経済全体での総額は傾向としてマイナスであったとしても、成功した場合には企業家に大きな利益をもたらす。企業家は、このような利潤が持つ特性を選好するリスク許容的ないしリスク愛好的な主体とされる。このモデルにおいて、企業家は主体性を持つ唯一のアクターであり、その行動原則は経済的合理性ではなくリスク選好の特性によって特徴付けられる。
それでは、不確実性の下で企業家はどのように意思決定を行うのであろうか。人間の能力に限界があることを前提とすれば、不確実性の下で無限の選択肢が存在する中では人間が合理的な意思決定を行うことは到底不可能である、とナイトは指摘する。このような限定された合理性を持つ企業家が不確実性に対処する方法は、経験の集合化によって不確実性を減少させることである。企業家はこのような意思決定戦略をより有効に機能させるために、組織による分業と専門化を活用し、事業の規模拡大や分散によって不確実性の影響を管理しようとするのだ。このような企業家による不確実性下での意思決定や組織化を通じた不確実性への対処などは、ハーバード・A・サイモンによる限定合理性や経営組織における意思決定の研究につながる着想とも言える。
一方で、このような利潤を求める企業家の投機的な動機に基づく市場原理と道徳原理とを統合し得る哲学を形成することは困難である、ともナイトは指摘する。ナイトは、市場経済の現実と自身が抱く道徳観との対立を強く自覚しているのである。
自由経済の下で企業家が主体的に活動する自由を与えられる一方で、労働者の置かれる状況については、ナイトは強い憂慮を示す。それは「自由」(個人にとっての選択の範囲、ある意味で能力と同義)と「契約の自由」(自己が所有するものの処分において形式的な制約がないこと)が混同されていることであり、現実の社会では「自由」ではなく「契約の自由」のみが擁護されている、と批判している。「契約の自由」の下では、所有する物を持たない者はいかなる能力も持ち得ない(自由を売り渡すしか生きる術がない)のである。
人が社会に参加するまでの訓練と教育を家庭が担う私的家族制度の下では、真の機会平等は実現し得ない以上、機会平等を根拠として競争の結果によるいかなる格差も是認する能力主義(自己責任論)の正当性もまた成り立ち得ない。しかし、格差は際限無く拡大している。ナイトはそうした問題や矛盾を指摘しながらも、社会の持続性を考慮すれば、社会秩序の基盤である私有財産制や家族制度などの改造については「慎重かつ謙虚であるべき」との言葉で本書を終えている。
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企業家の条件は、不確実性に挑むこと
2021年10月2日に日本でレビュー済みナイトとは何者なのか、ナイトの経済学の概略、そして本書の概略は、訳者解説などとして説明があるのが通例だが、本書の解説は「序文について」という桂木隆夫氏の論文になっている。本書の序文は初版の1921年のもので、論文は1933年、1948年、1957年の序文についての解説となっている。それぞれその年の経済情勢を反映した内容で、ナイト経済学の概要を示している。ちなみに、どの版も本文は同じである。
しかし、私のような門外漢にはナイトについての基本情報が欲しいところである。調べたので老婆心ながら書き留めておく(ウィキペディア;フランク・ナイト)。
・1885年生まれ、1972年86歳で死亡。
・ノーベル経済学賞を多く輩出しているシカゴ学派の第一世代。
・道徳哲学に裏付けられた自由主義(アダム・スミスも同じだと思うのですが)
・シカゴ学派第二世代のミルトン・フリードマン、ジョージ・スティグラーの新自由主義的な言動に怒り、自分の教えを受けたと言うなと、彼らを破門した。
・リスクと不確実性を区別し、不確実性を3つに分類した。
・アメリカの原子爆弾投下に反対し、広島の原爆で両親を失った少女を養子とした。
1.リスクと不確実性の区分
リスクとは、測定可能な不確実性のことであり、一般にこの意味で使われている。ナイトが主張する不確実性は、測定不可能な不確実性のことである。このリスクと不確実性の区別ばかりでなく、冒頭には本書を要約するかのように、以下のように記されている。
「不確実性は、リスクというよく知られた観念とある意味で根本的に区別されねばならない。....「リスク」という用語は、日常生活でも経済的議論でも厳密でないかたちで用いられているが、経済組織の現象の因果的関係において、実は機能的には少なくとも異なる範疇の二つのものをカバーしている。....本質的なことは、「リスク」はある場合には測定が可能な量を意味するが、他の場合にはこの性質をまったくもたないということである。そしてこの二つのうちのどちらが実際に存在し作用しているかによって、その現象の意義について広範かつ重要な違いが生じるのである。....測定可能な不確実性とは、これから用いる言い方では正しくは「リスク」だが、それは測定不可能な不確実性とはまったく異なるものであり、実際、それは不確実性ではないということだ。したがって、われわれは「不確実性」という用語を非数量的なタイプの事例に限定するだろう。リスクではなくこの「真の」不確実性こそが、これまで論じてきたように、利潤の正当な理論の基礎をなし、現実の競争と理論的なそれとの間の違いを説明するものである、(p.42-3)」
2.不確実性の3タイプ
通常の使い方として、リスクは不確実性も含んでいるが、ナイトは不確実性の中にリスクを含め、次のように3分類とした(p.299-300)。
1. アプリオリな確率:この確率判断は、数学的命題と同じ論理的土俵にある。(先験的な確率、計算可能なもともとのリスクなどと呼んでいるものだろう。サイコロの6面は確率的に等質である。)
2. 統計的確率:諸性質の間の結びつきの頻度についての経験的評価である。(経験的に集めたデータから計算した確率。われわれがリスト計算などと言っているものだろう。サイコロを振って、1,2,3,4,5,6がそれぞれ16.66%の確率で出現することを測定すること。)
3. 評価:事例を分類するいかなる妥当な根拠も存在しない。(これがナイトのいう不確実性。実際に何らかの確率計算を行くことは不可能であり、主観的に評価せざるを得ず、間違いを犯すことがある。神はサイコロを振らない。)
ナイトは、不確実性の議論から人間は間違いを犯す存在であることをベースに考察し、経済学が前提とする抽象的な合理的経済人を否定している。現在の行動経済学の先駆と言えるようにも思う。「人間は多くの利益を得ようとして少しのリスクを惜しまない。だが他方で人間は、少ない利益を実際上確実に得るために、大負けするチャンスを少しでも負おうとはしない、たとえ統計上のチャンスは彼に有利であるとしても。(p.312)」など、カーネマンのプロスペクト理論を思い起こさせる。
3.経営者の報酬
次に、不確実性があっても決断し、その責任をとる人間の所得は、通常の賃金とは異なる範疇の所得であり、それを利潤と呼ぶべきだとナイトは主張する。
「そうした人たちの義務はルーティンなものであり、他の業務の場合と重要な点で異なるものではない。....しかしながら、経営的機能が誤りの責任をともなう判断の行使を要求し、その結果、彼が判断の正しさに対して責任を持つという想定が他のメンバーを彼の指示に従わせる前提条件となる場合は、経営者の機能は革命的に変化する。経営者は企業家になるのである。彼はもちろん、典型的に見られるように、これまでの機械的でルーティンな役割を果たし続け、これまで通りの賃金を受け取るだろうが、それに加えて責任ある決定を下すのであり、彼の収入には通常、賃金に加えて、経済理論で「利潤」と呼ばれる純粋に異なった要素が含まれるのである。(p.361-2)」とあり、ルーティンに乗っているだけの経営者が高額の報酬を受け取ることは不当であるということになる。不確実性に挑むことが、経営者であることを許す条件なのである。
今後、自然科学では予測できない不確実性がますます注目されるようになるだろう(ベック『リスク社会―新しい近代への道』など)。その時、ナイトが100年前に残してくれた本書が、きっと役立ってくれるに違いない。
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