ドタキャンで結婚破棄された私、父の力で結婚式場を使えなくしたため私を捨てたクソ野郎は結婚式を挙げられない!〜他人を利用して復讐することに快感を覚えてしまった件〜
「ごめん......君とは結婚できない...かもしれない...。」
「はっ?......ふざけてんの...?」
私、エマ=スチュアートは、この瞬間人生最大の屈辱を味わっていた。
白い薔薇を思わせる純白の壁に、正面には大きな十字架まである。そう、言わずもがな知られている結婚式場の景色。席には黒いスーツに身を包んだ大柄な大人もいれば、光り輝く真珠のネックレスを首からかけているお婆さんまでいた。
先程までは全員が狂ったように私達に拍手をしてくれたがーー。
今ではそれに似合うことのない祝福とは別の感情を抱いた視線が飛んでくる。
「えっ.....え?......け、結婚できないってどういうことよ...?」
私は両拳を手から血が出てしまうほどに握りしめ、怒りを我慢するかのように身体をワナワナと震わせる。そんな私が鋭い目つきで見つめる先にいるのが、白いタキシードを着ている青年。
言わずもがな、コイツが私の結婚相手であるロビンソン=サーヴェリンス。
「あっ......あぁ。」
彼は私からの問いに力無く答えるが、それを私は間髪入れずに次の言葉を言い放つ。
「な、なんで!?......もしかして、浮気?......浮気してたの!?」
「そ.....そういうわけじゃあ...。」
「じゃあ何よッ!?」
私の怒号に彼を含んだ全員が黙り込む。晴れやかだった空間は一転し、地獄のような殺伐とした雰囲気に早変わり。
まさか...このままフルシカト...?
そう思われたが、急に席の方からコツコツと靴の音が響いて来た。
「ふふ〜ん♪...ロビン、どうしたの〜?」
会場が騒然として、あまりにも場違いな声が聞こえた方角へと目を向ける。すると、そこには長いピンク髪を後ろに流した、私と同じ年頃の女がいた。
普通ならここで注意して終わるものの、私は彼女の格好を見て言葉が出なくなる。
「め、エミリー...?......あ、アンタ...その格好は...?」
私はこうして彼女の名を呟く。
エミリー=ミントレス、確かに彼女は私と同じ歳...すなわち、同い年だ。そして、幼い頃に親しかった幼馴染という存在でもある。
「あっ♪....どうしたの、エマ?」
「ど、どうしたのじゃないッ!! ......な、なんでーー。」
その瞬間、私の怒りがダムが決壊したかの如く一気に溢れ出した。
「ーーなんで、アンタがウェディングドレスを着ているのよ!?」
私が咆哮した先にはやや紫がかったウェディングに彩られたエミリーが立っていた。
「う......うるさ...。」
「な、なんで...?」
呆然として立ち尽くす私。気のせいか視界が渦を巻くように乱れて見え、吐きそうなほど気持ち悪くなってしまう。
「『なんで?』ですって?...」
エミリーはそこまで言うと、何かをもったいぶるかのように軽快なステップを踏む。一歩一歩踏み締める先には私の婚約者...ロビンソンがいた。
「う、嘘...」
そのままの勢いでエミリーはーー
「ただいま! ダーリン、愛してる!」
ロビンソンの厚く、筋肉質な胸元へと飛び込んだ。
「...おかえり、エミリー...。」
「もう〜...時間かけすぎ!」
「ごめんごめん...けど、このタイミングがベストだったんだ。」
他人の結婚式だというのに、目の前でイチャつきだす2人に私は憎悪と怒りが腹の内から湧いてくる。
(いや...もう、私の結婚式は......)
私がこの後の展開を想像して色々と覚悟する中、ロビンソンが私の顔を恐る恐る覗き込んできた。一瞬だけ殴りかかってやろうかと思ったが、私に残る最後の理性が私の行動を止める。
だが、さらに最悪なのはこの後ーー
「ん"んっ!...見て分かるだろ皆の衆、私...ロビンソン=サーヴェリンスはエミリー=ミントレスを心から愛しているゆえ結婚は破棄させてもらう。」
その言葉に会場は騒然。否、騒然としていたのは私の家の関係者だけだろう。ロビンソンとエミリーの支援者からは鼓膜が破らんばかりの大喝采が聞こえる。
「ろ、ロビンソン!......あなた、それはあまりにも理不尽よ!」
「黙れ!この薄汚い女狐がっ!」
「......は?」
さっきまでの弱々しい態度とは逆転し、急に傲慢となるロビンソン。その様子に私は怒りを超えて呆れてしまっている。
「娼婦みたいなお前とは違い、エミリーは可愛らしく素晴らしい女性だ。」
「そ、それでも...」
「......御退出願おう。」
「えっ?」
ロビンソンはそこまで言い切ると、指を鳴らして衛兵を呼ぶ。サーヴェリンス家の傭兵は屈強でガタイがよく、私ぐらいは軽く持ち上げられてしまう。そのままの状態で式場の巨大な扉の前に着くと、まるでゴミでも捨てるかのように軽く放り投げられてしまった。よって私......いや、スチュアート家の人間は1人も残さず強制退出させられた。
普通ならここで話が終わるが、この物語は違う。
私の戦いはこれからが本番なのだ。
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「わあああぁぁぁぁっ!!」
私は枕へ向けて発狂する。ただ、それだけなのに私の目からは涙がこぼれ落ちた。
「...大丈夫ですか、お嬢様。」
「うぅ、ミラ...。」
いつの間にか、私の横にはメイド姿の銀髪の女性が寄り添っていた。白を基調としたメイド服が清潔感を醸し出して、さらにいい匂いがするときた。そうなると、女である私が犬のように懐いてしまうのも致し方ない。
彼女の名はミライト=スチュアート、齢21歳。
スチュアート家に養子として迎えられ、今では私のお世話係兼スチュアート家のメイド長として多忙な日々を送っている。普段は暖かな顔をしている彼女だが、今日はこめかみをヒクつかせて心配しているように思えた。
「お嬢様、いったん外の空気を...」
「...そうね。」
私はベッドから飛び降りると、裸足のままペタペタと歩いてベランダへと続く扉の前に立つ。木で作られたその扉は私より二回りほど大きく、開けるのに一苦労がいる。そのため、私は両手に全体重をかけると、ゆっくりと扉を開けた。
「...ふふっ、何度見ても綺麗ね。」
ベランダから眼下に広がるビル街の夜景。それは宝石のようにキラキラと輝き、私の心を少し軽くしてくれた。
「お嬢様は昔から東京の景色が好きでしたよね。」
「うん...これを見てるとなんだかキラキラするの。」
「ふふ、そうですね...。」
だが、この世界のキラキラは少し特殊なのかもしれない。
9986年。
グローバル化によって西洋文化が深く根付いた日本は、今や王家を戴く立憲君主制国家となっている。
そして、その王家こそが私たちスチュアート家だ。
「今日のことにつきましては...誠に私共々申し訳なくーー」
「あぁ!いい、いいのよ別に!あんなクソ男のことなんかこれっぽっちも気にしてないわ。」
実際に私はロビンソンなんかと結婚したくはなかったため、嬉しいが勝つ。こっちが話しかけているときも平気でスマホを見るし、食事の時だってマナーが悪い。もともと私にだって好きな人がいたのに...。だけども、この結婚は政略的なもの。
「...で、ですが、サーヴェリンス家は日本の軍事を牛耳っております。」
「だよね...」
日本の守備力の要となっている陸軍、海軍、空軍。それらを裏から牛耳るサーヴェリンス家には、王家の権威を守るために親密な関係でなくてはならないのだ。実際に私の父である国王も、サーヴェリンス家にはゴマをすっていた。そのため、先ほど流した涙はフラれた悲しさではなく、家族や関係者に申し訳ないことをしたことからきていた。
「ま、まぁ?...いざとなったら協力してくれるでしょ。」
「...私でしたら元婚約者の家は気まずくて守りませんが......。」
「……け、けど...私の家って王家だし......。」
「……今、東京では王家はサーヴェリンス家の金魚のフンだという噂が立っていますが......。」
「...。」
「...。」
「ヤバいじゃん!どうしよぉ〜!」
ことの重大さに遅れて気づいた私は、ベランダだと言うのに大声で叫んで頭を掻きむしる。今ならストレスで全部髪の毛が抜けてしまいそうな気がする。
「お、お嬢様っ!ご乱心は止してください!」
「えぇーい!うるさいうるさーい!もう私はこの家の役立たずだーい!」
「お嬢様......。」
ミライトは軽く天を仰ぐと、静かに私の横へと移動する。そして小声で何かを言ったかと思うと、私の方へ両腕を向けた。
「『回復』。」
刹那、私の身体が緑色の光に包まれて体が浮くような感覚に包まれる。身体のあちこちに感じた疲労感が瞬く間に治り、私の瞼の可動域が上がる。
「ごめんね...『魔法』使わせちゃって...…。」
「いえ、好み一筋。全てお嬢様に捧げているゆえ、お気になさらず。」
『魔法』
人類の宗教文化が発展して使えるようになった超常現象。多少の気力が必要だが、特殊なものや生まれつきの先天性のものでない限り得ようと思えば何個でも取得することができる。現に私とミライトも数個所持している。そして、それが日本の.........世界の常識となっていた。
「そっか、けど申し訳ないよ...。」
「ところで、お嬢様。ロビンソン様との婚約の件は?」
「ヤバいじゃん!どうしよぉ〜!」
「お嬢様...その言葉は先ほど聞きましたよ。」
『回復』で全快となった私の身に再び疲労感と倦怠感が訪れる。そして、私はベランダから室内へと戻ると、フカフカのベッドへと身体を沈めた。
「ヤダヤダ!家族に迷惑かけたくないー!!」
私が駄々こねながら激しく動き回ったため、ベッド上にあったぬいぐるみや毛布が音を立てて豪快に落ちる。それを見たミライトはため息をつくと、瞬き一つの間にすべてを拾い上げる。
「や、やるわね...。」
「勿体ないお言葉です...。」
ミライトの姿を見て少し落ち着いた私は、上半身を起こしてベッドの端に腰を掛ける。目の前には椅子を持ってきて座っているミライトの姿。私はそれを見るだけで少し気が楽になった。
「......う~ん...結局どうしたらいいと思う?」
「...私に一つ策がありますが、進言してもよろしいでしょうか?」
「?...どうぞ、言ってちょうだい。」
私の問いかけに急に真剣な顔つきになったミライトに、私は動揺しつつも直ぐに了承する。普段寡黙なミライトから意見なんて珍しい。そう思う私だが、次の瞬間には本当に目玉が飛び出したかと思うほど驚く羽目になる。
「ロビンソン様とエミリー様を結婚させなきゃいいんじゃないでしょうか?」
「.........ん?」
「...ですから、結婚を阻止すれば—―」
「ぎゃぁぁぁ!お父様ぁぁぁ!ミラが壊れちゃったぁぁ!!」
気が付けば私はその文言を叫んでいた。
しかし、その声は誰にも届かなかったらしい。普段ならメイドや召使たちの足音がうるさい廊下が今ではやけに静かに聞こえた。そのことを確認すると、私は恐る恐る後ろを振り返る。
「...お、じょ、う、さ、ま?」
「......すぅー.........ハイ、ナンデショウ?」
刹那、ミライトの糸目から即死のビームが飛んできてもおかしくないほどの殺意が放たれる。おいおい、メイドがそんなことしていいのかよ。と思う反面、あ...死んだ。と思う、まさにアンビバレンス的な状況が私の内で起こっていた。
だが、私がしたことはたった一つ。
「も...申し訳ございませんでしたぁぁぁ!」
私はベッドの上で営業のサラリーマンも顔負けの土下座をぶちかます。その姿を見て私の反省が伝わったのか、ミライトはその覇気を静かに抑えた。
「...ったく、私だって真剣に話しているのですよ。」
「ご、ごめんなさい...ところでさっきの続きは?」
「あっ...そうでしたね。」
ここでミライトはここまでの空気を断ち切るかのように一つ咳払いをする。そのおかげで先ほどまでのことを忘れ......てはいけないと思ったので、前傾姿勢になり真剣な面持ちを作る私。それを確認したのか、ミライトは静かにしゃべり始めた。
「確認しますが、元々ロビンソン様はお嬢様の婚約相手だったんですよね?」
「え、えぇ...けど、それがどうしたの?」
「これってもう、浮気で不倫でお嬢様はN〇Rれたってことじゃないですか?」
「はぁぁ!?ちょちょ、それはいったい—―」
「だったら、ちょっとぐらいちょっかい出しても神様は許してくれますよ。」
(たっ、確かにー!)
私は大変納得し、心の中で手を打ち付ける。
だが、それと同時に疑問も浮かび上がってきた。
それは至極単純で、どうやって『結婚阻止』をするのかということ。
「ねぇ、ミラ。それってどうやってやるの?」
「それについてもご安心を。同様に私に考えがあります...。」
考えがあると息巻くミライト。私はその輝く視線をダイレクトで受けつつも、ミライトの考えに興味を持った。否、この感情はおそらく興味ではなく、興奮だろう。
その後、ミライトが思いついた案を即採用した私はその日のうちにお父様に報告。可愛い愛娘である私の願いを断り切れないお父様は、二つ返事で即決してくれた。さらに、その案を明日から施行すると約束していただいた。
さぁ、明日が楽しみだ。
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僕、ロビンソン=サーヴェリンスは厄介なことに巻き込まれていた。
「ねぇ、ダーリン。なにこれ~?」
「わ、わからない...。ぼ、僕にもわからないんだ......。」
昨日、ある女と婚約を破棄した僕は本当に愛する女性、エミリー=ミントレスと明日に結婚式を挙げようと婚約を結んでいた。もちろん彼女の返事はOKで、浮かれていた僕は狂ったように夜中のうちに結婚の準備を終えた。
それなのに—―
「ダーリンダ-リン♪...ねぇ、これってあの女の仕業なの?」
「...」
僕たちはその準備が行われていた結婚式場の前で立ち往生していた。そして、僕たちの視線を奪うのは質素に建てられている一つの看板。そこにはこう書かれていた。
『ただいまよりこの式場で結婚する夫婦に限り、婚姻は王家の許可を必要とする。』
はるばる昨日行われた東京の式場から、ここ...愛知の式場まで来たのにこのありさまだ。この意味とこのタイミング...偶然にしてはあまりにもできすぎている。
エミリーが考えるように、あの女が絶対に手をまわしたはずだ。
「ピンポンピンポン!大せーかいっ!」
「!!」「!!」
突如として響き渡る女の声。
その声はどこか聞き馴染みがあり、僕に恐怖を植え付けさせた。
「ま、まさか...?」
僕が慌てて振り返ると、そこには昨日見たときと全く同じ格好をしたエマ。そして、側近であろうメイドたちとガタイのいい黒服の大男たちがいた。
「な、なぜここがっ!?」
「あんた馬鹿なの?」
エマはそういうと自分の左手の薬指をあからさまに見せつけてから指をさす。その行動でようやく失態に気づいた僕は、昨日式でつけられた指輪を乱雑に取り外して地面に投げつける。
すると、指輪の中から何か機械のようなものが出てきた。
「ッ...!!このクソ女がっ!」
「えぇ!?勘の良いあなたならGPS程度簡単に見抜けると思ったのに?」
案の定、エマは僕にGPSを取り付けていた。けど、こんなことをするなら僕とエミリーとの関係も最初から気づいていたのか?
「あなたたち、本当に仲がいいのね。」
「あ゙ぁ?」
「私には気づかれなかったみたいだけど、私の部下が昨日のあなたたちのアツーいキッスを見たそうよ。」
「なっ...。」「えっ、ちょ...。」
「だから、不思議に思ってあなたの結婚指輪に細工したみたい~?」
ふざけるな。思わずそう言い返してしまうところだったが、向こうは王家だ。過度な失言は自分の命に手をかけることになる。だからこそ、ここは冷静でいかなければならない。
「...このお札はなんだ?お前たちのいたずらなのか...?」
「いいえ、それは今朝にお父様が直々に勅令よ。」
「へ、陛下が...!?」
国王陛下
その言葉を一回聞いただけで僕の背中は冷や汗でびしょびしょになってしまう。だが、こんなところで臆するわけにもいかない。僕にはエマと違ってエミリーという最高の花嫁がいるのだから!
「ふ、ふん。じゃ、じゃあ、式場を変えるのみだ!」
「......ねぇ、私さぁ...アニメもドラマも再放送って嫌いなのよね。...だからやめてくれる?」
「...?」
「あぁ、分かりにくかったかしら?......私はやっぱりあんたは馬鹿だって言いたいのよ!」
そこまで言うと、エマは僕に向けて人差し指を突きつける。いったい何が何だか分からない僕はエマを睨みつけるばかり。すると、エマの後ろにいた銀髪の女性が僕へと語りかけてきた。
「まぁ、ご安心ください。こう言っているお嬢様も、何度も同じ言動や行動を繰り返してますから。」
「ちょちょ!...そ、それ言わないでぇ!」
果たしてあのメイドはどっちの味方なのだろうか?そう思わせる一言を言われた僕はさらに何が何だか分からなくなってしまった。その様子に気付いたエマは、軽く咳ばらいをすると僕へと高らかに話しかける。
「ふふ、私たちは王族よ?...この式場だけなんてスケールが小さすぎて笑えて来るわ。」
「...?...お、おい!ま、まさか...!」
「えぇ......専門式場、ゲストハウス、ホテル婚会場......全国の全3142件の式場を婚姻目的で利用する者には、王国の許可を得ないと利用できないようにしたわっ!」
「な、なにぃぃ!?」
その瞬間、僕は驚きで開いた口のせいで顎が外れたと勘違いしてしまった。そうしてペタペタと自分の顔を触る僕に、エマはさらに追い打ちをかける。
「あっ、けど結婚するだけなら式場を使わなくても婚姻届を出すだけで結婚出来るわよ。」
「くっ...。」
「あれ~、でもそうかぁ。ちゃんと結婚式挙げないとだめだもんねー?あははっ、これが貴族プライドってやつ?」
僕の目の前で小悪魔のように笑うエマ。僕はそれを指をかじって見守ることしかできない。すると、エマが何かを思い出したかのようにこちらを振り返る。
「あっ、けど一つ式を挙げる方法があるわよ。」
「なっ!」
僕はその言葉に聞き入るように一歩足を前に踏み込んだ。
この状況から式を挙げられるなんて.........いったいどんな—―
「それはそこのエミリーを捨てて、私と結婚をすることよ!」
「はっ?」「えっ?」
僕とエミリーは驚愕したのか、同時に間抜けな声を出してしまう。
「そ、そんなわけ...できるかっ!」
「そ、そうよそうよ!私とダーリンはもう固い絆で結ばれてるのよ!」
「......そんなトイレットペーパーより柔らかい絆で何ができるのよ?」
エマがエミリーのことを鼻で笑う。ただそれだけなのに、その光景に僕の怒りが沸点に届いた。
「いい加減にしろよ、エマ!お前んとこの守備は僕の家が仕切ってる軍が守ってるんだからな。」
「へぇ、それが?もう帰ってもらったわよ。」
「はっ.........?」
出てくるはずもない言葉に、僕は目をこすったり頬を叩いたりして夢か確認する。だが、現実というものは残酷で、目にはあの憎きエマがしっかりと映っており、口には叩いた勢いで唇が切れて口内全体に血の味が広がっていた。
「ど、どういうことだ...?」
「えっ?...あぁ、今日からは軍じゃなく、警察に警備についてもらうことにしたのよ。」
サーヴェリンス家の弱点、それは警察の管理は管轄外だということ。大昔から役割は同じで警察は裁判や特殊な捜査のため、独自の決定権と行動権を持つ。サーヴェリンス家が仕切る軍とは異なり、自由で独創的な組織なのだ。
「ふん、もうアンタの助けなんていらないわよ、ロビンソン=サーヴェリンス!」
「く、くそ...がぁ......。」
僕は奥歯を思い切り噛み締める。そのためか、元々血の味を感じ取っていた舌がさらに強く血を感じ取るようになった。
エマ=スチュアートという女は恐ろしい。
この件でそのことをより一層知ることができた。だが、恐ろしいのはこれから。おそらく鬼の形相をしている僕に向けてエマが言った次の言葉は、サーヴェリンス家とスチュアート家の仲をこの先十世紀まで険悪とさせることだろう—―。
「じゃあ、ダーリン♪お城で待ってるからねー♪」
最初に一言。
あらすじに書いている魔法バトルでしたが、短編に入れることができず申し訳ございませんでした。
もし長編が執筆することになった際には、多分書けると思います。
ご拝読ありがとうございます。
もし読んでみて面白いと思っていただけたら、評価とブックマークをしていただけると幸いです。
また、不明点やアドバイス、感想、アンチコメも受け付けてます。
皆さんの意見をぜひお聞かせください。
なお、この短編の評価が良さそうなら長編も出してみたいと思います。




