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【幼馴染だからって、無料で会社を支える義理はありません】 ~婚約を匂わせて十年こき使った幼馴染は、私が去った三か月後に倒産しました~

作者:かおるこ
最終エピソード掲載日:2026/06/08
十年という時間は、長い。

けれど恋をしている人間にとっては、驚くほど短い。

子どもの頃から隣にいて、
泣いた日も、
笑った日も、
夢を語った日も知っていた。

だから信じていた。

「いつか」

その言葉を。

明確な約束ではなくても、
指先に触れる優しさを。

二人の未来を語る声を。

隣にいることが当たり前だという空気を。

信じていた。

だから働いた。

夜遅くまで帳簿をつけた。

休日も工場へ通った。

数字を整え、
資金を繋ぎ、
会社を支えた。

好きだったから。

ただ、それだけだった。

けれどある日、
その十年はたった一言で切り捨てられる。

「地味だな」

笑いながら言われた。

「もうお前はいらない」

みんなの前で言われた。

積み重ねた日々は、
紙くずより軽かった。

愛情は無価値だった。

献身は当然だった。

そんなことを知った。

だから私は去った。

泣きながらではない。

怒りながらでもない。

ただ静かに。

数字を残して。

契約を残して。

事実を残して。

そして初めて知るのだ。

支えていた柱を失った家が、
どれほど脆いのかを。

感謝を忘れた人間が、
どれほど愚かなのかを。

三か月後。

会社は崩れた。

恋も崩れた。

人生も崩れた。

けれど私は振り返らない。

あの日失ったのは、
幼馴染ではない。

私を都合よく使う人だった。

だから前を向く。

十年の後悔ではなく、
これからの人生のために。

初夏の風が吹く。

新しい季節の匂いがする。

ようやく私は知った。

誰かに選ばれるのを待つよりも、

自分で歩き出した方が、
ずっと自由なのだと。

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