表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

集合住宅のエレベーター

作者: 乎粥丸
掲載日:2026/06/19


当時私は、都内にある十数階建ての古い集合住宅で暮らしていました。

細長い長方形のよくある形の構造で、中央と片側の端にエレベーターが置かれてある作りでした。

私が住む部屋は比較的建物の中央付近にあり、中央のエレベーターを利用しました。


その中央のエレベーター二基、住み始めた当初から首を傾げる出来事が多くありました。

度々エレベーターの床におしっこの水たまりができていたり、上に登っていく際にガタガタとひっかるような音を上げたり、同じエレベーターでも、音声の案内が鳴る時と鳴らない時がまちまちになったりなどです。


これらは、老朽化であったり、ご高齢の方が多いことなどから、説明が付くのですが一つだけどうしても納得できない現象がありました。


エレベーターの扉が帰宅時や外出時に、エレベーターホールに行くと、待っていたかのように開いた状態でいたり、視界に入った瞬間に開いたりなどがかなりの頻度であったのです。

誰かが利用してその入れ違いで...ということも考えはしたのですが、毎回人影や足音、誰かが去っていく後ろ姿などを見かけず、とても不思議に思っていました。

それに視界に入った時に戸開中なんて言うのは、誰かがわざわざその階へ送るように操作をしないと起こりえません。


そんな出来事から、私は、乗るたびに毎回とても小さな声で、「いつもありがとう」と送り迎えをしてくれるエレベーターガール(マンかも?)に感謝を送って日々を過ごしていました。


それから住み続けて数年、いつもより学校からの帰りが遅くなった時のことです。

普段は夜11時頃には帰れていたのに、その日は夜の部活が長引いたのと、それに合わせて帰りのバスがなくなるというアクシデントが重なって、家の下に着いたのが深夜1時頃という状況でした。


普段、バスと電車を乗り継いで通う道を足を棒にしながら帰り、部活でヘトヘトになった私には、明かりをつけた状態で扉を開いて待っていてくれるエレベーターは、その時ばかりはどこか可愛く有難く感じていました。


振り返りながらエレベーターに乗り込み、私は、扉の横に付いたボタンで自分の部屋の階と、閉と書かれたボタンを押します。

長い距離を歩いたことで、足の裏が痛み、エレベーター内に設置された手すりに体重を預けて寄りかかった状態で、階表示をじっと見ていました。


1...2...3...4...どんどんと上がっていく階、帰ったらすることを考えてるうちに、エレベーターは自分の住む階へと到着します。


ガラス越しには、真っ暗なエレベーターホール。

夜なのに怖いなぁと思いながら、短く甲高い到着を知らせる音が鳴りました。

それに続いて、あまり聞きなれないよくある機械音で、到着のアナウンスがされます。


ピン....

「〇階です。〇階です。〇階です。〇階です。〇階です。〇階です。〇階です。〇階です。〇階です。」


ドアがほとんど開いていない密室にいる中で、狂ったように連呼されるアナウンスで、一気に全身に鳥肌が立ちました。


今すぐにここから出たい。


必死の思いで、数十センチしか開いていない扉へ、体をねじ込んでエレベーターから飛び出しました。

フロアは一面真っ暗、とにかく走って自分の家へ飛び込んだのを覚えています。

あの時から、不思議なことにエレベーターが私を迎えに来てくれることがほとんどなくなり、集合住宅を離れるまで少し不便な思いをしたのは、贅沢な悩みだったでしょうかね...?


ここまで読んでくれて、ほんとうにありがとうございます!

気が向いたら、何かしらのボタンをぽちっとしてくれたらうれしいです!!

また気が向いた時にでも、ふらっと上がってるかもしれないので読みにきてね~。


余談ですが、声を想像するときは、「駐車券をお取りください。」をイメージしていただければ完璧だと思います。あと二週間後くらいに建物でお巡りさんがそこそこ来るような事が起こったのは別の話。(内容ほぼ知らない)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ