47歳で亡くなった父の日記を、58歳になった息子が読んで⋯
私が中学3年生だった時に父は膵臓がんで亡くなった。
体調を崩して仕事を休んでから亡くなるまでは本当にあっという間だった。
今思えば大変な仕事だっただろうし、休みで家にいるなんてこともほとんどなかったと記憶している。
九州出身で酒もタバコも嗜み、よく焼酎やウイスキーをロックで呑んでいた。
若い頃に家出同然で上京したらしく、父は母親、つまり私の祖母との関係にいつも悩んでいたと後になって聞いた。
祖母は性格的に激しくて強烈な人だった。
私の母も随分嫌な思いをしたようで、父は本当に大変だったと思う。
とうとう祖母は一人息子である父の葬式にも来なかった。
膵臓がんであることを最後まで父に告知することはなかった。
でも今思えば父は確実に自分の死を予感していたと思う。
亡くなる数日前には、遺書を母に口述筆記させていた。
その内容は短く簡潔なものであったが忘れられない。あの厳格で怖くて敬語でしか話せなかった父の、心のこもった優しさが伝わるものだった。
死後、手帳に書いた父の日記らしきものが残っていた。日々の出来事や想いを時折短く端的に綴ったものだった。
病気になった父は仕事を休みがちになり、職場の人から嫌味を言われたこと、仕事中に倒れたこと、などなど、その時々に父が何を感じたのか、察するに余りある内容だった。
辛かったと思う。
大変な人生だったんだと思う。
同時に、精神的なストレスは本当に人の身体を蝕むものだと思った。
怖かった父はとても弱い人でもあった。
もし父が生きていたら、体調を崩して退職を迷っている今の私を見てなんと言うだろうか、と考えてみた。
きっと「仕事なんか今すぐ辞めろ!」「もっと大切なものがあるのがわからないのか!」と言ったに違いないと思う。
亡くなる直前、父は側にいる妻、私の母に向かって「俺が家族の病気を全部持っていってやる」と言ったという。
父親としての責任を最後まで全うした人だった。
全くもって父には感謝しかない。
