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🌎「やさしさの扉」の向こう側


「すみませんが、お引き受けできません」
心臓がバクバクした。

今まで、仕事は
ありがたく引き受けてきた。

しかし、今回依頼された仕事に対して
提示された報酬額が
予想外に低かった。

ああ、また時給数百円になってしまう・・・

でも、もう
やりがい搾取はされたくない!


そう思った私は
勇気を出して断った。


***


私は日本語教師
20年以上続けてベテランと言われる。

それでもずっと収入は不安定だ。

昨年から国家資格になったものの
社会的地位はまだまだ低い。

非正規雇用が圧倒的に多く
ボランティアに支えられている
と言っても過言ではない。


「日本人なら誰でも教えられる」

そう言う人もいるが
プロとして誇りを持っている。

授業準備に時間がかかるが
その時間は無報酬である。

生活できないので
多くの人がやめていく。


じゃあなぜ私は続けているのか?


この仕事が好きだから

日本語ゼロの学習者が
ひらがなから文字を覚え
日本語が上達していく姿を見るのは
何物にも代えがたい喜びだ。


***


ある日
日本語を教えているだけでは
足りないと気づいた。

外国人が日本語を話せるようになっても
日本人の友達ができないのはなぜか。

外国人と日本人との間にある壁は
言葉の問題だけではない。

お互いの文化の違いも理解しないと
誤解が生じる。


「郷に入っては郷に従え」

”日本にいるのだから
日本語を学び日本の習慣も身につけるべきだ”

そう言う人も少なくない。

確かに一理ある。

けれど、日本のルールや習慣は
教えなければわからない。

知らないだけなのに
「外国人だからダメだ」と
決めつけてしまうのは理不尽だ。

外国人側の努力だけに頼るのではなく
日本人側も歩み寄る。
そのトライ&エラーの先にこそ
お互いの距離がぐっと縮まる未来がある。


そのために私は、日本人に対して
「やさしい日本語」を普及させる挑戦をしている。

外国人だけでなく
障害者や高齢者、子どもたちにも
わかりやすく伝える。

それは相手への思いやりだ。


***


私は20代から30代にかけて
いくつかの国に滞在してきた。

その社会で少数者になった貴重な経験だ。

現地で困ったとき
優しさに救われたことも多々ある。

だから日本にいる外国人も応援している。

これから外国人社員がいる企業で
「やさしい日本語×異文化コミュニケーション」研修を
していく。

それによって
日本人と外国人の間にある壁に
新しい扉をひらく
ことができる。


私のビジョンは、日本中をやさしい社会にすること。


それが多様性の時代に
誰もがワクワクしながら生きられる社会を
創る鍵
だと信じている。






#創作大賞2026
#エッセイ部門

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