【例外の層】
【例外の層】
三題噺:お茶/アイスクリーム/パグ
「で。メインのターゲット層はどこなの?」
「ターゲット層……?」
「あなたのメインのターゲット層よ。あなたのモノを売り込む相手のこと。それが決まらなければ戦えないじゃない。『欲しがる相手に欲しがるものを売る』これはマーケティングの鉄則よ?あなた、熱い砂漠で熱いお茶出されたら買うの?……あら?あたしだったら買うわね……お茶、大好きだもの。そうね。特にウーロン茶だったらやばいわね……絶対買っちゃうわ。あら?話が逸れちゃったわね。そうそう、欲しい相手に欲しい物を差し出さなきゃ戦えないでしょう?って話よ。例えばあなた、冬の寒い日にアイスクリームとか欲しいと思うの?……あら?あたしだったら買うわね。特にバニラだとつい買っちゃうわね。寒い冬にコタツに入ってわざわざ冷たいアイスを頬張るあの罪悪感と言ったら最高の贅沢よね。ね?あなたもそうでしょう?」
切れ長の目でこちらを試すように見る。メガネのフチを、くいっと上げながら。
メガネ姿に超真面目。融通がまったく効かない為、周りからは『ロッテンマイヤーさん』と親しみを込めて?呼ばれている彼女が続ける。
「ごめんなさい、例えが悪かったわね。そうね……例えば。あなたが犬を飼いますよーとなった場合に、パグみたいな顔の造形が不自由な犬種のものを選ぶの?ってこと。そんな人がいたら親の顔が見て見たいわ。……あら?……ん、困ったわね……そう言えばうちの父も母も『犬を飼うんならパグ一択!』って言ってたわね」
