うちのクラスの
三題噺:わたあめ/ロッテンマイヤーさん/斧
「『わたあめで行こうぜ!』って……マジで言ってるの?」
ホント男子って、馬鹿なの?
「あのさ、お祭りとかの!あの定番のやつをさ!借りて!子供とか喜ぶって、絶対!」
「……ふぅ。値段、知ってて言ってる?」
「……値段?」
「値段。レンタル料金。借りるんでしょ?」
「……知らない」
「…………はぁ。」
文化祭。出し物を決める為の話し合いをしているが、なかなか決まらない。テキトーにやりたいことを言っては具体的に進める話となると難しい点が見えてきては練り直し。そんなこんなでうちのクラスはまだやることを決めれていない。他のクラスはもう早いところは買い出しどころか制作に取り掛かってる。
「ヤバいって。時間、無いって。今、今日出たやつから決めよう、もう」
実行委員なんてものを押し付けられた私は焦りながら提案する。やるからには腹を括る。ちゃんとやる。
「たしかに。とりあえず今、黒板に書いてるやつを書いて、クジかなんかにして決めようぜ!」
…………こんな時にまで、男子ってテキトーなんだから……。とはいえ背に腹はかえられない。ちゃちゃっとクジを作って、そこにあったビニール袋に入れて、と。
じゃんけんぽん!じゃんけんぽん!男子は誰がクジを引くかで盛り上がってた……あたま痛くなる……。
「よっしゃ!俺だな!……ひっくぜー?!おりゃ」
1枚の紙切れをひく。ガサガサと開く。
「決まり!わたあめ屋さんだ!!」
うおお~!と、教室中がどよめく。
「…………うちのクラスは『わたあめ屋さん』をやります……」
力なく、私はみんなに宣言する。
一人の女生徒が教室からスルリと出ていった。
私は思考を巡らせる。わたあめの機械ってたしかレンタル料、1日6、7千円はしたような気がする。文化祭は2日ある。練習も考えると、3日でしょ?それだけで下手したら2万円?一日1万円の売り上げをあげるの?材料費だってかかるよね?
高校の文化祭レベルのわたあめとか、みんないくらなら買ってくれる?400円?無理無理。300円?厳しい厳しい。200円?まあ……ボッタクってもこのくらいだよね。2日ともやって、2日とも50個売る。……イケ……る、かな?どうかな?
1個作るのにざっと5分。1時間で……まあざっくり10個。9時に始まって16時まででしょ?ずーっと売れ続けて70個。……え?コレ大丈夫?大丈夫かな?
なんて考えてたらおもむろに悲鳴が聞こえた。
「きゃー!」
「お、おい、やめろ、か、考え直せ!」
みんなの悲鳴の先、教室のドアを開けたところには一人の女生徒が立っていた。……手には斧を持って。
「……ロッテンマイヤーさん……」
思わずつぶやく。眼鏡を掛け、常にマジメ。融通が効くタイプでは無い彼女はみんなからそう呼ばれていた。
スタスタとそのまま教室に入り、自分の机に座るとロッテンマイヤーさんは言った。
「技術の先生には許可を得たわ。わたあめと言ったら串でしょ?私、こだわりたいからさ。串の担当は私ね」
どこから出したのか材木を手に、斧を器用に操って黙々と。まるで測ったかのように同じ太さ、同じ長さの串が量産されていくのであった……。
