母さんの味噌汁
三題噺:コンビニ弁当、スマホ、味噌汁
ジャンル:ヒューマンコメディ
「腹減ったな」
コンビニ弁当を買って帰路に着く。上京して働き出した会社は少しブラック寄りかも知れない。毎日毎日残業だ。疲れていて、とても自炊をする気力は無い。おかげで毎日、コンビニ弁当にお世話になっている。せめて汁物を、とインスタントの味噌汁も合わせて買っているが、母さんの味噌汁とは味が違う。
懐かしいな……とスマホを開く。母さんからのメッセージを見る。
大丈夫か?ちゃんと食べているか?体調は変わりないか?辛くないか?…………いつでも帰っておいで。
少し涙が浮かんでしまう。
と、スマホが震える。……母さんからの着信だ。
「も、もしもし」
「ん?お前、泣いてるのかい?」
涙声になっていたようだ。すぐに気付くんだな、やっぱり母さんなんだな。
「いや、大丈夫。仕事が忙しくて料理する時間もないから、毎晩コンビニ弁当なんだ。せめて味噌汁を、と思ってついでに買ってるんだけど。やっぱり母さんの味噌汁とは味が違うんだよね」
それを聞き、母さんは少し驚いたように答えた。
「おやまあ!コンビニって言ったら、お前サンカク苑の減塩タイプの味噌汁なんじゃないかい?スーパーにいってごらん。マルマルフーズのチューブタイプのやつ、売ってるから。母さんがお前に食べさせてる味噌汁はそのインスタントのやつだよ」
