謎解きの紙 秋ピリカグランプリ
ボクは魔法使いのじいじと魔女のばあばと住んでいる。ボクは魔法使いでも魔女でもない。両親はどうなのか。
ボクの両親は長い事外国に行ったまま。時々動画やメールが届く。誕生日にはプレゼントも届くけれど、会った記憶は無い。本当に両親は存在するのか疑問に思い始めている。
じいじの部屋には隠し部屋があって、たくさんの魔法に関する本が並んでいる。どの本にも見たことのない文字だけが並んでいる。
ボクは11歳だけど学校には通ってはいない。勉強は隠し部屋でじいじが教えてくれる。昔は学校の先生だったじいじ。ボクにはちゃんと小6の学力はあると言ってくれるけど、やっぱりボクは学校に行きたいし、友達も欲しい。
「学校に行きたい」ボクがそう言うと、じいじもばあばも悲しそうな顔になるので今は言えない。
二人には何か秘密があるのではないか。両親の事もそうだし、学校の事だって。そうだ、一つ気になることがあるんだ。
ボクは二人が留守の時、じいじの部屋の隠し部屋に向かった。
隠し部屋は太陽の光が届かないのでいつもは電気を点ける。なぜか今、暗闇でもボクは部屋の中がハッキリ見えることに驚いた。こんなことは初めてだ。
じいじと隠し部屋に入ると、じいじは、いつも同じような場所に立って、ほとんど動かない。そこに何か見せたくないものがあるかのように。隠すかのように。本棚を調べれば何かがわかると思った。
隠し部屋には独特の紫色の匂いが漂っている。ばあばが時々香を焚いている。そうしないと本が可哀そうだからとばあばは言うけど、これも謎。
何も知らないんだボクは。そんなボクは、何かを見つけられるだろうか。
思わず大きなため息が出た。
本棚の右端から両手で確かめながら目を凝らしながら、本を一冊ずつ抜いてみた。本をパラパラとめくってみる。本にも本棚にも変わったものは見つけることはできなかった。
じいじがいつも立っている足元に目が行く。
灰色の絨毯が敷いてある。本棚と絨毯の接するところ。ボクはその場所を辛抱強く調べた。
ほんの僅かな違和感。床板がほんの少しだけ浮いている。
やっぱりだ!あった!
有るか無いかの微妙な凸。ボクは躊躇わず凸を押した。
スルスルと床板の一部分が動く。中から現れたのは、食パンを三枚重ねたくらいの黒い箱。
ん?
思わず後ろを振り向いた。
じいじとばあばが立っていた。そして写真でしか知らない両親までも!
四人は口々に
「おめでとう」と言っている。
そうか、今日は僕の誕生日だ。
「さあ、箱を開けて!」母の声。
驚きながらもボクはそっと箱を開けた。中に不思議な色に光る紙が一枚。広げてみた。
日本語では無いけれどボクにはなぜか読めた。
『12歳に達したので魔法学校への入学を許可する。両親と住むのも許可する。 魔法学校校長』
と書いてあった。入学許可書だ。この紙一枚が二つの大きな謎を解いてくれた。
両親が駆け寄って僕を抱きしめてくれた。12年分のハグ。
了 1191文字
楽しみながら書かせて頂きました。
皆様、よろしくお願いいたします。めい
