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【ニホンザル】 野生オスの生態

こんにちは、kiyoです。
ニホンザルの生態観察でもっとも難しいのはオスです。
基本的なニホンザルの生態として、群れを作るのはメスと子どもと、ごく一部のオスです。
生涯を群れで暮らすオスはほとんどいません。
「ボスザル」と言われる立場の強いオスでも、生きているうちに群れを離れます。
野猿公苑などでは、生涯を群れで暮らすオスもたまにいますが、これは人間による餌付け環境が強く影響しているので、あくまで例外として考えます。

オスは早ければ3歳、遅くても6歳までに全体の95%以上が群れから独りで、あるいはグループで出ていきます。
これを離群と言います。
グループで群れから離れたオスたち(若年層が多い)もやがてはバラバラになっていきます。

群れから離れたオスの詳細な生態というのはまだまだ解明されていません。
まだまだわからないことばかりです。

当たり前のことですが、生まれてくるアカンボウの半分はオスです。

例えば地獄谷野猿公苑をみたとき、毎年20頭以上のアカンボウが生まれています。
少なく見積もって20頭と仮定しましょう。
そのうちの半分、10頭はオスです。
ほぼすべてのオスが離群しますので、毎年10頭づつ、10年間で100頭のオスが群れから離れ、近隣の野山や里地に放たれていることになります。

実際、100頭ものオスが地獄谷近辺で数キロメートルの遊動域で活動しているなら、そこらじゅうサルだらけになるはずです。

しかし実際にはそこまでたくさんのハナレオスを見ることはありません。

相当数が若年で死んでいるだろう、オスの平均寿命は相当低いだろう、と推測しますが、これも実態調査したわけではないので、まったく不確かな推測でしかないのです。

専門家も含めて、ほとんどの人は群れしか見ていません。
群れだけを見てニホンザルの生態を語っています。

しかしそれは間違いです。

生まれてくるアカンボウの半分がオスである以上、オスの生態を正しく理解しない限り、「ニホンザルの生態」を語ることなど出来ないのです。

私は山岳地帯での野生ニホンザルの生態観察をしています。
ハナレオスと出会うことは多く、ハナレオスたちがどれくらいの密度で生息しているか、おぼろげながらわかりつつあります。
しかしまだまだです。
オスの生態は神秘の世界です。

このオスも私の観察地域に生息しているハナレオスです。
最新の映像です。
私はこのオスの存在を個体認識して3年目になります。
少なくともこの3年間は、このオスはこのエリア4km四方以内で暮らしていることは確かですが、出たり戻ったりを繰り返している可能性もありますし、この4km四方以内で他のオスを見かけることもしょっちゅうあります。
しかし、オスどうしが接触したケースは見たことがありません。
おそらくはお互いがお互いの存在を認知しつつ、避けあっているのではないか、と想像します。

まだまだ想像ばかりですが、解明には長い年月がかかるでしょう。

野生のオスの追跡観察は非常に難しいです。
対象が1頭しかいないこと、そしてなにより非常に警戒心が強く、攻撃的でもあります。

たまに山に入るだけの私ですら、頻繁にクマと遭遇するくらいですから、毎日暮らしているオスはクマと遭遇することなど日常茶飯時でしょう。
我が身は我が身で守る。
警戒心と攻撃性は独りで生きていくための術なのでしょう。

このオスと出会うと、可能な限り時間を費やして追跡観察しています。
距離感は難しいです。
近づきすぎると激しく威嚇されます。
野猿公苑のサルや群れのメスザルとは違います。
このオスにとっては、クマもイノシシも人間もすべて外敵と認識しているはずです。
我が身を守るために躊躇なく防衛攻撃をしてくるでしょう。

かといって、離れすぎると見失います。
深い藪の中に入っていかれたらもう見つけられません。

だからオスの生態観察は難しいのです。

* ヘッダー画像、及び本文中の画像、動画は、注釈が無い限りは私本人の撮影 によるものです。

* 各野生動物ごとの記事をマガジンにまとめてあります。
過去ログもぜひお読みください。

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