【ニホンザル】 若きハナレオスを追いながら
こんにちは、kiyoです。
奥信越のブナ帯を流れる雑魚川沿いには多くのハナレオスが生息しています。
サルたちにとって「水辺の環境」がいかに重要であるかを感じます。
ハナレオスを観察するたびに感じること。
「野生ニホンザルの生態は難しい」
野生ニホンザルとはこういうものですよ、と定義づけられるような単純な生態ではないことをつくづく感じます。
このオスは5歳くらいでしょうか?
気ままな独り暮らしに完全に順応しているように見えます。
去年からこのブナ帯で見かけるようになって、今年もこの森にいます。
若いオスですが、立派に一匹狼として生きています。
こういったオスの生態は野猿公苑では見ることが出来ません。
「〇〇を最近見なくなったから、たぶん離群しちゃったんだね」
それで終わり。
野猿公苑内で存在が確認できなくなった時点で、職員からもお客さんからも関心が無くなってしまいます。
しかし離群するオスの平均的年齢は4歳〜5歳。
離群してからが彼らの本当の一生が始まるわけです。
そこから先のオスの生態を追うのが私の活動なのですが、オスの生態は理解しがたいことばかりなんですね。
オスは幼少期、群れのなかで2歳くらいから家族から離れオスどうしで集まって行動するようになります。
その集団生活の中でオスどうしの仲間意識や強い信頼関係を築いていきます。
そしてグループで離群する場合もありますが、グループで離群するのは、群れ総数が200頭を超えるような、野猿公苑に管理されていた群れのオスで、自然環境下の群れにおいてはたいてい1頭づつ離群していきます。
離群した若オスはほとんどが近隣の群れに再入群しますが、その後、離群入群を短期間で繰り返すオス、一度再入群したら5年以上その群れで過ごすオスに分かれます。
また、はなから再入群せずに一匹狼で生きていくオスもいます。
一匹狼で生きていくオスは、ある地域に定住せずに放浪の生涯を送るオスもいれば、ある地域に定住するオスもいます。
定住オスは自分が食べていくだけの狭いエリアに定住します。
要は、離群後のオスの生態は、これと決まった生態はなく、まったくバラバラな生態だということなのです。
この動画のオスは雑魚川沿いに定着している若きハナレオスです。
この動画はSNS用に一部のシーンだけを切り抜いたものですが、この日私はこのハナレオスに3時間ほど密着しました。
基本的には、独り気ままに、ひたすら木から木へと渡り歩きながら採食しているだけです。
雑魚川では毎年同じ顔のオスを見かけることが多く、定住オスが多いようです。
このブナの自然環境が住みやすいのだろうと想像するのと同時に、やはりサルたちは私たちが勝手にイメージを作り上げている様な、いわゆるスノーモンキー的な過酷で悲惨な生き方などまったくしていないのだ、と私は確信するのです。
ハナレオスは自由気ままな生き方をしているわけで、わざわざ過酷な環境など選ばないわけです。
これほどたくさんのハナレオスが雑魚川沿いに生息しているのは、このエリアの冬の豪雪、低温、食環境、彼らが生きていく上でなんら問題ないことをはっきりと示しているのです。
こういうことがわかるのも、ハナレオスの観察活動が大切であることをあらわしていると感じます。
それにしても、幼少期に群れの中で築いてきた仲間意識や強い絆をある日突然、すべて切り捨てて独りで群れから出ていくオスたち。
その行動の意味はなんなのか?
これがオスの生態の最大の疑問です。
これは今だに解明されていません。
今、私の目の前で気ままに独り暮らししているこのオスを見ながら、オスの生き方の不思議さを強く感じるのです。
* ヘッダー画像、及び本文中の画像、動画は、注釈が無い限りは私本人の撮影 によるものです。
* 各野生動物ごとの記事をマガジンにまとめてあります。
過去ログもぜひお読みください。
