【ニホンザル】 トックリ00というメスザル 〜地獄谷野猿公苑〜
こんにちは、kiyoです。
昨日、昔からのサル友からラインが来ました。
「トックリ00がメス頭じゃなくなっちゃった」
トックリ00とは、地獄谷野猿公苑という施設で餌付けされてるメスザルで、かつて私が追い続けていたサルです。
長野県の山ノ内町、志賀高原のお膝元の温泉街、渋温泉、湯田中温泉から少し離れた山の中に「地獄谷野猿公苑」という野生ニホンザルを餌付けしている施設があります。
冬にサルたちが温泉に入ることが有名で、昨今インバウンドの外国人旅行者に人気のスポットです。

私はこの野猿公苑に2010年から2021年まで約10年間通い、この地獄谷野猿公苑でニホンザルの生態観察をしていたのが、今の野生動物観察活動のきっかけになっています。
この地獄谷野猿公苑に「トックリ00」と名前がつけられた1頭のメスザルがいます。


モヒカンヘアーが特徴的なこのメスザルはこの群れのメス頭です。
注) メス頭とは群れの序列1位のメスザル
私がこのメスザルの存在に注目し始めたのは2015年春。
このメスザルとの出会いがその後の私の人生を変えることになりました。
2015年、このトックリ00は自分のアカンボウのほかに、もうひとり、親と離ればなれになってしまったアカンボウも引き取って一緒に育て始めます。
双子状態です。
私はこの事件をきっかけにトックリ00を追い始めます。
それまで、温泉に入るサルや可愛い赤ちゃんザルばかり撮っていた私の行動は大きく変わりました。
それは私の本格的な野生ニホンザル観察活動のスタートでした。
私は2015年〜2020年頭くらいまで、このトックリ00をひたすら追い続けます。
それは、その当時出会った何冊かの野生ニホンザルに関する書籍などの影響もあるのですが、2020年、コロナの爆延により、地獄谷野猿公苑の長期閉鎖、そして再開後も長く続いた、他県からの来苑の自粛要請により、私は活動を野猿公苑からコロナ感染の不安の少ない山岳地帯での単独野生動物観察活動に移行させていくことになります。
その後、コロナ騒動は終焉し、私は2021年にわずかな回数のみ地獄谷野猿公苑にも行きましたが、2021年には既に完全な山岳群の生態観察がメインになっていましたので、事実上トックリ00の密着観察は2020年3月くらいで終了した形になりました。
私が地獄谷野猿公苑での観察活動を事実上終了してから既に6年が経ち、トックリ00の近況もSNSで見る程度ですが、今でも高い人気を誇っているようです。
もうかなりの高齢ですから、これからは穏やかな隠居生活をして欲しいものです。
しかし「メス頭」には、いくつかの段階があります。
トックリ00が今どの段階にいるのか、私はもうトックリ00の観察をしていませんのでわかりませんが、SNSで見る限りでは、まだほんの初期段階のように見受けられます。
要は、トックリ00と、新たに立場が変わった新しいメスとの1対1の関係性の変化によって、メス頭が変わった、と言っている段階のように見受けられます。
この段階では、まだ群れのメスたちのほとんどは、精神的にトックリ00を頼っています。
まだ群れのメスたちの精神的なメス頭はトックリ00なんです。
新たに立場が逆転したメスは、この環境を変え、自分の存在感を示していくためにさまざまな施策を講じます。
まずは強いオスを味方につけることです。
次に餌場の中心を陣取り、他のメスたちが見ている前で、トックリ一族を排除したり、力関係の差を見せつけるためにエサを横取りするような行動を見せます。
これらの行動が続くなかで、群れのメスたちは、トックリ00とこのメスとの力関係が逆転したことを実感していきます。
しかしそれでもまだ群れのメスたちにとって、精神的な支えであり信頼を寄せるのはトックリ00なんです。
白山の群れのメス頭を追ったドキュメンタリー本に、まったく同じようなメス頭の交代のシーンが出て来ますが、その群れのメスたちは、メス頭が交代したあとも約1年くらいは以前のメス頭の元に集まり続け、新たなメス頭は結局1年もたずにまた違うメスに変わることになり、そのメスも長続きしませんでした。
たまたまその時のアルファオスに気に入られ、そのオスのバックアップを受けて立場が強くなっただけで新たにメス頭なったようなメス頭はまず長続きしません。
重要なのは、群れのメスたちからどれだけ頼りにされているか、なんです。
逆に言えば、そのメスがどれだけ群れのメスたちを守り助けてきたか、なんです。
それが信頼関係であり、この信頼関係があって始めて、群れのメスたちはそのメスをメス頭として認めるのです。
トックリ00がメス頭になったのは2013年。
今年までで13年間メス頭に君臨し続けました。
おそらくは地獄谷野猿公苑史上、最長期間だと思います。
この13年間トックリ00が築き上げてきた、群れのメスたちからの信頼関係はそう簡単に崩壊するような脆弱なものではないのです。
相互の強弱関係による形式上のメス頭と、群れのメスたちからの信頼関係による精神的なメス頭は別なんです。
新たなメス頭は、群れのメスたちからの信頼を得るまでに相当苦しむと思います。
トックリ00は残された生涯の時間はあまり長くはないと思います。
トックリ00は、過去の偉大だったメス頭同様、その生涯を終えるまで、群れのメスたちから頼られる存在でありつづけるでしょう。
* ヘッダー画像、及び本文中の画像、動画は、注釈が無い限りは私本人の撮影 によるものです。|
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