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【ニホンザル】 スノーモンキーという虚像 その1

こんにちは、kiyoです。
志賀高原から渋、湯田中温泉へと流れる横湯川沿いに地獄谷と呼ばれる谷があります。
川原の至る所から温泉の湯気が立ち上っていて、川原の石も赤く染まっている雰囲気はまさに地獄谷と呼ぶにふさわしい雰囲気です。
ここに、野生ニホンザルを餌付けしている施設があります。
地獄谷野猿公苑といって、「温泉に入るサル」として世界的に有名な観光スポットです。

私もここで10年ほど修行を積みました。
ここは志賀高原から降り下ろしてくる豪雪地で、手軽に豪雪地帯の野生ニホンザルの姿を見たり撮影したり出来る施設として、観光客だけでなく、プロのフォトグラファーも世界中から訪れる場所です。

しかしプロのフォトグラファーはプロの野生動物研究者ではありませんので、彼らが写真や映像で伝えるものが正しく野生ニホンザルの生態を伝えているか、というと、残念ながらそうではないことが多いのです。

フォトグラファーは自分の作品を売り込む、或いはコンテストで認められることが最大の目的ですので、どうしても受け取り側の感情に響くようなイメージを創作しがちです。

その、人間によって創作された野生ニホンザルのイメージの最たるものは「snowmonkey」というイメージです。

世界に最初にこの言葉が一般的に浸透したのは、1970年2月に発刊されたLIFE誌に取り上げられたニホンザルです。地獄谷野猿公苑で撮影され、「snowmonkeys of japan」として紹介されました。

欧米には野生のサルは生息していないので、欧米人は動物園でしかサルを見たことがなく、それはアフリカ、アマゾン、東南アジアの熱帯ジャングルに生息している動物だ、という認識が一般的だったため、雪降る中で人間のように温泉に入っているサルの写真は世界に衝撃を与えたのです。

これによって、多くのフォトグラファーが地獄谷野猿公苑を訪れるようになり、「snowmonkey」の生態などまったく理解していないフォトグラファーたちによって、「厳冬の豪雪地で生死の狭間を必死に生き抜くスノーモンキー」なる間違ったイメージが広まっていくことになります。

こういった、フォトグラファーにとって都合のいいイメージ、作品を見てくれる人に訴求力のあるイメージ、それが正しい野生ニホンザルの生態からかけ離れたものであっても、そんなことはどうでもいい、と考えるフォトグラファーが大半です。
地獄谷野猿公苑を訪れるフォトグラファーの9割は冬しか来ません。
もうその時点で言わずもがななわけです。

誤解のないように、すべてのフォトグラファーがそうではありません。
タイトルやキャプションだけでなく、本当に野生の姿を追い続けているフォトグラファーもいます。

「スノーモンキー」という言葉は、野生ニホンザルの生態を正しく表した言葉とは言えません。
ニホンザルは北極圏に生きる動物ではなく、積雪地域のニホンザルでも1年の2/3は雪の無い暮らしをしています。

また、冬にしても、「豪雪地で極寒の冬を生きる過酷な生活」みたいなイメージで、「スノーモンキー」という言葉が使われますが、彼らの冬の暮らしは決してそんな悲惨なものではありません。

私が観察活動している地域は、長野県新潟県の県境に跨がる山岳地帯です。
冬の積雪は5mに達します。
その山岳地帯で7年にわたってサルを追ってる私が、彼らの暮らしは決してそんな悲壮感に満ちた過酷なものなどではない、と断言します。

そんな話をまた その2 でお話しします。

* ヘッダー画像、及び本文中の画像、動画は、注釈が無い限りは私本人の撮影 によるものです。

* 各野生動物ごとの記事をマガジンにまとめてあります。
過去ログもぜひお読みください。










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