『月を拾ったねこ』
家の猫が「月を拾ったよ」と得意気だ。それはLED電球だよと教えたけど「ウソだぁ」と信じてくれない。
月は、遠くにあって、ここから見ると小さく見えるけど、本当はとても大きい岩の塊なんだ――そう言っても全く聞いてない。両手で”月”を頭の上に掲げて嬉しそうだ。
夜になれば、本当の月が出るから、わかるかもね。でも――がっかりするかな。少しだけ心配だ。
春の夕べも、今日はつるべ落としだ。
早速、猫と並んで空を見る。
空は真っ暗で、星がいつもより、明るく見える。猫が「月明かりが無いからね」とまん丸になった瞳で空を見上げる。
そして「ちょっと待っててね」と屋根の上に登ると背伸びして空に”月”をねじ込んでいる。空に、——満月が戻った。本当に月だったんだ。
屋根から降りてきた猫に「部屋につければ、毎日近くで見れたのに」と言うと「明るいと寝られないから」と目を細める。
僕が「月」を拾ったらどうしよう。
SNSに投稿?テレビ局に連絡?大学に寄付?
……でも僕が悩んでる間に、きっと家の猫が屋根の上に持っていくんだろうな。

(了)
※下記、片桐みかん様の企画に参加させて頂きました。今回、お題①のみの作品です。
#3つのお題に空想のひらめきを
#月を拾ったねこ
🍊第48回 3つのお題(日本むかし話)
🎈お題①:「月を拾ったねこ」
