『文鳥星人』 #せりふ三題噺
隣の部屋に文鳥星人が引っ越してきてから、早起きになった。喜んでいるわけじゃない。朝早くから大きな声で鳴くから眠れないんだ。
日曜日でさえ朝五時に、窓を開けてキューキュー、ヒューヒュー鳴き始める。たまったもんじゃない。相手が違う星の住人でも、さすがに続くなら注意しないと。郷に入れば郷に従えだ。
コーヒーを淹れようとしていると、インターフォンが鳴る。モニターいっぱいに、大きな赤いクチバシ。文鳥星人だ。
のこのこ文鳥がネギ背負ってやって来やがった。
言ってやるよ。
僕は言うときは言う地球人だ。
パジャマのまま、勢いよくドアを開ける。
「朝早くからすみません。平日はお忙しいと思い、ご挨拶が遅れました」
目の前の文鳥星人は、丁寧な口調で頭を下げる。おまけに、引っ越してきた日、定住権の申請窓口に付き添ったお礼だと手土産まで差し出してくる。申請も無事に受理されたらしい。
文鳥星人は、すごく礼儀正しい良い人みたいだ。
「おめでとう!」
「これからも困ったことがあったら、何でも言ってください」結局、そう答えた。
手土産は、いちごだった。福岡のあまおう。
大粒のそれは、文鳥星人のクチバシのように、つややかで赤かった。
(了)
※下記、はらとけい様の企画に参加させて頂きました。
#せりふ三題噺
#いちごパジャマ文鳥
■セリフ
「おめでとう!」
■三題
・いちご・パジャマ・文鳥
