たとえツッコミがハマらない
たとえツッコミで人を笑わせる。
これは、誰しもが憧れることだ。
テレビの芸人を見ては、自分もキラーフレーズを繰り出し笑わせたいと憧れてきた人生だが、結局はずぶの素人。
内輪の飲み会でさえ、笑わせられないこともしばしば。
今回はそんな反省ばかりのたとえツッコミ史において、
「これはもう少しウケてもよかっただろ」というたとえツッコミのエピソードを紹介したいと思う。
遡るは昨年のゴールデンウィーク。
大学4年生だった僕は、就職活動のインターンシップで出会った女の子と、就職相談という体で会い始め、徐々に就活など関係なく会うようになった。
そして、3回目のデートは、女の子からの提案で、舞浜にあるイクスピアリという商業施設に決まった。
お互いディズニーランドが好きということもあるのだが、「にしても、めっちゃデートじゃん。」と思った。
しかも、「映画を一緒に見たい!」とも言われた。
GW×お昼×舞浜×映画×3回目
これをデートと言わずに、何をデートと呼ぶのかと思うほどのデートだ。
たとえツッコミの話を聞きたいのに、デートという単語を一文で3回も聞かされたと思った人は、ちょっと待っていてほしい。
話は戻って、
当日は順調に時間が過ぎ、予定通りに映画のチケットを買った。その後、歩き疲れた僕たちは、スターバックスでひと休みしながら、だらだらとしゃべった。
付き合う前に、恋バナをしておくと、お互いに男女として意識し合うという知識をもとに、お互いの過去の恋愛遍歴を話す方向に舵を切った。
元カレはこういう人で、こういう原因で別れただの、元カノはこういうことがあって別れただの、赤裸々に話していた。作戦通りだ。
そんな時、
「元彼はそんな感じで全然尽くしてくれなかったんだよねー。でも今の彼氏は色々尽くしてくれるんだよねえ。」
え?彼氏いたの?
え?こんなデートしてるのに?
え?彼氏いるのに、別の男と映画見る?
え?今から彼氏持ちの女と映画見なきゃいけないの?
パニック状態である。
今、自分が置かれている状況と、隣を歩いている女子の感情が一向に理解できないまま、シアターに入った。
中に入ると、人が全くいなかった。
ゴールデンウィークの映画館だとはとても思えない。
そして、僕たちが予約していた席は、だいぶ前方の席の中央2席だった。
"人が誰もいない映画館の前列中央2席"
"人が誰もいない映画館の前列中央に俺らだけ"
そして、僕は言い放った。
「いや、ファミリーヒストリーじゃん。」
ウケなかった。スターバックスで顔を歪めながら、「いい彼氏だね〜。」としか出てこなかった僕がなんとか言葉を繰り出したというのに。
今振り返っても、NHKの番組・ファミリーヒストリーになぞらえた悪くないツッコミだ。
言い方のトーンもかなり素晴らしかったと自負している。
「いや!ファミリーヒストリーか!!」
なんて仰々しい言い方はしていない。
ロートーンでボソッと言う感じで、ツッコんだ。
しかし、全く女の子はピンと来なかった。
失恋すべくして失恋したんだと思った。このツッコミで笑えないなら、もともと相性なんてよくなかったんだ。そう思えるきっかけでもあった。
この話をしたら、笑ってくれたのが今の彼女だ。
彼女を笑わせるべく、たとえツッコミを繰り出していきたいが、喉に突っかかる。
あの時のトラウマがシコリとして残っている。
もう、たとえツッコミはしたくない。
素人がたとえツッコミなんてするもんじゃない。
