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keitauehara
ラテとヘッドホン
先日、新幹線に乗った。
入口から二番目の席で発車を待っていたら、通路を挟んだ斜め前の席に二人連れの女子が座った。二人ともスーツケースの大きなのを引いている。旅行にでも行くのだろう。奥の方は見えないが、通路側の女子は大きなヘッドホンをかぶっていた。そうして手にはスタバの紙コップを持っている。
自分は昔から、ヘッドホンをかぶって外を歩く人が何だか苦手である。理由はわからないけれど、どうも苦手なのである。ダメだと云うのではない。ただこちらで苦手なだけである。
人が何をどういう理由で敬遠しようと、当人以外にはそんなことはどうでもいいので、パスタ屋の副店長をしていた時分に料理人を自称するバイトの金山さんが「俺は◯と◯と◯が、△だから食べられないんだよ。俺が嫌いなものは全部、そうやって理由が説明出来るんだ」と豪語していたのも、一向興味がないからすぐに忘れた。ただ、どうでもいいことを豪語していたと覚えているばかりである。
新幹線が動き出すと、ヘッドホン女子は紙コップを落として白茶色い液体を通路にぶち撒けた。自分はその色で、どうやらラテだろうと見当をつけた。
足元に大きなスーツケースがあって簡易テーブルが使えないから、スーツケースの上にコップを置いていたのである。あんなつるつるした上に置いたのでは、滑って落ちるのも道理だろう。
女子は慌てて、「すみません!」と詫びながらティッシュを取り出し、通路の向こうに座っていた男性客のズボンと床をティッシュで拭いた。その間もヘッドホンはかぶったままだった。
じきに車掌もやって来て、一緒に床を拭いた。それから男性客のシートの座面を交換した。
シートの座面が交換できると、自分は初めて知った。
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