亡友の息子
中学生になって、シャープペンシルの使用が許可されると早速使い始めた。正門前の小さな文具店で登校前に買ったものである。
元来そこは文具店というより、本業は何か他のことをやっているのが、体操服などの学校用品を扱うついでに文具も置いていたのだろうと思う。そういう店だから品揃えはしょぼい。シャープペンシルも安価で無難なのが二、三種あるきりで、その中で鉛筆みたいな六角軸のを一本買った。軸色はクリアレッドを選んだ。そうして後から無色透明のを買い足した。
ある時、授業中に赤と透明とで商品ロゴの印字が違っていると気が付いた。赤の方はただの白文字でKNOCK PENCILと書かれているのに対し、透明のは印字がキラキラしている。別に、同じ白文字で良さそうなものだが、何かメーカーの方で思うところがあったのだろう。
「これ、字の色が違うで」
吉川に教えてやったら、吉川は「ふーん」といかにも興味のない返事をした。それで吉川はもう相手にしないことにして、それからは透明の方をよく使ったけれど、シャーペンも段々よその店で色気づいたのを買うようになって、赤も透明もじきにどこかへやってしまった。
KNOCK PENCILはその後知らない間に生産終了していたのが、最近になって後継モデルが発売された。たまたま文具店で見付けて懐かしくなり、白軸を一本買った。
昔のと同じ六角軸だけれど、随分色んな機能が付いていて、どうも別物みたいに感じられる。
だからこれを使って仕事をしていると、古い友人の息子と組んでいるような心持ちになる。そうして何となくレッド・ツェッペリンというバンドを思い出す。
レッド・ツェッペリンは1980年にドラマーが亡くなって解散したが、その息子もドラマーになったのを迎えて、2007年に一度限りの再結成をした。
以前、自分のバンドのドラマーに「お前が死んだら息子を迎えて再結成するよ」と言ってやったら、「息子はドラマーじゃない。アイドルの追っかけをしてる」と言うので、「それじゃぁ止すよ」と諦めた。
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