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床屋のお姉さん、ドラゴンボール

 中学時代はいわゆる少年ジャンプ黄金期で、『北斗の拳』とか『キン肉マン』とかが大いに持て囃されていたけれど、自分はどれも読んでいない。
 だから同年代の人たちとマンガの話になると具合が悪い。ジャンプに限らず、中学時代はマンガをほとんど読んでないのだけれど、それを云うと、ガリ勉君とか異常に厳しい家だったみたいに思われそうで面白くない。実際は自分が興味がなくて読まなかっただけなのだけれど、話の腰を折るようでそれも云いづらい。
 だから、『ドラゴンボール』だけは最初の内読んでいたことにして適当に話を合わせるが、あんまり突っ込んだ話になると段々そうもいかない。先日はそれで、「どこまで読みました?」と深堀りを試みる人があって、返答に困った。

 『ドラゴンボール』を最初の方だけ読んだのは嘘ではない。ある時、床屋の待ち時間にジャンプをペラペラやっていて偶々たまたま第一話を見つけ、面白そうだと思って読み出したのである。
 それから毎月床屋へ行く度にまとめて読んだが、毎回待ち時間があるわけでもないから、話が飛んでしまうこともある。覚えているのは第一話と亀の甲羅の老人が登場した話と玉が揃って龍が出て来た話だけである。
 高校生になると、髪を切るのも美容室へ行くようになった。美容室には少年ジャンプがなかったから、『ドラゴンボール』も読まなくなった。 その後どうかした弾みに、マッチョな人たちが髪の毛を金髪にする格闘マンガになったらしいと知って、やっぱり興味がなくなった。

 あの床屋には店主らしき年配女性と、若い女性理容師がいた。
 若い方の理容師さんは、自分らの間では「床屋のお姉さん」として有名であった。美人だったのである。ただどういうわけか、思い出そうとすると向かいに住んでいたヨシコさんの顔になる。

 床屋は今でも営業しているが、もうずっと入っていないから、あのお姉さんが継いだのか他の誰かがやっているのか、中の様子は一向わからない。自分の帰省中はいつも休業中なのである。

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