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「老化は治せる時代」が始まる?

「年齢には勝てない」
「老化は避けられない」

そう思っている人は多いでしょう。

しかし、近年の生命科学では、その常識が大きく変わろうとしています。

実際に世界中では年間数千本以上の老化研究が発表され、「老化」は単なる時間経過ではなく、
コントロールできる生物学的現象として研究が進んでいます。

2024年には世界のアンチエイジング市場は約700億ドル(約10兆円)規模とも推計され、
医療・製薬・食品・テクノロジー企業が莫大な投資を続けています。

その中心にあるのが、
日本人研究者の発見によって世界的に注目されている「オートファジー(自食作用)」です。

今回は、大阪大学名誉教授・吉森保先生の研究をもとに、「細胞レベルの若返り」について紹介します。

・老化しない生き物は実在する

「生き物は必ず老いる。」

実は自然界では、この常識が当てはまらない生物が存在します。

例えば、

・ハダカデバネズミは一般的なマウスの約10倍近い寿命を持ち、高齢になっても筋力や活動量がほとんど衰えません。

・ベニクラゲは成熟後でも幼体へ戻る能力を持ち、「生物学的に不老不死」と呼ばれることがあります。

もちろん人間が同じようになるわけではありませんが、この事実は「老化は絶対ではない」ことを示しています。

つまり、生物には老化を遅らせる仕組みが存在するのです。

・細胞には「リサイクル工場」がある

私たちの体は約37兆個もの細胞でできています。

その細胞の中では毎日、古くなったタンパク質や壊れたミトコンドリアなどが大量に発生しています。

そこで働くのがオートファジーです。

オートファジーとは、
不要になった細胞の部品を分解し、
新しい材料として再利用する仕組みです。

いわば、

「細胞内のリサイクル工場」

ともいえる存在です。

この働きには大きく2つの役割があります。

① 古くなった細胞部品を新しく作り替える

② 異常タンパク質やウイルスなど不要なものを除去する

この機能が正常に働くことで、細胞は健康な状態を維持できます。

・老化は「掃除能力の低下」だった

しかし問題があります。
オートファジーの働きは年齢とともに低下します。

すると細胞内に”ゴミ”が蓄積し、

・認知症
・糖尿病
・動脈硬化
・がん
・筋力低下

など、多くの加齢性疾患との関連が指摘されています。

日本では平均寿命は男性約81歳、女性約87歳。

一方で健康寿命は男性約72歳、女性約75歳。

つまり約9〜12年間は、何らかの健康上の問題を抱えながら生活している計算になります。

この期間を短くすることが、老化研究最大の目標でもあります。

・若返りのブレーキ「ルビコン」


吉森教授らが発見したのが、

Rubicon(ルビコン)

というタンパク質です。

これはオートファジーにブレーキをかける役割を持っています。

加齢とともにルビコンは増加し、
オートファジーの働きを弱めてしまいます。

動物実験ではルビコンを抑制すると、

・寿命がおよそ20%延長
・免疫機能の改善
・運動能力の回復
・加齢性疾患の改善


などが確認されています。

人間への応用には今後さらなる研究が必要ですが、
「若返り(リジュベネーション)」
という考え方は、すでに現実味を帯び始めています。

・今日からできることもある?


研究の中には、私たちの日常生活で活かせるヒントもあります。

阿波晩茶

徳島県に1000年以上伝わる発酵茶です。
研究では、
この発酵茶に含まれる成分がオートファジーを活性化する可能性が報告されています。

線虫を用いた実験では、
高齢で動けなくなった個体の活動性が改善したという結果も紹介されています。

NMN

近年話題となっているNMNは、長寿遺伝子「サーチュイン」の働きとの関係で注目されています。
一方で、現時点ではヒトでの長期的な有効性や安全性については研究が続いている段階です。

吉森教授も、過度な期待や高用量投与には慎重な姿勢を示しており、「万能薬」と考えるべきではないと述べています。

・老化は「運命」ではなく「管理」の時代へ

かつて、

高血圧は年齢のせい。
糖尿病は体質。

そう考えられていました。

しかし現在では、生活習慣や医療によってコントロールできる病気になっています。

老化も同じ道を歩み始めています。

もちろん、「若返り」がすぐに実現するわけではありませんが細胞を守る仕組みを理解し、

睡眠・運動・栄養・ストレス管理など、
オートファジーが働きやすい生活を積み重ねることは、健康寿命を延ばす可能性につながります。

人生100年時代です。

重要なのは寿命を延ばすことだけではありません。

「最後まで元気に、自分らしく生きる時間を増やすこと」。

その鍵を握る一つが細胞の中で24時間休むことなく働いているオートファジーです。

参考・出典

・東洋経済オンライン YouTube「老化研究の権威・吉森保『細胞から若返る未来』」
・厚生労働省「健康寿命の令和4年値」
・大阪大学 吉森保教授研究室
・2016年 ノーベル生理学・医学賞(オートファジー研究)

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