『立証責任』って何?
「立証責任」って何?
コレ…面白い話題なのに… なかなか 面白く書けない…💧
こうやって ハードルを下げながら、やっていきます😅👍️
選挙無効訴訟では、度々話題に出てくるこのワード…『立証責任』… 何となくイメージは付きますが、
つまりコレは何なの? と… 言うところを今日は民事訴訟と刑事訴訟を比較しながら深掘り解説して参ります✨✨ では、スタート👇️
選挙無効訴訟の提出書類作成をしていますと裁判では、
「証拠は原告が集めてください。」
という言葉をよく耳にします。
これを法律では
「立証責任(りっしょうせきにん)」
と言います。
難しく聞こえますが、簡単に言えば、
「自分が言っていることが本当だと裁判所に納得してもらう責任」
という意味です。
しかし、ここで一つ疑問があります。
立証責任を負う人は、本当に証拠を集められる立場にいるのでしょうか。
今日は、
・民事訴訟
・刑事訴訟
・選挙無効訴訟
この3つを比べながら、立証責任と証拠収集能力について考えてみたいと思います。
① 民事訴訟の場合
立証責任
例えば、
AさんがBさんに100万円を貸しました。
しかし、
返してもらえません。
そこで裁判になります。
Aさんは、
「100万円貸しました。」
と言います。
Bさんは、
「借りていません。」
と言います。
裁判所は、
どちらが本当なのか分かりません。
そこで、
貸したと言うAさんが、
・契約書
・銀行の振込記録
・LINEのやり取り
・録音データ
などを提出し、
「貸した」という事実を証明します。
これが立証責任です。
証拠収集能力
でも、
ここで考えてみてください。
契約書を相手が持っていたら?
銀行の振込記録は銀行が管理しています。
会社の契約書は会社が保管しています。
防犯カメラの映像は建物の管理者しか持っていません。
つまり、
原告だけでは手に入らない証拠もあります。
だから法律には、
・文書提出命令
・文書送付嘱託
・調査嘱託
など、
証拠を持っている側から提出を求める制度があります。
つまり、
立証責任は原告でも、
証拠収集能力の差を少しでも埋める仕組みが用意されているのです。
被告が反論したら?
例えば、
Bさんが、
「100万円は借りました。でも、もう返しました。」
と反論したらどうでしょう。
今度は、
「返した」という事実を主張しているBさん
が、
・振込記録
・領収書
・受領書
・LINE
などを提出して証明します。
つまり、
新しい事実を主張した人が、その事実について立証責任を負う
というのが民事裁判の基本です。
被告が反論しなかったら?
被告が何も反論せず、
証拠も提出しなければ、
原告の主張が有利に働きます。
つまり、
民事裁判では、
反論しないことが敗訴につながる可能性があります。
② 刑事訴訟の場合
立証責任
刑事裁判は、
民事裁判とは考え方が大きく違います。
例えば、
警察が、
「この人が犯人です。」
と言います。
警察官側の検察官も、
「有罪です。」
と言います。
しかし、
被告人には、
自分が無実だと証明する義務はありません。
犯人であることを証明する責任は、
最後まで検察官にあります。
証拠収集能力
なぜでしょうか。
警察には、
・家宅捜索
・押収
・事情聴取
・DNA鑑定
・指紋鑑定
・防犯カメラ映像の確保
など、
法律で認められた強い捜査権があります。
一般市民には、
そんな権限はありません。
だから、
最も証拠を集められる立場にある検察官が立証責任を負う
という仕組みになっています。
被告人が反論したら?
例えば、
被告人が、
「事件当日は旅行していました。」
と主張したとします。
旅行の写真。
ホテルの領収書。
新幹線の切符。
などを提出することもできます。
しかし、
それでも、
最後まで犯人であることを証明する責任は、
検察官にあります。
被告人が反論しなかったら?
被告人が何も話さなくても、
それだけで有罪にはなりません。
検察官が十分な証拠を提出できなければ、
無罪になります。
これが、
「疑わしきは被告人の利益に」
という刑事裁判の基本的な考え方です。
③ 選挙無効訴訟の場合
立証責任
ここが、
私が一番考えさせられたところです。
選挙無効訴訟では、
形式上、
原告が
「選挙に違法があった」
ことを立証します。
ここだけ見ると、
民事裁判と似ています。
証拠収集能力
しかし、
証拠は誰が持っているのでしょうか。
・投票用紙
・投票録
・開票映像
・バーコードの読取記録
・集計データ
・開票時の各種記録
これらのほとんどは、
被告側である選挙管理委員会などが保管しています。
一般有権者である原告は、
自由に確認することも、
持ち帰ることも、
独自に調査することもできません。
つまり、
立証責任は原告にあるのに、証拠収集能力は極めて限られている
という構造になっています。
私は裁判を経験して、
ここに大きな疑問を感じました。
被告が反論したら?
例えば、
原告が、
「開票手続に違法がありました。」
と主張したとします。
すると被告は、
「法律どおり開票しています。」
「手続は適正でした。」
「違法はありません。」
などと反論します。
裁判所は、
双方の主張や証拠を比較しながら判断します。
被告が反論しなかったら?
ここが、
民事裁判との違いです。
民事裁判では、
反論しなければ、
原告の主張が認められ被告に不利に働く可能性が高いです。
しかし、
選挙無効訴訟では、
被告が積極的に反論しなくても、
裁判所は、
法律上の要件を職権で慎重に審査します。
そのため、
「被告が反論しない=原告が当然に勝つ」
という仕組みではありません。
むしろ、被告は反論しない・証拠を出さない事が不利に働かないため、それを行わなくとも勝ってきました。
立証責任と証拠収集能力は同じではない
ここまで見てくると、
同じ「立証責任」という言葉でも、
裁判の種類によって考え方が大きく違うことが分かります。
私は、
立証責任そのものを否定したいわけではありません。
裁判には、
「主張する人が証明する」
というルールは必要だと思います。
しかし、
一方で、
立証責任を負わせるのであれば、その人に現実的な証拠収集能力があるのかという点も、公平な裁判という観点から重要ではないでしょうか。
私は例えば家宅捜索するような権利は持っているのでしょうか。
文書提出命令を出しても 証拠提出命令・求釈明を出しても 被告は応じずとも勝てます。
そして、もちろん被告は応じません。
証拠を自由に集められる人。
証拠をほとんど持っていない人。
証拠を持っていても出さない事が不利に働かない人。
この違いを全く考えず、
同じ立証責任だけを課すのであれば、
本当に公平と言えるのでしょうか。
私は、
選挙無効訴訟の原告として、
そんな疑問を持ちます。
行政訴訟を行う原告の皆様も同じような構造の中で疑問を感じていらっしゃるのでは無いでしょうか。
最後に
立証責任とは、
単なる
「証拠集めゲーム」
ではありません。
本来は、
「裁判所に、自分の主張が正しいと納得してもらう責任」
です。
そして、
その責任を負わせるのであれば、
「その人は証拠を集められる能力があり、その立場にあるのか」
という視点も、
公平な裁判を考える上で、とても重要な論点ではないでしょうか。
皆さんは、この「立証責任」と「証拠収集能力」の関係について、どのように感じ考えますか。
