7条解散が違憲だったとして… そもそも日本にそれを裁ける裁判がない?
7条解散が違憲だったとして…そもそも、その違憲性を裁ける裁判は日本にあるのでしょうか?
鋭いご質問から、調べてみて驚くべき結論に辿り着きました。私は204条選挙無効訴訟で訴えますし、他の原告が訴える事を勿論否定するものではないですが、
204条選挙無効訴訟で訴えた答え合わせは後日 結果が出ると思います。
その前に私なりの深掘り考察です。
一つの疑問にぶつかりました。
それは、
「7条解散は憲法違反だ。」
と思ったとして、
一体どこの裁判所で、どんな裁判を起こせば、その違憲性を判断してもらえるのでしょうか?
という疑問です。
調べれば調べるほど、不思議になってきました。
まず思い付くのは204条。
公職選挙法204条の選挙無効訴訟です。
私も現在、この制度を利用して裁判を行っています。
しかし204条は、本来、
・投票手続
・開票手続
・選挙管理委員会による選挙執行
・選挙の方法
など、
「選挙が法律どおり適正に行われたか。」
を審理する制度です。
そこで私が、
「7条解散は憲法違反だから、その違憲性を判断してください。」
と主張したとします。
すると裁判所からは、
「本件204条訴訟で審理するのは選挙の効力です。7条解散が憲法違反だったかどうかは、本件の審理対象ではありません。」
と言われる可能性があります。
つまり、
私は
「7条解散が違憲だったか。」
を見てもらいたい。
しかし裁判所は、
「投票や開票など、選挙の手続に違法があったか。」
を見ている。
見てもらいたいものと、裁判所が見ているものが違う。
そんな状況になり得るのです。
では205条は?
205条は、
当選人の当選の効力を争う制度です。
例えば、
本当はAさんが当選するはずだったのに、集計ミスでBさんが当選してしまった…。
そんな場合に、
「その当選は無効です。」
と争う制度です。
しかも利用できるのは、
一般有権者ではありません。
落選候補者や、繰上当選の可能性がある候補者など、
法律上の利益を持つ人だけです。
つまり、
一般有権者には205条を利用する資格がありません。
そして205条も、
7条解散そのものが違憲かどうか
を判断する制度ではありません。
国家賠償請求なら?
理論上は、
「違憲な解散によって損害を受けた。」
として国を訴えることも考えられます。
例えば、
解散から投票日まで極端に短く、
候補者擁立や選挙運動の準備期間が十分確保できず、
参政権や政治活動の機会が侵害されたと考える候補者や政党であれば、
国家賠償請求を検討することは理論上あり得ます。
しかし、
国家賠償請求は、
違法行為だけでなく、
損害や因果関係まで立証しなければならず、
非常に高いハードルがあります。
しかも、
この裁判は
「損害賠償を認めるかどうか」
が目的です。
「7条解散が違憲かどうかだけを判断してください。」
という裁判ではありません。
ここで、さらに疑問が生まれます。
私は、
7条解散について調べていて驚いたことがあります。
「7条解散は違憲だった。」
という判決を勝ち取った原告を知りません。
逆に、
「7条解散は合憲である。」
と真正面から判断した最高裁判決も、私は知りません。
つまり、
この問題について、
最高裁が白黒を付けた判例を見付けることができませんでした。
成功体験もありません。
前例もありません。
だから、
「この方法が正解です。」
と言い切れる人もいません。
アレ?司法救済の空白…?
ここで出てくるのが、
「司法救済の空白」
という考え方です。
少し難しい言葉ですが、
意味は意外とシンプルです。
例えば、
皆さんの家の近くに交番があったとします。
困ったことが起きたので相談に行きます。
すると、
「それは市役所です。」
と言われます。
市役所へ行くと、
「それは裁判所です。」
と言われます。
裁判所へ行くと、
「それは私たちが判断する問題ではありません。」
と言われます。
結局、
どこへ行っても誰も判断してくれない。
そんな状態です。
法律の世界では、
このように、
「権利が侵害されたかもしれないのに、それを実効的に審査・救済してくれる制度が見当たらない状態」
を、
司法救済の空白
と呼ぶことがあります。
つまり、
制度はたくさん存在しているように見えても、
いざ自分が困ったとき、
どの制度にも当てはまらず、
誰も中身を判断してくれない…。
その結果、
実質的に救済を受ける場所が存在しない。
これが「司法救済の空白」という問題です。
そして憲法32条。
日本国憲法第32条には、
「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。」
と書かれています。
この条文は、
単に裁判所の建物へ入れるという意味ではありません。
多くの憲法学者は、
「権利が侵害されたときには、裁判所で実効的な救済を求める機会が保障されるべきだ。」
という趣旨も含んでいると考えています。
だからこそ、
もし、
7条解散が本当に違憲だったとしても、
204条では判断されない。
205条でも判断できない。
国家賠償請求でも真正面から違憲性を審理してもらえない。
そうだとしたら、
「裁判を受ける権利」はあると言われているのに、実際には7条解散の違憲性を判断してもらえる裁判制度が見当たらないことにならないだろうか。
という疑問が生まれます。
例えるなら…
学校で先生がルール違反をして試合を始めました。
生徒は言います。
「先生、その試合の始め方はルール違反ですよ。」
すると、
ある先生は、
「私は試合結果しか見ません。」
別の先生は、
「私は優勝者しか見ません。」
また別の先生は、
「私は得点だけを見ます。」
でも、
「そもそも試合を始めたこと自体がルール違反では?」
という部分を見てくれる先生が誰もいない。
皆が、
「それは私の担当ではありません。」
と言ってしまう。
そんな状態だとしたら、
皆さんはどう思うでしょうか。実際、そのような状態にあると思えてならないです。
私の個人的な疑問です。
これは、
私が正しいと言いたい話ではありません。
純粋に湧いてきた疑問です。
「7条解散の違憲性を実効的に審査してもらえる裁判制度は、本当に存在するのでしょうか。」
もし、
204条では違う。
205条でも違う。
国家賠償請求でも違う。
そうだとしたら、
7条解散の違憲性を実効的に争える場所が制度上見当たらないのではないか。
もし本当にそうなのであれば、
それは憲法32条が保障する
「裁判を受ける権利」
との関係で、
司法救済の空白
という問題につながるのではないでしょうか。
私は、この問いについて、法律家や政治家、そして国民の皆さんと一緒に考えてみたいまたは答えを下さる方が現れる事を心から願っています。
※この記事は、裁判を経験している一人の原告として抱いた疑問を「考察」としてまとめたものです。ここで述べている内容は、現行法上の制度についての問題提起であり、「7条解散を争う裁判制度が存在しない」と断定するものではありません。実効的な司法救済のあり方について、読者の皆さんにも一緒に考えていただければ幸いです。
