【<叱る依存>が止まらない】育児で悩むあなたに。「叱る」を問い直す一冊
育児に関して、さまざまな情報があふれている。
褒めて育てよう。
厳しく叱ることも必要。
叱ることも褒めることもよくない。
それぞれの立場の人たちの「正解」があり、それを選び取るのは自分。子どもと向き合う中で、親と子のカタチを見つけていくしかない。それが、はじめから「これ!」ってわかっていたら簡単なのだけど、そんな簡単なものでもない。
長男が3歳を過ぎてから、「叱る」場面が激増した。
・次男とのもめごと
・保育園に行き始めての甘え
・好奇心による行き過ぎた行動
感情が先んじて、思わず「叱る」という行為を取ってしまう。とくに、次男に対して手を出すことだけは、どうしても止めさせたい。止めなければ、次男が危ない。長男に手を出すということがダメだということも、知ってもらいたい。
けれど、「叱る」手段を取ることが、果たしていいものなのか疑問だった。「叱る」ことで、一時的に止めることはできる。そして、親としても、きちんと対応したという納得感が生まれて、その場はホッとできる。
ただ、また時間が経てば、同じようなことを繰り返すのだ。
次はもっと厳しく、言わなければ伝わらない。どんどんと、こわがらせるような言い方や、罰を示すような言い方を使うようになってしまっていた。そうして、言ってしまった後で、ずっしりとした罪悪感がこころの奥に残るのだった。
これでいいのだろうか。
思いあぐねていた時に、出会った本がある。
竹中直人著「〈叱る依存〉がとまらない」だ。
まず、ひとこと。
読んでよかった。出会えてよかった。
この本をきっかけに、子どもとの関わり方を見直すことができた。
今回は、この本の紹介をしていきながら、「叱る」ことについて、深く考えを巡らせていきたい。
● 「<叱る依存>がとまらない」の概要
本書は、臨床心理士・公認心理師である村中直人さんによって書かれて、2022年に出版されている。
紹介文として、以下のように綴られている。
叱らずにいられないのにはわけがある。
「叱る」には依存性があり、エスカレートしていく――その理由は、脳の「報酬系回路」にあった!
児童虐待、体罰、DV、パワハラ、理不尽な校則、加熱するバッシング報道……。
人は「叱りたい」欲求とどう向き合えばいいのか?
●きつく叱られた経験がないと打たれ弱くなる
●理不尽を我慢することで忍耐強くなる
●苦しまないと、人は成長しない……そう思っている人は要注意。
「叱る」には効果がないってホント?
子ども、生徒、部下など、誰かを育てる立場にいる人は必読!
つい叱っては反省し、でもまた叱ってしまうと悩む、あなたへの処方箋。
タイトルの<叱る依存>とあるように、「叱る」には依存性があることを指摘し、どうして人は叱ることをやめられないのか、その本質に迫る内容になっている。
「はじめに」のところで述べられている文章を引用させていただく。
知っていただきたいのは、<叱る依存>とでも呼ぶべき身近な現象です。「叱る」という行為には叱る側のニーズを強く満たす側面があり、人は、叱らずにはいられない叱らずにはいられない依存的な状態におちいってしまうことがあります。
(中略)
本書では、「叱る」という行為の本質を、科学の知見や社会で起きている出来事をもとに見つめ直すことで、<叱る依存>を回避するためのヒントをお伝えしたいと思っています。
日々、何気なく使っている「叱る」という行為。
叱る側や、叱られた側に、どういった影響や効果があるのか、ここまで深く語られたものはないと思う。それほどまでに、突き詰めて「叱る」のメカニズムや、その背景にあるものに踏み込んで書かれている。
ここからは、本書の中で、とくに心に残った箇所を紹介したい。
●この本からの学び
・「叱る」がよしとされる社会的背景
「なぜ人は「叱る」のか?」
の章では、叱らなければ周りから白い目で見られる、非難されてしまう、そういった社会的圧力が「叱る」背景にあると言及されている。
「なぜもっときちんと叱らないのか!」と責められてしまう状況は、子育てをしている人なら誰しも身に覚えがあり、「甘やかさずに叱るべきだ」という社会的な圧力を、一度ならず感じたことがあるのではないでしょうか。
叱らなければ、「甘やかしている」と周りに受け止められてしまう状況。
これは、私にも経験がある。周りの目が気になるから、「叱る」パフォーマンスを取る。
「しっかりと教育していますよ」
「ちゃんと対応していますよ」
と示すためだけの「叱る」であり、子どものことを思ってのことではない。そんな悲しいパフォーマンスを取ってしまう人は、私だけではないはず。
「叱らなければ、叱られる」
そんな世の中であると筆者は述べ、さらに「この裏側には、叱ることは大いに効果があり、必要なのだという認識があるはず」だとも続けている。
しかし、次には、驚くべきことが書かれていた。
それは、
「叱ることに大した効果はない」
ということ。
確かに、これまで子どもを厳しく叱り続けてきたが、これといった効果を感じられなかった。それどころか、問題行動は徐々に増えたようにも思える。だから、「効果はない」と断言されて、「叱る」にとらわれていた呪縛から、すーっと解放された心地がした。
・「叱る」が相手にもたらす影響と効果
「叱ることに大した効果はない」とすると、「叱る」がもたらす真の影響と効果はいかなるものかと続きが気になった。
その後は、「叱る」の本質に触れる内容となっている。
「叱る」という行為を理解する第一歩は、それが「他者を変えようとする手段」であると認識することです。さらに踏み込んで言うと、「叱る」という行為は、叱る側が求める「あるべき姿」や「してほしいこと」を実現するための手段です。
長男に対して、3歳になるまで、ほとんど叱ることがなかった。これは、「伝えてもまだわからない」言い換えると、「変わることを期待していない」からだったといえる。
だんだんと、理解できる年齢になって、こちらも「わかってくれるはずだ」と思うようになってくる。相手に対する期待が高まってくる。その期待が裏切られたとき、「叱る」という行為で、あるべき姿を実現しようとする。
このように俯瞰してみると、対等な立場で相手と向き合ってはおらず、コントロールする側、される側の対立関係にあるということがわかる。それだけでも、「叱る」行為の危うさを実感することができた。
さらに、筆者は、叱ることは「ネガティブな感情体験を与えること」だとし、その攻撃性がゆえに、相手の行動を思うようにコントロールしようとしているとも述べている。
ネガティブな感情体験が強ければ強いほど、コントロールの力も強くなる。けれど、それはあまりにも相手にとっての負の影響が大きい。相手にもたらす影響を考えると、どのくらい「叱る」ということが危険なのか、認識できるかと思う。
・「叱る」をどう手放すか
では、いかにして、「叱る」を手放していくか。
このことについても、あらゆる角度から言及されており、とても興味深かった。
とくに、
「叱る自分を叱らない」
という言葉が、心に響いた。
<叱る依存>の予防に必要なのは、禁止の発想ではなく、「徐々に手放していく」の発想です。必死に「叱る」を禁止して、言いたいことを我慢してしまうようなやり方はあまりうまくいきません。
確かに、これからいっさい叱らずにしてください、と言われたところで、そんな簡単にできる話ではない。我慢し続けて自分が壊れてしまうか、それとも抑え込んできた感情を相手に爆発させてしまうか、そのどちらかになってしまうだろう。
けれども、この「徐々に手放していく」という方法なら、取り組めそうだと感じた。
続く章には、叱るを手放すための具体的な方法や考え方が、細やかにわかりやすく示されていて、どれも実践的で取り組みやすいものばかりだった。
一気に全部は難しくとも、できるところから、すこしずつ取り組んでいけば、確実に、<叱る依存>から解放されていくように思えた。
●さいごに
知ることが第一歩。
今回、この本を読んで感じたことだ。
知らなければ、無意識で、無自覚のまま、「叱る」ことを続けていたと思う。
「叱る」ことの背景、脳のメカニズム、相手にもたらす影響、そういったことを初めて知ることができたおかげで、「叱る」行為に一歩立ち止まって考える余地ができた。
子どもたちと過ごす毎日。
子どもが伸びやかにこれからも育っていってほしいと心から願っている。
この本を読んだからといって、「叱ること」がゼロになったわけではないけれど、明らかに、子どもとの向き合い方が変わった。叱り方が変わったおかげで、「叱る」ことの罪悪感やもやもやが手放せた。
「叱る」ことに悩まれている親御さんに、ぜひ手に取っていただきたい本です。
ようやくすこし涼しくなってきて今日この頃。
秋の夜長に、いかがでしょうか。
🌙
こちらは以前書いた記事です。
今と考え方は変わってきているけれど、載せておきます。
マシュマロをはじめました。
育児でお悩みの方、お困りごとがある方。
ちょっとここでお話しませんか?
受け止めること、いっしょに考えることはできます。
どんなことでも構いません。気軽に書いてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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