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揺り椅子のゆくえ

暖炉の前、ゆっくりとまどろむ人。
前に後ろに揺れながら。
心地よいリズムに誘われて。

そのイメージはどこか安らいで見える。
時が止まった温もりの中で、永遠に憩っているよう。

悩みごとは、揺り椅子に乗っているようなものだと言われる。
前に後ろに揺れるだけで、どこにもたどり着かない。
「揺れる」ただそのただ中に留まるだけ。

だれにも、多かれ少なかれ、悩みごとはあるだろう。
揺れる。今日も明日も揺れる。
揺れることの中に、意味を見出すかのように。

悩むことを望まないなら、その揺り椅子から降りればいい。
座ることを選ばなければいい。
けれど、みな、簡単には降りることができない。

その椅子に、揺れる時間に、見出すそれぞれの光があるからだ。
人の内奥に静かに灯る何か。
それは、自分にしかわからない、かけがえのない大切なものだ。

手放す時が、ゆっくりと、いつのまにか訪れる。
霧が晴れたように視界がクリアになり、揺れていたものが
しっかりと止まる。

立ち上がって、歩き出す。
見つめた暖炉の火は、新しい生命力をわたしたちに与えて
未来を生きる力になる。




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神泉  薫 Kaoru  Shinsen  詩人・作家 よろしければ応援お願いします。いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!