三十三番土偶札所巡り -八ヶ岳美術館- 半円形ドームに抱かれる土偶たち
前回の記事、「 -尖石縄文考古館- さすが国宝!美しき土偶たち」の続きです。
茅野市尖石縄文考古館を後にして、5㎞程車を走らせて訪れたのは八ヶ岳美術館。
雄大な風景と澄んだ空気、カラマツ林に佇むこの美術館は、原村歴史民俗資料館を兼ねている、全国的にも珍しい村立の美術館です。
ここには、三十三番土偶札所巡り 三十番「恩膳 さんころん」、三十一番「前尾根 顔面装飾付釣手土器」が収蔵されています。
それでは早速、八ヶ岳美術館へ行きましょう。
ここが美術館の入口。
駐車場に車を停めて、
ここからは清々しい緑豊かな道を歩いていきます。

自然を生かしながらも、
手入れが行き届いている山野草を楽しみながら、
美術館までの長いアプローチを進みます。

清水多嘉示(しみず たかし)の作品。
彼の彫刻と絵画の寄贈を受けて、
この八ヶ岳美術館は開館しました。
清水は独学で絵画を学び、
地元で教鞭を取りながら画家を志し、
フランス留学などを経て活躍しました。
日本の美術界の発展に貢献した
彫刻家として知られています。

自然の大地を舞台に踊っている少女。

まるでキノコのような建物がたくさん現れます。

連続していくつも繋がっています。
いったいいくつあるのでしょう?

緑の長いアプローチから、
さりげなく建物へいざなってくれるようです。
自然との調和、
寒冷地の気候を考えた工法とローコスト
この連続半ドーム形の建物は、文化勲章受章者で日本を代表する建築家・村野藤吾(1891-1984) の1979年に完成した作品です。
村野藤吾の建築
東京の日生劇場(1963年)、新潟の玉翠園・谷村美術館(谷村美術館1983年)、広島の世界平和記念聖堂(1954年)など、全国各地にある建築作品は日本の数寄屋作りからRC工法等々、そのデザインや工法は多岐にわたり、しばしばモダニズム建築の巨匠・丹下健三と比較されます。
連続半ドーム形という、一見、奇抜とも思えるこの外観ですが、その発想は自然との調和、寒冷地特有の気候条件を考えた工法やローコストを実現しながらも、テクスチャーや色にこだわるといった建築的な工夫をこらす、一貫した村野建築の姿勢にあったようです。
カラマツの美しい林を損なわないように配置された建物は、工場で作られたプレキャスト・コンクリートを使いそれを現場で組み立て、現場での作業を少なくする事で、ローコストと工期の短縮を可能にしています。
さらに驚かされるのは、建物の中へ足を踏み入れた時。
その印象は一変します。

絞り吊り天井となっています。
重なりあったレースカーテンからこぼれ出る光が、
暖かくも華やかな雰囲気を醸し出しています。
玄関ホールから考古展示室を望みます。

40m以上の長さがある空間は圧巻です。
連続した半円形ドームは、
こんなに大きな空間を生み出していました。

カラマツ林に点在するブロンズ像が
見え隠れしています。
柔らかな不思議な感覚に包まれながら、
考古資料展示室の土偶に会いにいきます。
土偶札所巡り 三十番
「恩膳 さんころん」

仮面をつけた表現がされていることから、
実は本当の顔ではないかもしれません。
手足は失われているようです。
〝さんころん〝の名前の由来は分かりませんでした。
縄文時代後期 恩膳遺跡出土
土偶札所巡り 三十一番
「前尾根 顔面装飾付釣手土器」

釣手土器は、中に火を灯していたと考えられています。
縄文時代中期 前尾根遺跡出土

山道を修行して歩く修行僧の様に見えませんか?

とても不思議な感覚です。
静寂の自然に包まれて、
穏やかに揺らぐ光のドームに抱かれて、
ふわふわっとした柔らかい気分が漂います。
村野藤吾の建物も、
清水 多嘉示のブロンズ像も、
そして土偶たちも、
自然の中であまり主張せずに、
穏やかに、静かに、
この八ヶ岳に生き続けているようです。

展示パネルより
最後まで読んでいただき有難うございました☆
