#39 オーストラリア寮生活⑮|学校と寮のReflectionとは?罰則の仕組みと体験談
先日スレッズに「リフレクション(Reflection)」の話を書いたところ、思いのほか反響がありました。なので今回は、長男が通うオーストラリアの私立校で実際に行われている「学校」と「寮」の罰則制度についてまとめてみみようとおもいます。
日本の学校にも生活指導や居残りはありますが、こちらではもう少し体系化されていて、しかも「教育の一環」として組み込まれています。イギリスの伝統校では detention と呼ばれ、ハリー・ポッターにも登場していましたね。単に「罰する」というより、生徒に反省と学びを促し、豊かな学校生活を送るための仕組みになっているのです。
◆学校編:軽微な違反には「パストラルケア(Pastoral Care)」

①パストラルケア=日常のちょっとした違反が記録される仕組み
まず最初に出てくるのが「パストラルケア」です。これは比較的軽微な違反やミスに対して先生が発動する仕組みで、記録されると保護者にもすぐに通知が届きます。(呼び方は学校それぞれ違います)
対象になるのは例えば:
体育(PE)の授業で体操着を着ていなかった
宿題を忘れた
授業への遅刻
私語や喧嘩など授業中の妨害
こうした事例がオンラインに記録されると、寮生であっても親は子どもについてリアルタイムで状況を把握できます。
②Mathではアウト、Scienceではセーフ?宿題忘れの体験談
ただしこれは、先生の匙加減な部分も大いにあり、
長男の場合、
Mathの宿題:分からない部分を空欄で提出 → 「事前に先生にメールで相談しないと“やっていない”とみなすルール」があり、パストラルケア対象。
Scienceの宿題:両面印刷の片面しか気づかず提出 → 「わざとではない」と判断され、パストラルケア対象外。
同じ「宿題忘れ」でも、先生によって扱いが違うけど、先生も人間なのでこちら側が対応していくしかありませんね。
③「Uniform Pass」で救済!制服を正しく着用していなくても処分を免れるケース
また、服装に関しても「正しく着用する義務」があります。きちんと決められた格好をしていないと、もちろんパストラルケアの対象。
ただし、
スポーツで足を怪我して包帯を巻いているため、革靴が履けない
寮のクリーニングから制服が返ってこなかった
ジャケット着用期間なのに、売店でジャケットが売り切れになっている
など致し方ない場合は、学年主任や寮の先生から「Uniform Pass」を発行してもらえば違反にはなりません。長男も実際に「クリーニングから靴下が返ってこない」という理由でUniform Passを発行してもらったことがありました。
③Term1の2週間は“猶予期間”、慣れるための配慮
なお、1月にTerm1が始まって最初の2週間は「猶予期間」とされ、教室の場所が分からなくて遅刻、制服の着方がまだ分からない、PC操作に不慣れで宿題ができなかった、といった初歩的なミスはパストラルケアの対象外になります。新入生が環境に慣れるための配慮です。
◆学校編:パストラルケアがたまると「リフレクション(Reflection)」へ
①木曜放課後の居残り1時間、金曜には長時間版も
同じカテゴリ(宿題忘れなど)のパストラルケアが3回たまると、次の段階である「リフレクション」に進みます。
学校版のリフレクションは、いわゆる「居残り罰」です。
木曜放課後に1時間、監督の先生のもとで反省文を書いたり自習をします。
さらに繰り返すと金曜の長時間リフレクションが課されます。
②それでも改善しなければ…面談、停学、退学の流れ
それでも改善が見られない場合、学年主任・校長との面談、保護者呼び出しへと進み、最悪は停学・退学に至ります。
幸い、長男はまだ学校でのリフレクションを受けたことはないので、詳しくは書けませんが、詳しくはなりたくないものです(笑)
◆国際生の視点:サブクラス500(学生ビザ)と学校生活
国際生は Subclass 500 学生ビザ で学んでいるため、
出席率
学業の進捗
学校規則の遵守
が厳しく求められます。
そのため、学校のインターナショナルコーディネーターは国際生の出席状況、成績、そしてパストラルケアの記録を常にモニターしています。
長男がパストラルケアが重なったタイミングがあり、コーディネーターから注意メールを受け取りました。
そのときはびっくりして「そんなに厳しいの?」と尋ねたのですが、担当者からは「ビザ保持者には何かが起きてからでは遅いので、早めにリマインドしている」と説明を受けました。
国際生は、パストラルケアがたまりリフレクションになると、「アクションプラン」という、どう反省してどのように改善していくかというものの提出が本人から必要になり、そちらもモニターされていくようです。
◆寮編:日曜午前の「サンデー・リフレクション」

一方で、寮には学校と切り離された独自の罰則「サンデー・リフレクション(Sunday Reflection)」があります。
対象になるのは:
寮内での喧嘩
不適切な発言
寮の備品を壊した
携帯電話の不正使用(複数台持ち、浴室使用、時間外使用など)
など、寮の規律を守らなかったり、風紀を侵害した場合となります。
①Gating Notificationで親に即時連絡、制限時間が明記される仕組み
寮でリフレクションが発動されると、保護者にはすぐに 「Gating Notification(外出禁止通知)」 というメールが届きます。
そこには、
学校外の外出が不許可となる時間帯
寮外の外出が不許可となる時間帯
勉強すべき時間帯
寮のイベントにサインアップできない時間帯
この4項目が明記され、理由とともに通知されます。親としても「どの時間に何が制限されているのか」が即時に把握できる仕組みです。そしてスマホも没収されます。
②息子の場合:汚い言葉でリフレクションに
例えば長男の場合、寮の若いチューターにゴミをポケットに入れられたようで、とっさに汚い言葉を返してしまい、その場にいたハウスマスターからサンデー・リフレクションを科されました。
携帯は没収され、1日学校外への外出禁止。午前中は寮の勉強部屋で制服着用の上で勉強をすることに。
③携帯没収、勉強拘束…でも運用は柔軟
ただ、実際の運用は状況によって柔軟な面もあります。
Year7なのでそもそも一人で外出はできず、外出禁止の影響は少なかったようです。校内のスポーツジムや運動場には出かけられたそうで、このあたりはハウスマスターの匙加減かもしれません。もしかしたら、ゴミを入れてきたチューターにも非はあるので、情状酌量の余地があるとされたのかもしれません。(真実は聞いていないから分からないけど)
さらに、スマホ没収中に「Gatingは解除されたから学校外の教会に行ってくる」と寮の固定電話を借りて連絡をしてきました。本人が交渉したのか、先生が緩めに対応したのかは分かりませんが、学校全体で行われるリフレクションよりも寮のリフレクションは運用に幅があると感じています。
④最も重い処分って?
もちろん、ナイフの持ち込みや喫煙といった重大な違反は退寮処分につながります。寮を追い出される=(うちみたいな国際生にとっては)自動的に退学になるため、これは最終手段です。
そんなことはうちの子に限って起きるはずがない、というのが親心ですが、何をしでかすか分からないのも12歳男子。ボーディングに行かせたら「あとは親は知りません」ではなく、本人や寮のスタッフ、各教科の先生ときちんと連携しながら、学校生活を進めていきたいと思っています。
おわりに:親から見る罰則の仕組み

日本の学校でも「宿題忘れ」や「制服違反」で注意を受けることはありますが、通知が即座に保護者に届いたり、一定数たまると自動的に居残り罰に発展する仕組みはあまり見かけません。
また、寮生活ならではの「サンデー・リフレクション」や携帯没収といった処分は、日本の中高生にとっては新鮮に映るのではないでしょうか。
こうした仕組みを「厳しい」と感じるか、「教育的で合理的」と感じるかは家庭によって違うと思います。
私自身は、こういった仕組みはたった12歳の息子が自分を自分で律し、自分の頭で善悪を考えるトレーニングとなり、さらには「自分は学生ビザで学ばせてもらっている立場」という意識を持つきっかけにもなってほしいと考えています。
そのほかの寮生活に関することはマガジンにまとめています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
いいなと思ったら応援しよう!
応援ありがとうございます!
いただいたチップは、次の記事の取材や制作の励みにさせていただきます🌱