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二十代でロードスターRF 35周年記念車を買った話


ほんの少しの勇気

https://www.mazda.co.jp/carlife/classicmazda/story/6/

『このクルマを手に入れるほんの少しの勇気を持てば、きっと、だれもが、しあわせになる。』
もはや誰もが知っていると言っても過言ではあるが、この初代NAロードスターのキャッチコピーは発売から35年が経った今でも心に刺さるものがある。
NAの登場から26年後の2015年、4代目となるNDロードスターは、過去3世代と同様に『2人しか乗れないし、バゲッジもそうは積めない』クルマとなった。NCからNDとなり、より『小ぶりのオープンボディ、タイトな2シーター』感のあるライトウェイトスポーツカーとして登場した。
このクルマが多くのロードスターファン、そして自動車関係者を興奮させたことに間違いはないだろう。ここに書くまでもないが、数々の受賞歴がそれを物語る。
私もこのクルマに憧れ、『ほんの少しの勇気』を振り絞り契約書にハンコを押した一人だ。

スペックのはなし

クルマの――ではなく私の話だ。
タイトルの通り、私は35周年記念車を買った。それもRF。

そんな余裕がどこにある。二十代の若造がなにを調子に乗っているんだ。

という話だが、私はふつうのサラリーマンである。同年代の平均収入のちょうどど真ん中あたりの給料で生活しているいたってふつうの一人暮らしのサラリーマンである。食事は自炊と、週末のコメダでのモーニング。趣味はプロ野球とF1観戦、それからロードスター。

一言でいうと普通の会社員がロードスター全振りの生活をしているだけである。石油王でもなければ副業でコソコソ儲けているわけでもなく、ただ単純に狂気が理性を支配しただけである。面白くもない話で恐縮だが、本当に、ただそれだけだ。
当然自分でも思う。――なぜイケると思ったのか。
考えれば考えるほど、アホで無策でそのうち痛い目を見ることは容易に想像できる。もちろん貯金などない。銀行で金を借りることにしたが、今の世界経済を見るに――この先の自分の生活さえも見通せない人間が一体何を――随分と派手な立ち回りをしたものだ。
この、病気もしなければ自然災害に遭うこともなく、会社が潰れるようなこともなくこのまま淡々と、のうのうと生きてゆけることを前提としたアホムーブを、そうと知りながらブチ抜いてゆくことを決心できたのは、35周年記念車を買う前にすでに中古のNDロードスターを所持していたからだ。先に述べたように、私は既にロードスターに狂っている。

なぜロードスター?


透視図

フロントミッドシップにピュアエンジンを積んだFR車。
そう聞くだけで涎を垂らすことができる変態が、この世界にはいる。
だが、一般的にそのクルマの価値は決して高いとは言えない。なぜキャビンの空間を押しつぶしてまでエンジンの搭載位置を下げるのか。なぜ、より燃費のよいハイブリッドシステムを搭載しなかったのか。なぜFR、独立したプラットフォームで開発されたのか。なぜ2シーターなのか。
クルマは工業製品であり、人々の足である。生産の効率化、すなわちコストダウンは必至であり、共通のプラットフォーム、共通の部品を使用することが最も合理的な効率化への道筋となる。一部の高級車ブランドを除き、クルマは売れなければ作る意味がない。カッコイイクルマはコンセプトカーで十分だ。
そういう意味では、ロードスターは非効率もいいところである。だが、裏を返せば、そうでなければならない理由が明確に存在するわけだ。
それすなわち、前後重量配分を揃えたい。車体を軽くしたい。ハンドリングを軽くしたい。
この、全ては人馬一体の実現のため、走る歓びをダイレクトに感じ取れるクルマにするために、"効率的に"非効率な手法が取られてきた。そして、結果、売れに売れた。確かに、世にいうベストセラーであるとか、誰もが知っているクルマ、毎日目にするクルマといえるほど売れたわけではない。だが、「オープンモデルの2シータ」というパイが限りなく小さい世界で、その市場をほぼ我が物とし、販売台数のギネス記録を更新し続けていることはあまりにも有名だろう。それでいて利益率もよいという。

つまり、ロードスターはビジネスとしての大義名分を得ているわけである。売れるのだから作ってもよい。売れるのだから一般的にモデル末期ともいえる登場10年目に大幅な仕様変更——それも外観上の変化がほとんどない——が許される。何年かけて回収するつもりかわからないが、少なくともあと5年、40周年まではND型が販売され続けるだろう。(※個人の妄想につき云々)40周年モデルの限定色は一体なんなのだろうと既に浮気気味だが、ファイルエディションの発表までは35周年車に乗り続けるつもりでいたい。
話が少し逸れたが、このタイミングでのMCと「そこまでしても売り続けたい」というマツダの執念の奥にあるであろう意図を少し考えてみたい。
具体的には5年後、2030年を目標としてマツダが掲げている「オール電動化」が照準となる。

これはあくまで「電動化」であり、「純EV化」ではないというところに留意しておきたい。電動化とはすなわち、BEV、HEV、PHEV、FCEVに加え、マイルドハイブリッドの5つの手法が候補となる。
ロードスターにとってバッテリーという重量物の搭載はライトウェイトの要素をスポイルしかねない極めて危険な代物である。それゆえに、恐らくロードスター乗りの多くは「現状の技術でロードスターをEV化する」ことに反対するだろう。

――軽ければいいのか。
それはそう。

ロードスターがロードスターたるにはまず初めに軽くなければならない。
バッテリー技術のブレークスルーにより極端な軽量化が成功しない限り、ロードスターがEV化することはないと言っても過言ではない。なぜなら重たいロードスターは「売れない」からだ。なんども言うが、クルマは売れて(≒利益が出て)ナンボである。
つまり『5年後のNEロードスターにはマイルドハイブリッドが搭載される。』そう言い切るコタツ記事が既に存在するかもしれないが、あながち間違いではないかもしれない。少なくとも、ピュアエンジンを積んだロードスターはND型が最終モデルとなる可能性は非常に高い。
i-ELOOPだって回生エネルギーを使う電動化技術じゃないかって話はわかるけど違うそうじゃない
色々な規制もある以上、限界は近い。だから、買えるうちに買っておこう。まるで日用品かのようにロードスターを迎え入れるわけだ。

幌とRFって結局どっちがいい問題


ここまで軽さは正義かのように講釈垂れているが、私が買ったRFは幌(※現行Sグレート)より100kgも重い1,110kg。幌の車重が軽いだけに、100kgの増量はインパクトがある。10%の重量増と書くとがより重量差が分かりやすい。
ただ、1,110kgがスポーツカーとして致命的な重さというわけではない。ベンチマークになるGR86のRZグレートは1,270kgだという点は頭に入れておきたい。ともかく、重量については一旦置いておこう。

幌とRFの明確な違いはエンジン、それから外観。
エンジンは言うまでもないが幌が1.5L、RFが2.0L。共に直列4気筒のガソリンエンジン。排気量が違えば馬力もトルクも違う。一言でいえばRFの方が速い。
ただ、私にとってエンジンの違いはどうでもよかった。もっといえば1.
5Lエンジンを“使い切る”幌の走りがとても好きだった。確かに2Lエンジンは力強さがある。幌が非力と言いたいわけではないが、ゆったり走らせたいときに500ccの差はかなり効いてくるとは思う。その程度の認識だ。

そうなると必然的に外観上の違いが選択を分けたことになる。

そりゃあそうでしょう。なんですかあのエッッッッなルーフラインは。

ロードスターRF 35周年記念車


いや、それだけなら「RF、エロすぎる!!!」と叫びながら幌を永遠と転がし続ける変態のままだったが、運命かな35周年記念車の発表が全てを覆した。


雰囲気が良すぎる――

本当にただ一言それに尽きる。ありがとうマツダ。ありがとうアーティザンレッドの開発者。

もちろん、RFにおける走りのデメリットはいくつかある。重心点が上がることと、重量バランスが若干リア寄りになること。確かに“幌に比べたら”目立つ部分かもしれないが、大人な雰囲気の2シータークーペだと思えばそんなのデメリットでもなんでもない。むしろ車重が増えることでドッシリ感は増す。さらに言えば35周年記念車でサーキットを走ろうなどとは思わないし、峠道を飛ばそうなどとは思えない。乗るだけで背筋が伸びるクルマ、ドライバーの精神までも大人にしてしまうようなクルマ、ドライバーがクルマの雰囲気と一体化するという意味で、人馬一体の新しい解釈をもたらすこのクルマは、現代の自動車で唯一無二の存在と言って良いかもしれない。

全員ロードスターを買った方がいい

最後に。少しでもロードスターに興味があるならば、買え。とまでは言わないが一度試乗だけでもしてみたらいい。
世の中確かに“いいクルマ”はたくさんある。が、“いいクルマ”は総じて高価である。なぜなら手間をかけて“いいクルマ”に仕上げ、その開発コストを販売額として回収しているから。
もちろんロードスターの開発に手間がかかっていないとは全く思わない。それはもう血が滲む努力(エアコンフィルターを付けないとかね。)で重量を切り詰めたであろうし、RFに至っては車体サイズを変えずにルーフを収め込んだのは奇跡と言っていい。さらに言えばオープンエアーの感動はプライスレスだ。

そんなクルマが300万円台から手に入りますと言われ、興味を持たないクルマ好きがいようか。…いや、いるのは自由です。

ただ安いことには変わりない。そのうち絶対値上がりするって。だってNAの相場すごいじゃん今。

とにかく、その気になれば買える、ほんの少しの勇気があれば買えるこんな楽しいクルマがまだ日本にあるという奇跡をみなさんに共有したい。
そして20代のサラリーマンにだってロードスターを維持できるんだとこのnoteを通して伝えたい。

この文章が、悩める未来のロードスター乗りの背中を押すきっかけとなりますように。

おまけ~納期のはなし~

実はnote執筆時点(25年5月1日)ではまだ納車されていない。
契約したのは年明け早々の1月4日で、なんともう4ヶ月が経とうとしている。工場出荷の目安は1.5か月-2か月とされているのだが、いくらアニバーサリーエディションとはいえ4ヶ月の納期は長すぎる。
というのも、DSCユニット(横滑り防止装置)のソフトウェアに不具合がありユニットごと交換するため生産が止まっていた時期があったようだ。
そして交換用ユニットの納期と交換作業の順番待ちで気づいたら納車まで4ヶ月以上かかる状態になったというわけだ。
マツダは昨年ロードスターRFなどの複数車両での試験不正で出荷停止処分を受けていたことがあったという話は記憶に新しい。それを踏まえると不具合を放置しない姿は立派だと思う(あたりまえのはなし)

おかげでnoteを書く暇ができた。納車後の話や各カスタムパーツの話などは今後気が向いたら書いていこうと思う。

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