「エコーチェンバー」と「辛口の友人」
歳をとってくると、「境遇」や「考え方」などの似通った人間同士で集まることが多くなるものだ。
その中に異質な人が混じったとしても、場の空気を壊さないようにその人が配慮をしたり忖度をしたりして、あまり本音では語ろうとしないだろう。
結局、
「いつも同じような話合い」
「いつも同じような結論」
になってしまうのである。
最近、「エコーチェンバー」という言葉をよく耳にする。これは、
「意見や思想が同じ人々の中にいると、それが何度もくり返して共有され、強化されていく」
という状態を指す言葉だ。
閉じた部屋の中で音が反響する「エコー」にたとえたもので、直訳すれば「反響室」になるだろう。
この「エコーチェンバー」は、主にソーシャルメディアやオンラインコミュニティなどのデジタルプラットフォーム上で発生している。
SNSやWeb掲示板などの閉鎖的な場で、自分と似た考えや価値観をもつユーザー同士でのコミュニケーションをくり返すことで、自らの意見や思想が強化されていくのだ。
たとえば、特定の政治的立場を支持するグループ内で同じような意見が頻繁に共有されることで、その意見がますます正当化され、異なる立場の意見が除外されやすくなるのである。
こうした「エコーチェンバー」を回避するためには、多様な視点を受け入れようとする姿勢や、幅広い情報源にアクセスをしようとする努力が必要となるのだ。
・・・主にSNSなどを巡って話題になっている「エコーチェンバー」だが、現実の世界にも文字通りの「反響室」が存在する。
冒頭で紹介をした「年齢を重ねた人間同士のコミュニティ」もその一つだろう。
学校組織マネジメントに関する研究が専門の福本みちよ教授(東京学芸大学)は、学校運営協議会や学校評価に関わる者には、次のようなタイプが適していると語っている。
学校にとって「耳の痛いこと」を指摘してくれる「辛口の友人」
こうした「辛口の友人」の存在が必要なのは、私的なコミュニティであっても同じだろう。
西野カナの『Best Friend』の歌詞にこんな一節がある。
嬉しい時は自分の事みたいに喜んでくれて
ダメな時はちゃんと叱ってくれる存在
・・・「辛口の友人」こそ「Best Friend」なのかもしれない。
コミュニティの中にこういう「Best Friend」がいないのであれば、それは「友人」のせいではなく、受け入れる側に問題があるのだろう。
