意識の変容
手帳には時間という概念が詰まっている。
前のページを見れば過去を覗けるし、先のページを見れば未来のことがわかる。
いわば意識をタイムトラベルさせる装置なのかもしれない。
なーんて、よくわからないことをつらつらと書いてみたが、夏の暑さにやられて頭がおかしくなっているわけではない。
とにかく私は手帳というものが好きなのだ。
今日も自分の予定を書き込む。
できるかできないかは置いておいて、この書き込む時間が好きなのだ。
「手段が目的になっている!」と言われればそれまでだけど、そんなことはどうでもいい。
ただ、この時間が好きなのだから。
そしてその手帳を手に持ち、散歩をする。
すると突然、突風が吹いた。
私の手帳は脆く、すぐにページごとにバラバラになってしまった。
一つ一つのページを集めて、また手帳にまとめる。
すると季節が冬になっていた。
半袖でサンダルを履いている私は凍えるしか無かった。
急いで家に帰る。
手帳を見てみると、今日のページの場所に、半年後の日付のページが挟んであった。
もしかするとこの手帳のページを変えるだけでタイムトラベルしたのかも。
友達に、メッセージで「今雪降ってる?」と聞いてみた。
すると、「何言ってんの?真夏の暑さに頭が焼かれたのかしら?」と返ってきた。
どうやら私だけに影響しているらしい。
詰まるところ、この手帳自体が時間である。
実験で、一番最後のページの日に飛び、新しく手帳を買ってみた。
新しい手帳は、年月日を自分で書き込む形式のものにした。
試しに、100年後の今日の日付を書いて飛んでみた。
私は亡くなっているとばかり思っていたが、意識が分散していた。
100年後の世界では、自分の意識を切り分けて、好きな場所に保存しておけるらしかった。
私はどうやら、意識を最小限に切り分けて、たんぽぽの綿毛のように息を吹きかけて、世界中に散りばめたらしかった。
意識のチャンネルが次々に変わり、色々な景色を見れた。
そしてその日が終わり、元の日々に戻ってきた。
未来は意識がバラバラになっているんだね。
でももう身体は無く、世界と一体になっているような感覚でもあった。
不思議な感覚だった。
何か、自分が大きなものの中の一部であるかのような感覚。
でも今は、自分1人の身体の中に自分の意識が凝縮して存在している。
不思議な旅だったな。
現在と未来で、人間の在り方が根底から変革しているんだなと思った。
私は未来の一端を少し体感しただけだけど、怖さもあるけれど、もっともっと、未来を堪能したくて楽しみになった。
fin

