「ご自由にどうぞ」をやってみた
谷根千には、不思議な箱がある
仕事場のある谷根千(谷中・根津・千駄木)を散策中に「ご自由にどうぞ」の箱を見かけます。そのたびに、興味津々でのぞき込まずにはいられません。千駄木に仕事場を移して5年目、すっかりこの箱に親しんできました。
なかには文房具、食器、グラス、洋服、本など、さまざまなものが無造作に入っています。質の高いものが入っていることもあって、ユーズドにまったく抵抗のない僕は、気に入ったものがあればありがたくいただいてきます。
買おうと思っていた浄水器(しかも未使用)をいただいたときは、思わず「神か」とつぶやきました。「いつか僕たちもやってみたいね」と仕事のパートナーと話していたのですが、昨日、ようやく実行してみました。
コピー用紙の、ちょっといい話
仕事場の移転にあわせてコピー機を入れ替えた際、B版は使わないことが多いので、用紙カセットをA版サイズだけにしました。すると、B版サイズの用紙が数包み残ってしまいました。
メモ用紙として使っていたものの、B5が一包み、B4が4包み居座り続けました。このまま保管しても、いつかゴミ行きになる運命。「ならば、送り出してあげよう」と、初めて「ご自由にどうぞ」を実践することにしました。
POPを作ろうとしたとき、仕事のパートナーが「TAKE FREE」は英語として正しくないらしいよ」と一言。通じるんじゃないのと思いましたが、AIで調べた結果、「FREE TO TAKE」に決定。まあ、こういうのも楽しい。
谷根千には訪日外国人も多く訪れます。とはいえ、いくらただでもコピー用紙はいらないだろうと思いながら、11時ごろに入り口のツツジの脇に箱を設置。持って行きやすいように、ビニールの袋も用意しました。
「誰も持って行かないかも」と窓をそっと開けて待つこと30分、B5がひっそりと旅立ちました。さらに15分後、気づくとB4の4包みも消えていました。思わずハイタッチ、こんなにうれしいとは、正直思っていませんでした。
「ご自由にどうぞ」は、街の文化だった
「人が使っていたものを使うなんて嫌」「貧乏臭くてみっともない」、そんな風に言う人も一定数います。でも、実際に出してみる側に回ってみると、その意味はちょっと違うことがわかります。
余っていたものが誰かの手に渡る喜びというか、驚きがあります。お昼にパスタを食べながら、「メモ用紙かな、紙飛行機かな、子どものお絵描きかもしれない」と、二人であれこれと想像を膨らませていました。
以前、「ご自由にどうぞ」を地方の経営者に話したところ、「みんな車移動だから、難しいかもしれませんね」という反応でした。たしかに、歩いて街を行き交う人が多い谷根千だからこそ成り立つ文化かもしれません。
でも、お店や会社の前でやったらおもしろいのになあとも思います。この「ご自由にどうぞ」には、組織もルールも仕組みも必要ありません。「もったいないから、よかったらどうぞ」という気持ちだけが原動力です。
他の地域でもやっているのかもしれませんが、谷根千では「ご自由にどうぞ」が自然な街の風景であり、いつの間にか文化にもなっているような気がします。仕事場の整理にもなるので、来週は第二弾を実施予定です。
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