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テキスタイル大好き!│京都国立近代美術館

 いきなり余談からです。
 記事のタイトルは、よみうりテレビで1987年~1995年まで、子どもたちの長期休み(春・夏・冬休み)に合わせて関西ローカルのみで放送されていた『アニメ大好き!』という伝説の特番シリーズから。

 アニメもオタクも全く市民権を得ていなかった、インターネットがまだないテレビ全盛の時代に、超マニアックなOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション、当時の表記はOAV)を民放のテレビ枠で数日にわたって放送するという、いろんな意味で暴挙に出ていた番組でした(シーズン1~25、他にスペシャル枠もあり)。
 番組のオープニングとエンディングに当時流行りの80's、90'sの洋楽ポップスが使用されていたため、(ファンキーな洋楽を流す地方ラジオ、FM802の開局時期とも重なり)根暗なはずのアニメ好きたちが最新洋楽にハマるという怪現象が近畿地方でのみ観測されました。

 そして、この伝説は阪神淡路大震災とともに幕を閉じます。

 ちょうど私も小学生から高校生という多感な時期をこのテレビ番組と過ごし、ふつうに邦楽を聴いているクラスの同級生たちから余計に孤立していったという、ほろ苦い青春時代の思い出があります。

 記事を書くにあたって下調べしていたところ、プロデューサーさんご本人が当時の事を語っている記事をnoteに発見!!

 諏訪道彦さんご本人にとっても、思い入れのある企画だったみたいです。
 ぜったいに記憶に残る例の作品解説は、仁賀木三恵さんというスタッフさん(マジで?)が書いていたんですね。あれが良かったんですよね~。短いテキストであの切れ味、個人的には岡田斗司夫さんのYoutube動画を超えるくらいの評論だったと思っています。

 それでは、本題の美術鑑賞です。
 先日、どうしても観たい展覧会があって京都を訪れました。
 マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』をフィーチャーしたグループ展『日常と空想』。このためだけに九州から新幹線に乗って行ってきたのですが・・・・・・感想はノーコメント(怒り)です。

 私も『失われた時を求めて』を読んでいません(白状します)。でもね、この企画のキュレーターさんは、プルーストの名前を出す必要があったのでしょうか?

 さて、京都には行きたい美術館が色々とありますが、京都市内の移動は難解な市バスを乗り継ぐ必要があって、元関西人でも苦戦します。
 今回は『日常と空想』を最優先に道順を設定して、
京都国立近代美術館 ⇒ ギャラリー揺『 淀みに浮かぶ』⇒ 瑞雲庵『日常と空想』⇒ 千總ギャラリー『本と着物のあいだ』⇒ 美術館「えき」京都『エドワード・ゴーリー 秘密のメッセージ展』
の順番に回りました。

 なお、京都市内の移動は「地下鉄・バス1日券」が便利でお得です。
 
金額的にはこのパスを購入するか悩みましたが、乗り継ぎを間違えても大丈夫という余裕も生まれるため、1日パスはオススメできます!

 こういうスケジュールだったので、京都国立近代美術館には開館時間と同時に入館、コレクション展のみ鑑賞しました。

 まず、お目当てはポール・シニャック『サン=トロぺ岬』。各地の美術館でコレクション展を巡る楽しみの一つが、シニャック作品さがしなのです。
 他にも、見応えのある作品が目白押しでしたよ。

 その中で、一番インパクトがあったのは礒邉晴美さんの『地の襞』というテキスタイルアートでした。

 サラリーマン時代に繊維製品業界で働いていたので、実はテキスタイルが好きです。テキスタイルアートには独特のたわみや質量感があって、絵画作品とはまた違った魅力があります。
 こちらの作品は、鯖江良二さんのゴツゴツした陶芸作品との並びで展示されていました。その順番ではじめて作品を目にした時、一瞬本物の岩石かと見間違えました。

さ、さわりたい。

 絵画ではこういう描写の作品もありそうですが、タペストリーでこの質感を表現していることに驚きます。
 繊維という柔らかい素材で、こんなに硬質な(乾いた砂っぽい)テクスチャーを創り出している、そのギャップがたまらない作品です。
 あえてテキスタイルという技法を使うこだわり、作家の意思が伝わってくるようでした。

 同じく、コレクション特別展示で『加守田章二とIM MENをやっていました。気になっていた企画だったのでラッキーでした、テキスタイル系が続きます。
 三宅一生さんのブランドと陶芸家さんのコラボレーション。展示が格好良いという感じ。
(しかし、これで時間をオーバーしてしまいました。)

プロダクツにはプロダクツの価値がある。
アートではなく、ものづくり。
逆にそういうプライドを見せる展示なら、
もっと格好良いのにな~
つまり、陶芸作品⇒生地はいいけど、
肝心な、生地⇒服が・・・・・・
素人のたわごとです。

 ギャラリー揺では、テキスタイルアート作家さんの個展。
 在廊していらしたが、お知り合いの対応で忙しそうです。作品も素敵だし、コンセプトに興味があったものの、一般人の質問はあまり相手にされませんでした。
 久しぶりにアート界のヒエラルキーを感じて、次へ。

 瑞雲庵、遠かったです。次へ。


 京都国立近代美術館のすぐ近くにある細見美術館でも、着物がテーマの特別展をやっていたのですが、スケジュール的にあきらめていました。
 ところが、その後の(目的だった)グループ展に拍子抜け&時間ができたため、瑞雲庵から京都駅まで戻る道中で千總ギャラリーの『本と着物のあいだ』に寄ることにしました。

 千總は京友禅を手がける1555年創業の老舗です。ギャラリー展示を普通に見せていただいた後に、本店の着物を「どうぞ、見ていってください。」と言われまして。私、遠慮しないので、「いいんですか!?」って図々しく見せてもらいました。

 いつも通り、Tシャツにジーパンですよ。軽く一回りするつもりが、すごく丁寧な店舗スタッフさんが付きっきりで接客してくれます。京都って「本音と建前」の風習があるじゃないですか、内心怖かったです。
「こちらの生地、是非さわってみてください。」
「え、はい・・・・・・(さわっていいのか?)」
 百万円を超える反物で「仕立てませんか?」「ムリです。」のやりとりの後も、糸の撚り、織り、染め、刺繍などについて教えてくださるので、こちらもたくさん質問しちゃいました。

 昔は皆が着物を着ていたので、ギャラリーにあるような奇抜な柄で差別化をする粋もありました。現代は着物を着用する機会が少ないため、柄は古典に戻っています。それでも、千總は伝統を引き継ぎつつ、着られる方ご自身だけの着物を提案しています。とのことで、なんだか感動しました。
 老舗の貫禄からくる余裕とでも申しますか。お忙しい時間帯でなかったのもあるでしょうけれど、本当に和装の良さを広めたいというお気持ちが伝わってくる居心地良いご対応でした。

 最後は京都駅へ戻って、17時以降もやっている、美術館「えき」京都へ。絵本作家さんの『エドワード・ゴーリー 秘密のメッセージ展』です。
 かわいい絵柄なのに、ちょっと怖いお話。気に入ってしまい図録も購入♪

 こうして丸一日、京都の美術館・ギャラリー巡りを満喫しました。京都はまた行きたいですね。

 私はアートをリスペクトしています。
 こうして私は文章を綴りますが、言葉では表せない物事を、表現できる方法がアートだと考えています。言葉ではアートを超えられません。

 だからこそ、コンセプトでそれっぽい言葉をこねくり回して、そのくせ中身のないアート作品は、文章にも劣ります(言ってやった!)。
 文章も、アートも、内なる衝動のある者だけが表現者なのです。
 美術業界のヒエラルキーもごまかしも通用しません。残念なことに、中身のあるなしは素人鑑賞者にだって伝わるのでした。今回は、その明暗がはっきりと分かれた鑑賞体験でした。

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