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hiiro_archive153
⚪️企画作品|宝島
きみにはぼくの知らない過去があり、ぼくにはきみの知らない過去がある。
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だってまだ、出会ってさえいないのだから。
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だから今ぼくはきみにとっての過去を生きている。きみはぼくの未来を生きているんだ。
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ぼくらは出会った。と仮定してごらん。ようやく辿り着いたんだ。そう思ってみて。
海を越え、空を渡り、多くの敵を蹴散らして、そう、幾多の困難に勇者の足跡を残してきたのだ。まさに伝説級の冒険の果てに、空っぽの宝島でぼくらはぼくらを見つけた。お互いにね。
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さあ、それぞれの冒険を語ろう。
火を吐くドラゴンを退治したとか。ダンジョンからの脱出、悲しい別れやなんかについて。
生々しい現実、どうしても言葉にできない想いは譬え話にしたって構わないんだ。知り合いの知り合いってことにしたって誰も咎めやしない。
とにかくぼくらは、日が昇ってから沈むまで、見るべきものは海と空ってだけの丘で、まだキスをするには早すぎる。
ゆっくり、ゆっくり慎重に。
「ほら見て、アホウドリ」
きみが叫ぶ。
ああ、もうそれだけで好き。
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そうやっていくつもの太陽と月を、ぼくらは未来へと、未来へと遡っていく。
空っぽの宝島に家を建て、井戸を掘り、田畑を耕して、ねえこの木の間にハンモックを掛けようよ、そうねそうしましょう。
ぼくらはまるで後から拵えた幼馴染のようになって、そうしたら、いよいよキスをして結ばれよう。
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もしきみと出会ったら、必ずそうしよう。
(おわり)
🔵622文字

