⚪️企画作品|聖夜に見る夢
聖夜の翌朝、目覚めると見知らぬ女が隣でスヤスヤと眠っていた。
はいはいそのパターンね。
私は二度寝することにした。
***
二度寝してから気づいた。隣で寝ている彼女こそ私が追い求めていた理想の女性ではないか。うむ。考えれば考えるほどそうだ。
ああ、目を覚ましたい! 目を覚まして確認したい!
つるんとしたおでこ。小さく尖った鼻。むにゃむにゃ言いながら眠る唇。舞い降りた天使。しっとりした長い髪が乱れ、寝癖ギリ手前。いやフル寝癖。
かつてこれほど二度寝を悔やんだことはない。そしてむにゃむにゃむにゃ。
***
目を覚ますと私は「包み紙」になっていた。
いやこのパターンいらないでしょ! 変身パターン必要?
だが変身してしまったものは仕方ない。私は「包み紙」のまま彼女を探すことにした。
先ずは、根拠はないがニューヨークだ。私は道ゆく人に声をかけ、私の天使を知らないか、天使を見なかったかと訊ねて歩いた。ペラペラの体に12月の冷気はとんでもなく寒い。
するとひとりの大男が言った。
天使に会いたいって? おまえさん、ここをどこだと思ってるんだ? 西へ行け!
ダメだ、寝よう。
***
目を覚ますと私は「髭」になっていた。
勘弁してくれよ、と思ったが仕方ない。「髭」のまま彼女を探すことにした。
取り敢えず新宿に来てみた。理由はない。ついでに伊勢丹にでも寄ろうと思ったのだ。
歌舞伎町の女が言った。
その娘なら知ってるわよ。いつもカラオケでタンバリンを打ち鳴らす娘でしょう?
いや……どうかな。
いわゆる合いの手職人というかタンバリン職人みたいな娘よね。忘年会に引っ張り凧だから、今もどこかで踊ってるんじゃない?
シャンシャンシャン、シャラシャシャン!
礼を言ってパセラに向かおうとしたが酔っ払いが絡んできた。その男は狂気じみた目で「ホーホッホッホッ」と笑いながら私を奪おうとする。
ダメだ、寝よう。
***
目を覚ますと私は「グリューワイン」になっていた。
だよね。そうなるよね。
じゃあ行先はベルリンか。だがもし私が「ヴァンショー」なら──パリだ。ベルリンか、パリか、まあ何はともあれ成田に行こう。
どこかのCAが私を見つけて近づいて来た。寒いわねえと言いながらメッチャ私を見ている。まさか飲む気じゃないだろうな。
えっと、天使を見なかったかな。天使を探してるんだ。ベルリンかパリにいると思うんだけど。ぼくもそこへ行かなくちゃならないんだ。
それは残念ね。液体は持ち込み禁止だもの。
***
目覚めると聖夜の前日だった。
長い夢を見ていた。どこかちょっぴりおかしくて、それでいて心が躍るような、そんな夢だ。
今年はどんな聖夜になるのだろう。
まだ天使は舞い降りてない。けれどわずかな期待とワクワクは既にもらった気がする。誰から?──気の早いサンタクロースか。あるいは……
メリークリスマス。
(おわり)
🟡1224文字
この作品は羽さんというクリエイターさんとのコラボによって生まれた。
私が彼女にヒロインを描いて欲しいと依頼したことがそもそもの始まりだった。そして送られてきたのが「見出し画像」の女の子だ。
依頼は「破壊力のある天然のヒロイン」ということで、私たちの間では「爆弾娘」と呼ばれていた。そして、仕上がりを見た私の第一印象は「髪ボサボサだな」だった(笑)
そこで寝起きから始まる物語を考え……
***
下に彼女のイラスト専用アカウントを貼っておくので是非とも参照されたい。
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