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kosuketsubota
文学茶釜 (ショートショート)
私の茶道の師匠は茶道具を蒐集しており見せてもらいに行きました。由緒正しいお道具の中で一つだけ粗悪品がありました。錆びだらけの茶釜です。
師匠、なぜこれを大事にするのですか
こちらは文学茶釜と申しまして、この錆は前の持ち主、文士崩れの人間の涙が浸み込んだものです
どういうことでしょうか
文学を極めたくて書き続けていましたが形にならず、心を整理するためにお茶をたててもできずに、泣き続けたために錆だらけの茶釜になったものです
珍品ですが、正直師匠ほどの茶人が持つべきものではないと思いますが
いえ。それでお茶を沸かして飲むと不思議に良いアイデアが沸く。しかも小説が夢中で書けるようになります
なるほど、それを本にして儲けるのですね
いえ、必ず落選して茶釜の前で泣く羽目になります。錆がもっとつきます
それは単なる役立たずでは……
いえ、文を書く快感を得られます。お金なんかより夢中になれるものを持つ方が幸せでしょ。これはわたくしめの宝物です
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