老老介護のリアル #25 九州縦断の夜行列車とウイスキーのコーラ割り
◆眠れない夜行列車とコーラ割り
昭和48年5月17日
夜行列車の自由席は空いてはいるのだが、
俺にとっては中々眠れるものでは無い。
それでもウイスキーのコーラ割りで
誤魔化しながら睡眠を取るしかない。
南九州の最初の目的地である高鍋には、
早朝の5時30分頃の到着である。
眠い目をこすりながら、まだ寒さの残る
駅に降り立った。
駅前の水道で顔を洗って目を覚ましてから
早速行動を開始した。
まず、さきほど渡って来たばかりの高鍋鉄橋
へと戻って撮影の準備をする。
「上り貨物 C57」「下り貨物 C61」と連続で
遠くの山に朝もやが残る中を、蒸気機関車が
走り去って行く。
今日の海は静かだった。
次は宮崎寄りの鉄橋へ向かって2~3本撮影、
そして予定通り佐土原に向かった。
宮崎へ着いたのは午後一時を過ぎていた。
かの有名な大淀川の鉄橋で、残りの半日を
のんびり撮影して過ごした。
また夜間撮影をする為に機関区のある都城
へと向かって撮影することにした。
宿の布団で眠れるのは、まだ先の話だった。
宿泊費を浮かすのと時間を有効に使う為に
仕方が無いと諦めるしか無いのだ。
俺はどちらかといえば日本酒にしろ洋酒に
しろ滅法と言っても良いほど弱かった。
でもウイスキーをコーラで割って飲むのは
「スキ」なんだなぁ~!

◆田川線の69608は働き者だった。
昭和48年5月18日
「急行 みやざき」は、小倉に朝6時頃に
到着する。
そしてすぐ折り返して行橋6時53分発の
「423D」にて油須原へと向かうのだが、
この田川線を走るのは二度目になる。
この田川線の9600も、油須原駅を境に
して両側とも上り勾配なので、よく煙を
吐いてくれる働き者のSLなのだ。
そして、なおかつ後補機が付くので余計
撮影が楽しみである。
急いで撮影ポイントに行って三脚を構え
もう一台のペンタックスは手持ち撮影で
準備して待つ。
やがて69608号機が後補機を従えて盛大
に煙を吐き上げながらやって来る。
長い石炭運搬用の台車を長く繋げて
運び上げる様は、まるでエッサホイサ!
の駕籠かきみたいだ。
しかし、今日の撮影は午前中で終了して
切り上げなければならない。
というのも、これから熊本の水前寺まで
行く予定を立てているのだ。
それにしても、今日の雨はひどかった。
撮影している間中降り続き、撮り終わって
駅へ戻る頃になってから青空が覗いて
くるのだから‥
でも俺のSLに対する情熱を冷やすことは
無かった。
その後行橋から乗った「急行 フェニックス」
での道中は快適だった。
夕方16時頃には水前寺に到着して水前寺公園
で休憩、少しくつろいだ気分になれた。
二日続けて夜行列車だった疲れも、その静かな
景色を見ていると少しだけ和らいだ。
そして水前寺近くの宿に泊まったが、やはり
布団で寝ると身体が楽になる事を実感した。

◆高所恐怖症の俺でも撮れた
昭和48年5月19日
宿での朝食もそこそこに水前寺を出発、
7時58分の「733D」で高森線の始発駅
である立野に向かう。
C12型蒸気機関車がプラットフォームで
一息ついている所だったので、三脚を立て
まずは一枚記念写真を撮影した。
それから有名な白川の大鉄橋へと急いだ。
歩いて30分位はかかるだろうか‥しかし
線路上を歩けば20分位で行けるようだ。
ここは列車の本数が超少ないので線路上を
歩いても危ないという事は無いと思うが‥
やはり辞めておいた方が正解だ。
さすがに有名な場所だけあって、鉄橋の
上から下を見ると足がすくみそうである。
何とかして河原から撮りたいと思ったが、
危なくてとても降りられそうになかった。
下へ降りるのは諦めたが、鉄橋の上を
ゆっくり渡るC12の姿だけでも十分に
満足だった。
谷に響く汽笛だけは今でも耳に残っている。
次回
老老介護のリアル #26
高森線、ぬるい風呂と節約旅行
更に続く
