サイバーセキュリティに関する国内組織達(NISC,IPA,JPCERT/CC,NICT)
サイバーセキュリティに関して調べていると、色々な組織名が出てくる。今回は、その中から国内の代表的な組織を簡単に紹介してみたい。
🏢NISC(ニスク)
内閣官房サイバーセキュリティセンター
NISC:National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurity
常勤職員 約90名(2024年度から85人増員予定)
ただし、各官公庁や民間企業からの派遣者が多数含まれているとの情報もあり(派遣者はいずれ自組織に戻っていく…)。
2014年11月、サイバーセキュリティ基本法が成立しし、同法に基づき2015年1月、内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」が設置され、同時に、内閣官房に「内閣サイバーセキュリティセンター」が設置された。
・2000年 内閣官房情報セキュリティ対策推進室
↓
・2005年 内閣官房情報セキュリティセンター
(NISC:National Information Security Center)
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・2015年 内閣サイバーセキュリティセンター
(NISC:National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurity)
一貫して内閣官房にあり、時代とともに改組を行い、その役割を増してきている。
NISCの主な所掌事務は、サイバーセキュリティ戦略本部の事務局としての役割のほか、行政各部の情報システムに対する不正な活動の監視・分析やサイバーセキュリティの確保に関し必要な助言、情報の提供その他の援助、監査等を行うとともに、サイバーセキュリティの確保に関する総合調整役を担っています。
なお、総合調整をより適切に実施する観点から、2021(令和3)年9月に閣議決定したサイバーセキュリティ戦略において、情報収集・分析から、調査・評価、注意喚起の実施及び対処と、その後の再発防止等の政策立案・措置に至るまでの一連の取組を一体的に推進するための総合的な調整を担う機能としてのナショナルサート(CSIRT/CERT)の枠組みを強化することとされています。
主に政府機関に対するサイバーセキュリティ確保の助言や援助等を行うとともに、法案等を含めたサイバーセキュリティに関する統合調整役となっている。
直接企業に助言等している感じは無いが、官民連携演習等を実施したりはしている。
このnoteでも追いかけている、能動的サイバー防御について議論している「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議」の事務局もこのNISCがやっている。
日本のサイバーセキュリティ関連の方針を見ていくのならまずはここだろう。
なお、現在も改組に向けて検討中であり「内閣官房サイバー安全保障体制整備準備室」というのが立ち上がっている。
🏢IPA(アイピーエー)
独立行政法人 情報処理機構
IPA:Information-tchnology Promotion Agency , japan
経済産業省を所管の、国の政策実施機関。
職員数約620名(2024年7月現在)
※内、正職員(プロパー職員)は約220名
https://job.career-tasu.jp/corp/00080832/より
次の3つを事業の柱としている
・サイバーセキュリティの確保
JISEC等の認証や標的型攻撃への対応支援、サイバー情勢分析、情報セキュリティ白書の作成等を行っている。
・デジタル人材の育成
ITパスポートや基本情報技術者等の情報処理技術者試験(国家試験)を実施
・デジタル基盤の提供
アーキテクチャ設計やプラットフォーム標準の整備、エンジニアリング手法の開発等を行っている。
NISCと異なり、広く国民や企業等に対する啓発や支援、各種制度の運営等を行っている。国内のサイバーセキュリティ施策の実行役として幅広く活躍している。経済産業省配下であり、国からの委託金等により運営されている。
🏢JPCERT/CC(ジェーピーサート シーシー)
一般社団法人 JPCERTコーディネーションセンター
JPCERT/CC:Japan Computer Emergency Response Team Coordination Center
従業員数45人
https://info.gbiz.go.jp/hojin/ichiran?hojinBango=9010005006504より
日本国内に関するインシデント等の報告の受け付け、対応の支援、発生状況の把握、手口の分析、再発防止のための対策の検討や助言などを、技術的な立場から行なっています。特定の政府機関や企業からは独立した中立の組織として、日本における情報セキュリティ対策活動の向上に積極的に取り組んでいます。
JPCERTコーディネーションセンター (JPCERT/CC) は、技術的な立場における日本の窓口CSIRTです。
インターネットを介して発生する侵入やサービス妨害などのコンピュータセキュリティインシデント (以下、インシデント) について、 日本国内に関する報告の受け付け、対応の支援、発生状況の把握、手口の分析、再発防止のための対策の検討や助言などを、技術的な立場から行なっています。 主な活動は「インシデント対応」「脆弱性情報ハンドリング」 「インターネット定点観測システムの運用」「早期警戒」「国際連携」「アーティファクト分析」 「制御システムセキュリティ」「国内の関係組織やコミュニティとの連携」の 8つがあります。
成り立ちとしてCSIRT(Computer Security Incident Response Team:サイバーインシデント発生時の対応チーム)であり、各組織・企業等が組織するCSIRTの日本のまとめ役。外国のCSIRTとの連携も行っている。
活動資金の全体像についてはちょっと見ただけでは分からなかったが、経産省、総務省、内閣官房からの受託はしているようだ。

だが「特定の政府機関や企業からは独立した中立の組織」と自認するだけあり、NISCに苦言を呈する(!)※等、従業員数こそ少ないが、骨のある組織に思える。
※NISCにおいて、採用していたメールセキュリティ製品の脆弱性により、メールを盗み見られるというインシデントが発生した際に、NISCが情報発信に消極的だったことに対して、JPCERT/CCが苦言を呈したもの。(ブログ、ニュースリリース)
当時リアルタイムで見ていたが、その「仕事をもらっている相手だろうが、サイバーセキュリティについて言うべきは言う」姿勢に痺れた!
🏢NICT(ニクト/エヌアイシーティー)
国立研究開発法人 情報通信研究機構
NICT:National Institute of Information and Communications Technology
なお、正式な呼び方はエヌアイシーティーだが、一般にはニクトと呼ばれたりもする。
総務省所管の国立研究開発法人
職員数:1,446名(2024年1月1日時点)
https://www2.nict.go.jp/employment/researcher/nict.htmlより
ちょっとこれだけ毛色が違うので、紹介するかどうか迷ったが、一応紹介。
情報通信分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関。
他の組織と違って、研究に特化しており、施策や制度等のメインの担い手ではない。
NICT内に5つの研究所があり、その一つが「サイバーセキュリティ研究所」となっている。(他の4つは、電磁波研究所、ネットワーク研究所、ユニバーサルコミュニケーション研究所、未来ICT研究所)
大規模サイバー攻撃観測網を構築し、サイバー攻撃通信の観測を行うNICTERプロジェクトや、サイバー攻撃統合分析プラットフォーム“NIRVANA改”の開発等、面白そうなことをやっている。見た目にもこだわっているので、無駄に(?)格好いい。また、国内のインターネット上にあるIoT機器(ルータやネットワークカメラ)が脆弱な状態になっていないか観測し、危険が高い場合は利用者に注意喚起する「NOTiCE」という事業もNICTがやっている。
🫠感想
色々組織があって分かりにくい。役割分担はありつつも、被っている領域はあり、線引きが良く分からない部分もある。
組織により、色々な立場があり、温度感も様々なようだ。
法律や、監督官庁の縦割り等、色々な関係性があり、それらがサイバーセキュリティの確保の足かせになる状況に対して思う所もあるのだろう。基本的には、NISCが方針を決め、主にIPAが、一部JPCERT/CC、たまにNICTが実施する、というような感じだろうか。
NISCがサイバーセキュリティの総合的な調整をするといっても、経産省や総務省等、それぞれの領域を横断するような部分に対して、どれだけ指導力を発揮できるのだろうか。内閣官房って、省庁間のパワーバランス的にどうなんだろうか?本当に実効性を持っているのかは正直良く分からない。
本人たちがお互いをどう思っているのか、是非中の人に聞いてみたい。
これがベストの形かは正直良く分からないが、それぞれ経緯があって生まれ、今まで形を変えながら進化してきた組織達。是非それぞれが協力して、日本のサイバーセキュリティをより良いものに導いていってほしい。

