BLUE美術館 No.21
『沈殿するひかり、揺らぐこころ』

旅の記憶は、時間とともに輪郭を失い、
やがて出来事ではなく、感情として心に残っていく。
思い出そうとするたびに、景色はぼやけ、
その代わりに、あのとき確かに感じた“何か”だけが、
静かに、確かに、深く沈んでいく。
それは、消えていくのではなく──
心の奥底に、澱のように、光の粒として蓄積されていく。
そしてある日、ふとした瞬間に、
その光は波紋となって広がり、
いまという日常を、ほんの少しだけ揺らす。
理由はわからない。
けれど、確かにあたたかい。
記憶が感情へと変わるとき、
人は、過去ではなく「今」を、少しだけ優しく生きられる。
《FIN》
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