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高市早苗首相は、Xで
「深夜時間帯は明け方まで官邸から持ち帰りの資料読みや国会答弁資料読みに追われます」「風呂掃除、入浴、夕食、夕食後の洗い物、洗濯、簡単な掃除まででプライベートな時間は精一杯」とし「0時間~3時間睡眠が常態化」と発信した。何の自慢やねん、という印象だ。

中国の客室乗務員

もう40年ほどまえ、伊丹空港から中国行きの中国民航便(だと思う)に乗った。日本の航空会社と同じように「機内誌」が座席前に挟んであって、日本語の記事も載っていた。
そこには、航空スタッフたちがどれだけ献身的に仕事に尽くしているかが縷縷書かれていたのだが、今でいう客室乗務員、当時の言葉でいうスチュワーデスの某女性は、40度の熱があっても勤務を休まず、乗客のために働いた。また、別の女性は、様々な業務をこなすため毎日帰宅は深夜になり、早朝には勤務に出かけた。睡眠時間は2~3時間だが、それでも「お客のために尽くしている」と。
私は機内で立ち働く客室乗務員が、そんなフラフラの状態なのか、と心配になった。
当時の中国ではそれこそ「寝食を忘れて」お客に尽くすのが、最上の顧客サービスだと思われていたのだ。
しかし、それは40年前の日本の常識で考えても「異常な話」に思えたものだ。

雪印の社長

「寝ていない」と言えば、雪印乳業集団食中毒事件で当時の石川哲郎社長が記者団に追及されて「そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ!」と発言、記者が「こっちだって寝てないですよ!そんなこと言ったら、10ヶ月の子供が病院行ってるんですよ!寝てないとかそういう問題じゃないでしょう」と返した一幕が、そのままテレビで放送された。
これによって雪印の社会的イメージが一気に悪化し、その後「食品偽装」も発覚して、雪印グループは解体されるに至った。
この石川哲郎という経営者は「黄色人種は腸が弱い」などの問題発言もあり、経営者としては欠格だったとは思う。しかしこの事件も25年前のことだ。

今はタイパと自分のため

「夜の目も寝ずに働く」みたいなことが、あたかも「美徳」であるかのように言われたのは、昭和の時代。それも高度経済成長期のことだろう。
サラリーマンは「企業戦士」と言われて会社のために全身全霊をささげた。バブル期には「24時間戦えますか?」というCMがあったが、そういうのが「良い」とされたのはせいぜいバブル期までだ。
今は、「時間的な効率の良さ=タイパ」が良いとされる。やるべきこと、やりたいことをコンパクトに手際よくまとめて、さっさと次の仕事に移るとか、休養を取るとか、遊ぶとか、そういうのが格好いいし、仕事ができると評価される。
そもそも昔の「寝ずに働く」人は、会社や上司や、誰か他の人のために「自らの時間」をささげていたが、今の人は、仕事をするにしても、趣味に打ち込むにしても「自分のため」という意識が強い。
優秀な人は、どんな仕事でも「他人に言われてする」のではなく「自分事」にして主体的に取り組む。そういう人間でないと良い仕事はできない。

八幡市長との違い

高市早苗は私の1学年下だが「昭和頭なのだなあ」としみじみ思う。
彼女は、自身の支持者に対して
「日本初の女性総理になりましたが、どんなことも他人任せにしておりません。政治のことはもちろん、一家の主婦として家のこともしております。夫の世話もして、掃除もして、寝る間も惜しんで働いています、ああしんど」
とアピールしたのだ。
高齢の支持者は「えらいえらい」とほめてくれるだろうが、世間一般は「誰があんたにそんなことまで頼んでるねん」となる。
ちょっと似ているが、京都府八幡市の川田翔子市長は、現職の市長として初めて「産休」に入った。彼女の理屈は高市とは似て非なるものだ。
「市長という公職にあっても、女性一生の仕事である出産、育児ができないわけではありません。一人の女性、人間として産休をいただきます。でも後事を優秀な部下にしっかり託しますからご心配なく」ということなのだ。
これは「今風」で「しゅっとしてて」「恰好ええなあ」となるわけだ。
寝ずにいつまでも部屋の掃除をしているのとは、大きな違いだ。

熊本で地震

「毎日、禄に寝てなくて、大事件が起きたときに、ちゃんと判断できるんかいな」と心配の声が上がったとたんに、熊本で大地震が起きた。
大きな余震も続いている。後震の懸念もある。私は5月に久々に熊本に行って、きれいになった街や熊本城を見たが、再びの震災に胸が苦しくなる。
高市早苗は「寝てない自慢」みたいなしょーむないことをやめて、この震災に卓抜した手腕で立ち向かってほしい。



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