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「エクスパンション」しない、できない理由は山ほど考え付く日本人。

エスコンフィールドHOKKAIDOの建設が決まったころに、ヤフコメなどでは
「北広島なんて、電車が1時間に何本かしか止まらないし、お客を集めることなんてできない」とか
「駅から2キロも離れているけど、バスがないからどうするんだ」
みたいなことを訳知り顔で言う人がたくさんいた。
こういう人たちは「球場ができる」ことが「周辺を開発する」ことだということが理解できないのだ。

後ろ向きの人たち

NPBのエクスパンションの話でも、ヤフコメなどでは
「日本の人口が減っているのにプロ野球チームを増やすなんて考えられない」
「むしろ球団数を減らして1リーグにすべきではないか」
「田舎に球団を作ったって、人なんて来ない」
「そんなリスクがあるのに名乗り出る親会社なんてないだろう」
みたいなネガティブなコメントがたくさん出る。
多くの一般人が、こういう後ろ向きな考えだから日本は衰退するのだと痛感する。

プロ野球チームを作るとは

プロ野球チームを作るというのは、選手を集めて球団を作ることではない。球団を中心とした「新たな事業」を起こすことだ。地域を活性化して賑わい空間を作ったり、周辺ビジネスを創出したり、交通インフラを整備したりすることなのだ。
また今のプロスポーツは地元自治体や経済界とコラボレーションする。そういう形で地域全体の経済を活性化させていくのだ。
今、最も歴史が浅いプロ野球チームは東北楽天ゴールデンイーグルスだが、2005年に仙台市を本拠地としてから、街の姿は大きく変わった。私はそれ以前、ロッテオリオンズが本拠地だった県営宮城球場に行ったことがあったが、昭和の球場らしく建物は老朽化していたし、周辺にも賑わいはなかった。
しかし今、JR仙台駅から楽天モバイルパークへの道筋は、きれいに整備され、楽天のクリムゾンレッドのフラッグがはためいている。

地域の核となる事業構築

今、プロ野球の球団を設立するのは、地域の新たな核となる事業を構築するということなのだ。
少子高齢化、過疎化が進む地方にとって、球団が進出するのは、人口減少、産業衰退に歯止めをかける大きなチャンスになるのだ。
今年になってロッテ、ヤクルトなどの二軍施設が移転を決めたが、多くの自治体が誘致合戦をしてロッテは千葉県君津市、ヤクルトは茨城県守谷市に移転が決まった。また日本ハムは千葉県鎌ケ谷市から北海道に二軍施設を移転する方針を決めたが、多くの北海道の自治体が名乗りを上げている。
二軍本拠地であっても、移転してくれば地域は確実に潤うと自治体は考えているのだ。
プロ野球のエクスパンションの方針が発表されれば、おそらく政令指定都市、中核都市が名乗りを上げるだろうと思われる。

エクスパンションで伸びてきたMLB

この間JBPressに「エクスパンション」について書いた。

MLBは、アメリカでのシェアを拡大し、競合するプロスポーツとの競争に勝つために、1961年以降、エクスパンションを続けてきた。1960年に16球団だったMLBは、今30球団になり、観客動員は1960年の1991万人から1993年には7026万人に増えた。
どんな商売でも、事業を拡大するためには「商品数」「店舗数」を増やすことが重要だ。
MLBは、ビジネスの常道としての「拡張政策」をとってきたといえるだろう。それを主導してきたのがMLBの最高権力者であるコミッショナーだった。

非常勤コミッショナーに何ができる

しかしNPBは、1958年以来2リーグ12球団体制で来ている。この間に、多くの球団が身売りしたが、別の球団が継承して体制を維持してきた。
今、NPBは空前の観客動員を記録している。阪神タイガースのようにチケットが買えない球団さえ出てきている。
おそらくは、試合を見たいというファン=需要に対して、提供できるチケット=供給は、限りなく1に近づき、一部では機会損失も起こっているはずだ。
まともな経営者ならばこの機に「事業拡大=エクスパンション」を考えるはずだが、12球団経営者からはその話は出てこない。
彼らは「球団経営者」であり、球団のことだけを考えている。野球界全体のことを考えることはない。
NPB全体のことを考えるのはコミッショナーの役割だが、NPBの榊原定征コミッショナーは83歳。週に1回事務所に顔を出すだけの非常勤であり、とても大きな構想をすることなどできない。
であれば球団から「エクスパンションを」という声が出てもおかしくないはずだが、親会社の意向を受けたNPB球団の経営者は「自分の球団の経営」しか見ていない。勝手に「エクスパンションを」と言い出す経営者は、12球団には存在しない。
ヤフコメのコメンターと同様
「少子高齢化しているから」「地方に球団を作ってもうまくいかない」などと「できない理由」を並び立てるだけだ。

NPBには経営者がいない

経営者が、なぜ一般のサラリーマンより高い給料をもらって、優遇されるのか?それは視界にとらえている「時間」「空間」が違うからだ。
一般のサラリーマンは「明日の仕事どうしよう」と思い「所属部署での評価」を気にする。中間管理職は「月の売上どうしよう」と思い「部署の成績を上げたい」と思う。部長職は「年度予算をどうしよう」と思い「部門の業績を上げたい」と思う。しかし経営者は「5年先、10年先の会社をどうしよう」と思い「会社のシェア」さらには「業界全体の発展」を考える。
MLBのコミッショナーは「将来」のことを考えエクスパンションを断行し、シェアを拡大していったわけだ。まさに「経営者」だといえよう。
しかしNPBには、本当の意味での経営者がいない。自己保身に走る人ばかりなのだ。
そもそも「業績が上がっている」のに「守りに入る」「縮小均衡」を考えるなど考えられない。要するに「これ以上仕事が増えるのが嫌な」だけではないかと思う。
ヤフコメでしたり顔する人と、大して変わらないレベルの人がトップにいるのが日本プロ野球界の「不幸」だといえよう。


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