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プロ野球は2リーグ12球団でいい、という後ろ向き発想

日本の多くのプロ野球ファンにとって「エクスパンション」はかなわぬ夢になっているのではないか。
何しろ、1957年オフに大映スターズが毎日オリオンズと合併して、翌年に大毎オリオンズになって以降、実に68年間もプロ野球は、セ・パ各6球団、計12球団の体制のままだ。

この間、各球団のフランチャイズはいろいろ移転したが、基本的には東海道、山陽新幹線の沿線が中心。今も12球団のうち、楽天と日本ハムを除く10球団が、このエリアにいる。
もちろん、新幹線こそが日本の大動脈であり、経済の背骨でもあるから、そこにプロ野球チームがあるのは理にかなってはいる。

地上波ナイターが消滅して

しかし沖縄、南九州や山陰、四国、北陸など他の地方にはプロ野球チームは存在しない。つまり、この地域の人々は「プロ野球の試合を観に行く」ことが簡単にできない。
巨人一強時代は、こうした地域の人々はナイターの巨人戦でプロ野球を観戦し、他の地域の人々同様、プロ野球を「ナショナルパスタイム(国民的娯楽)」として共有していた。
21世紀以降、巨人戦の視聴率が10%を割り込んで、地上波全国テレビ局が、ナイターから撤退すると、プロ野球の本拠地がない地方の人々は、プロ野球へのアクセスの手段を失った。もちろんBS、CS放送は、連日プロ野球中継を放映しているが、こうしたマルチチャンネルは、視聴者が積極的に選択しなければ、見ることはできない。
かつてのように、晩ごはん時にテレビをつけると当たり前のように「巨人戦が流れていた」ような状況とは大きく異なっている。

小役人根性

NPBが、今後もプロ野球の市場拡大、ファンの醸成を考えるならば、エクスパンションしてプロ野球がない地域に球団を創設するのは、喫緊の課題だと思うが、NPB、そして各球団は全くその気がない。
それどころか、2004年の「球界再編」のときには、2リーグ12球団を1リーグ10球団にダウンサイジングさせようと考えた。
ここから見えるのは、NPB球団の経営者が「自分たちの目先の利益」の事しか考えていないと言う事実だ。球団経営者の多くは「親会社」からの出向や天下りであり、プロ野球に対する愛着はほとんどないし、野球界の発展を目指すような「使命感」も持ち合わせていない。
ひたすら「親会社の意向」を気にし、自らの任期を「無事に」「大過なく」やり過ごすことを考えている。
1年ごとの売り上げ、利益アップを考えることはあっても、プロ野球全体の「将来図」を構想して、そのために大きな手を打つことなど、考えるはずもない。口は悪いが「小役人」のような経営者が多かったのだ。

Jリーグのエクスパンション思想

その点、Jリーグは後発であり、プロ野球の牙城に迫って、スポーツ観戦するファンをプロ野球から奪うために、プロ野球にとっての「空白地」にクラブを設立するなどして、シェアを奪ってきた。Jリーグは1991年の創設時は10クラブだったが、今ではJ1,J2,J3あわせて60クラブにまで広がっている。
観客動員は創設年は300万人台だったが、今は1250万人。NPBがこの間ずっと2000万~2500万人なのと比べても発展の度合いがわかると言うものだ。
もちろん、今のJリーグは、強引なエクスパンションの弊害が出ていると言える。また「理念先行」のリーグ運営が、現実に即していないきらいもある。
しかしスポーツビジネスの発展を考えるなら、エクスパンションを常に考えるJリーグの姿勢は、極めてまともだと言えよう。

IT企業も守旧派に回る

NPBはエクスパンションに「消極的」というより「それを阻害したい」と考えている。「参入障壁」の高さに、それが見て取れる。
今、NPBに新規で参入するためには、以下の条件が設定されている。
 法人格:日本法に基づく株式会社であること。
 資本金:資本金が1億円以上であること。
 外国人持株比率:外国人の持株比率が49%を超えないこと。
 新規参入の費用:保証金25億円、野球振興協力金4億円、加盟手数料1億円。
ここから見えるのは「どこの馬の骨ともわからない連中は、入れてやらない」という強烈な縄張り意識だ。
プロ野球の経営ができるのは、エスタブリッシュメントだけ。「新興企業、ベンチャー企業は、しっしっ」なのだ。
それでも21世紀以降、ソフトバンク、DeNA、楽天とIT系の企業が球団を買収して親会社になったが、なったとたんに、他のNPB球団の親会社と足並みをそろえて「いい加減な会社は寄って来るなよ」と言い出しているのだ。
ギルドというか、利権集団というか、この内向きの姿勢が、NPBという組織を「硬直化」させ、発展を阻害している。
そしてプロ野球が保守的なために、野球競技人口の減少に歯止めがかからなくなっている。

MLBは投資の対象に


MLBではデレク・ジーターなど有名人が、仲間を募って球団の株を買収し、オーナーになるケースが普通にある。そして球団の価値を最大化して、転売するなどのケースがしばしばみられる。無能な経営者は、球団の収益を悪化して追放される。健全なビジネス環境が維持できていると言う印象だ。

とにかく、今のままでいい

そして日本の野球ファンの中には、頼まれもしないのに「セ・パ12球団」の現状を支持する層がたくさんいる。
「プロ野球は今のままでよい」
「これまでもこの体制でうまく行っていた」
そして、新たな動きがあると、難癖をつけるのだ。

日本ハムが札幌から北広島への移転の話があったときも
「あそこは列車の本数が少ない」
とか
「球場までの距離が遠い」
などという批判があった。
プロ野球球団という大きな事業所が、本拠を構えれば、周辺は開発されるし、交通インフラも充実するのだが、そういう想像力が働かないのだ。

「何でも今のままがいい」
「新しいことをして失敗しては元も子もない」
日本には、そういう後ろ向きで精神的に不健康な人がごまんといるのだ。

これ、野球だけでなく、日本の様々な分野の発展の阻害要因になっていると思う。

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