どうせ脱ぐからちょうどいい #noteでBL
月1のお楽しみがやってきました。
なみさんのBL小説企画です。
今回は偶然にも休みなのでたくさん読みに行けます。嬉しい。
と思って読んでいたら自分の記事をあげ忘れていました😇
はじまりはじまり~
(本文:3059字)
お待たせ。ここは今日も賑わってるね。うん、とりあえず飲み物注文しよっか。ビール? オッケー。じゃあ俺もそうしよ。すみませーん!ビール2つ!
今日こそは俺が先に着いていようと思ったのに、また君に先を越されちゃった。いつも早いよね。
俺? 俺は平気だよ。カフェっていうか、うちは昔ながらの喫茶店。馴染みの常連さんがほとんどで、みんなモーニングやランチ目当てだから店は19時閉店だし。
え? 店に来たい?
嫌だよ。だっさい制服姿の俺なんて見せたくないし。そんな顔したってだめだからね。それよりなんか食べ物頼もうよ。俺お腹ぺこぺこ。そうだなぁ今日は……
あ、おすすめメニュー「秋の味覚! 秋刀魚」だってさ。まだ暑いから秋って感じではないけど秋刀魚いいよねぇ。あとは君をもっと太らせなきゃだからカロリー高めの……
なんでもいいだって? まったく、いっつもそれなんだから。
「お待たせしました! 生ビールでーす!」
きたきた。すみません、追加で秋刀魚とこれと、これも追加で。はい、どうもー。よし、じゃあお疲れ!
くぅぅ。やっぱ労働の後にはこれだよね。それにしても君、初めて会ったときよりもいい感じの体型になってきたね。あのときはガリガリでさ。いくら忙しいからって、やっぱりちゃんと食べなきゃだめだよ。ここまで肉がついてきたのは俺のおかげだね。
「ちょっと、くすぐったいよ」
あははっ、ごめんごめん。ここで泥酔した君を俺が介抱したときが懐かしいなぁ。どれだけ飲んだのかと思ったら、冷酒1合も飲んでないのに歩けないほどフラフラだったもんなぁ。
寝不足だった? 本当かなぁ?
でも、まさか翌週にまた君がここに来るとは思わなかったよ。しかも「一緒に吞みませんか?」なんて言われるなんて。おとなしそうな見た目なのに、案外積極的だよね。一目惚れなんです! って初めて言われたよ。
「けど、本当に楽しく呑んだだけだった」
それはほら、俺は意外とそういうのちゃんとするから。初回はまともに会話してないし、君、見るからに不健康って感じの見た目してたし。まずは俺好みの体型になるようにちゃんと食べさせないとね。
「言い方……」
ははっ。でも今は顔色いいし、標準体型? て感じで本当に健康になったよ。よかった。
「失礼しまーす! おすすめメニューの秋刀魚でーす」
旨そー! ほら食べなよ。俺は君が旨そうに食べてる顔を見るのが好きだからさ。
あれ? 顔赤いけどもう酔った?
こんなに隙だらけだと心配になるよ。そうだ。君にぴったりの面白い話を教えてあげる。知り合いから聞いたんだけどね、仕事で遅くなったサラリーマンが終電で帰った日の話。
駅を出て歩いていると、道に男性が倒れていた。すぐに近づいて声をかけたら、相手が返事をして目を開けた。するとサラリーマンは一瞬で心を奪われた。その人はとても美しい姿をしていたから。でも相手は体調が悪そうだ。サラリーマンは
「救急車を呼びましょうか?」と訊いた。すると
「大丈夫です。いつもの発作なので。しばらく休めば動けます」と返事をされた。
そのまま放っておくわけにもいかずサラリーマンは、
「すぐ近くに私の家がある。体調がよくなるまで休んでいってください」と言った。相手は
「じゃあ、発作が収まるまで」と申し出を受けた。
ひと晩休んで歩けるようにはなったけど、男性はまだ顔色が悪かった。
「ありがとうございました。もう大丈夫ですので」
「まだ顔色がよくない。病院へ行ったほうがいいですよ」
だけど男性は首を振る。
「病院は嫌いだから行けません」
なにを子どもみたいなことを言っているんだ。サラリーマンはそう思ったけど、同時にこうも思った。
「それならいっそ、良くなるまでここにいればいい」
たぶん、サラリーマンには多少の下心があったんだろうね。男性は戸惑ったけど押し切られてしまった。身体が回復するまで、という約束で。
そのサラリーマンは忙しい人だった。早朝に家を出て帰宅はいつも深夜、休日は寝るだけの生活。それが男性のおかげで一変した。家に自分好みの美しい男が待っていると思うと居ても立っても居られず、仕事を早く切り上げるようになった。
「あ……おかえりなさい」
「これは?」
「勝手にすみません。おいてもらっているだけなのが申し訳なくて」
「いや、すごいよ。すごく旨そうだ」
男性は料理が上手だった。それまでサラリーマンはコンビニ弁当やカップ麺ばかり。みるみるうちに肌つやがよくなり、健康的になった。
「なんかお前、最近仕事の調子いいよな。全然残業もしてないし」
「まぁな。守るものができて、俺は生まれ変わったんだ」
同僚からは驚かれたが、心身ともに快調で仕事も順調。サラリーマンは幸せだった。
そうして何日か経ったころ、男性には発作がおきなくなっていた。
「もう体調は良くなったみたいだな」
「はい。本当によくしていただいて。ありがとうございました」
「なぁ、考えていたんだが……このままずっと傍にいてくれないか?」
その提案に男性は驚いたけど、ゆっくり頷き瞳を微かに潤ませた。
「お前も同じ気持ちだったのか」
サラリーマンは嬉しさのあまり男性を抱え、そのままベッドへ連れて行った。
早く、早く一つになりたい。
シャツの上から体の細いラインをなぞると興奮が高まった。こんなに理想的で美しい男がいるなんて。上から順番に服を剥いでいき、下半身に手を伸ばすと動きが止まった。
「どうしたんですか……ああ、さっきシャワーを浴びて……そのままパンツを履き忘れてしまったみたいです」
ああ、まさか。お前はそのつもりで。
どうしようもなく可愛い奴だ。
サラリーマンは我を忘れ、目の前のごちそうを貪った。
だけどそれから、そのサラリーマンを見た人はいないらしいよ。なんでも、気に入った人間とセックスして精気を吸い取り殺す、淫魔ってやつなんだって。相手の理想の姿で現れて懐に入り込み、自分好みの人間に育てたところでがぶり。怖いよねぇ。だからさ、君も気をつけたほうがいいよ。
ええ? これは本当にあった話だよって……聞いてる?
ビール1杯しか飲んでないのに、もうかなり酔ってるよね。今日はお開きにしよっか。
「やだ」
なに? この手。
君の手ひんやりしてて気持ちいいね。ま、そんなに熱く見つめられると悪い気はしないなぁ。仕方ない……じゃあ、行こっか。
うわ、暑い。この時間でも外は蒸し暑いなぁ。
「こっちに……ホテルがあったはずだから」
やっぱり君って積極的!
そんなに引っ張らなくても逃げたりしないよ。
あ、ここ? ふーん。綺麗な所だね。部屋?
好きなのでいいよ。はいはい。エレベーター乗ろうね。
「なんか、いつも通りだね」
そんなことないよ。今から君と楽しいことするって考えるとさ、やばいくらい心臓が動いてる。さあ、降りるよ。えっと……あ、ここだ。へぇ。部屋も広くて綺麗だね。
「シ、シャワー浴びてこようかな」
緊張してるの? 大丈夫、必要ないよ。ほら、ベッド行こ。
はい、服脱がすよー。ばんざーい。わぁ。本当にいい感じに肉がついたよね。ちょっとお腹がつまめそう。これは脂がのってちょうど食べごろかも。夏の間に育てた甲斐がある……あははっ、怒んないでよ。
え? 俺も脱ぐの? はいはい、よいしょ。
「え?」
ん? なに? そんなに見られると恥ずかしいなぁ。
「ち、違うよ。下着履いてないから……びっくりして」
ははっ、そうだよね。履いてなかったらびっくりするね。でも、なんでだろう。自分の獲物と交わるときは、いつもパンツ履き忘れちゃうんだ。どうせ脱ぐからちょうどいいんだけどね。
終
淫魔は夢魔(むま)とも呼ばれ、夢に理想の姿で現れ人間を誘惑する悪魔です。
基本的に男性には女性型のサキュバス、女性には男性型のインキュバスが現れるとされています。
中世のヨーロッパ、キリスト教信仰の中では性に関する多くのことが罪となったようです。
だから、
なぜ性的衝動に駆られるのか→悪魔の仕業
という考えが出てきたのだとか。
聖職者が不貞を働くのはサキュバスに誘惑されたから、若い女性が妊娠したのはインキュバスに孕まされたから
いい訳に便利そう〜!
超簡易説明ですが、今回はその悪魔を少し拝借してみました。
今回も楽しいお題でした。
なみさんありがとう……
創作のモチベ神……
