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自殺だらけのこの社会で、自殺遺族の私が生きる意味を真剣に考えてみた

拝啓:最愛のおばあちゃんへ


2020年冬に新型コロナウイルスが流行ってから、多くの有名人の自殺をニュースで耳にしました。恋愛リアリティーショーに出ていた方。有名俳優や有名女優の方。日本での一般人の方の自殺の数も増えているといいます。このような悲しいニュースを目にする度、私には忘れられない人がいるのです。それは私が高校生の頃、東北大震災の2日前に紐と松の木で自ら命を絶ってしまった私のおばあちゃん、あなたです。


亡くなった日、早朝に家に電話がかかってきて、私たち家族は急いであなたの家に向かいました。警察の方が何人かいて、事件性がなかったのか調査されていたのを覚えています。顔面蒼白のおじいちゃんの顔や泣き崩れる親族たち。


私は信じられませんでした。あそこに横たわっているあなたが二度と目を覚まさないことを。もうあの体に魂が宿っていないことを。すぐには顔が見られませんでしたし、触れることも出来ませんでした。


あなたが亡くなる前日に炊いた米で作ったおにぎりを食べながら、涙が止まりませんでした。もう一度あの優しい笑顔で笑いかけほしかったのです。なんで死んでしまったのですか? なんで自殺なんて一番悲しい方法で命を終わらせてしまったのですか? 


心の中で何度問いかけても、返事が返ってきたことはもちろんありませんでした。あなたを責めようにも、もうあなたはこの世にいないのです。私は今でも、松の木を直視することはできません。


あなたがまだ生きていたら、とふと考えることがあります。何をしゃべったでしょうか。


あなたはお母さんの学歴を誇りに思っていましたが、私はお母さんより偏差値の高い大学に進学することができました。弟は浪人して、さらに私よりも高い偏差値の大学に進学しました。田舎でしか人生を歩んでこなかった私が、アメリカに留学して、色んな多様性を肌で感じて経験しました。大学で初めての彼氏も出来ました。無事に社会人になれて、お給料をもらいながら社会に貢献しています。3年前に結婚もしました。


話したいことなんて、正直星の数より多いです。でももう、あなたに会うことも話すことも、二度と叶わないのです。


あなたが亡くなってから、私は人間が生きる意味について考えるようになりました。人って、いつかは死んでしまうものなのに、なぜ生きているのでしょうか。「自殺がいけないこと」はこの世界の共通認識な気もしますが、苦しいことのほうが多いこの世界で、なぜ自殺はいけないことなのでしょうか。


何となくいけないことなのは分かりますが、明確な理由を述べよと言われるとすぐには思いつきません。神は乗り越えられる試練しか与えない? そんなの嘘です。そんなの綺麗事です。あなたは乗り越えられなかったから自殺したのです。


エジソンとか村上春樹とか、この世に革新的な発明や創作物を生み出せるのなら生きる意味はあるのかもしれませんが、大多数の人はそんなすごいものを発案せずに一生を終えます。じゃあその大多数の人にとって生きる意味っていったい何なのでしょうか。思考の無限ループにはまってしまって、中々抜け出せませんでした。


もしあなたに、そしてあの頃の自分に会えるとしたら、ぜひ渡したい本があります。それは「宇宙兄弟」という漫画の24巻です。 宇宙飛行士になることを夢見て叶えていく兄弟とその周りの方々のお話です。私は宇宙兄弟の大ファンで、アニメも映画も全て見ました。結構高価な公式グッズも買うことがあります。大好きな漫画です。


24巻を購入し、職場から家に帰る電車の中で読みました。24巻の後半のページで、子供だった主人公が恩師に「人は何のために生きてるの?」という質問を投げかけます。ああ、誰もが人生で一回は生きる意味を考えるんだな、とほっとしたことを覚えています。恩師はその質問に、こう返すのです。


「私が思うに、そんなつもりはなくても人はね、誰かに“生きる勇気”を与えるために生きてるのよ。誰かに勇気をもらいながら」

宇宙兄弟 24巻


このページを見た瞬間、電車の中で読んでいたのにも関わらず、涙が溢れてしまいました。前や横に座っていた方に驚かれました。涙をこらえようと思っても、こらえられないのです。次から次へと、涙が出てきて、止まらないのです。そして思いました。あなたが亡くなってから抜け出せなかった思考のループを、やっと抜け出せたと。


この24巻があなたの生きていた時に発売されなかったことが悔やまれます。漫画一つであなたの命が救えたのかは定かではありませんが、でももし生きていたころのあなたに会えたとしたら、わたしは迷わずこの本を差し出すでしょう。


あなたに会えなかったとしても、あなたの死に苦しんでいた当時の私に差し出したい本です。そして今「死」を考えている方に、誰かの「死」に心を痛めている方に差し出したい本です。


人は、誰かに“生きる勇気”を与えるために生きているのです。私も、これから誰かに“生きる勇気”を与えるために生きていきます。あなたが生きられなかった分まで、生涯をかけて“生きる勇気”をたくさんの人に与えるのです。


そしていつか私にも寿命が来て、あの世であなたに再会するとき、私は言うのです。「おばあちゃん久しぶり。私はおばあちゃんが生きられなかった分まで生きて、たくさんの人々に“生きる勇気”を与えたんだよ」と。それまでどうか、お空から暖かく私のことを見守っていてください。今年も、またお墓参りに伺います。


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