日本語を扱う側の真意
舞台公演などの挨拶で、俳優達がよく口にする言葉として「誠心誠意、心を込めて演じます」とある。本当にそう思って言っているのかどうか、訝しく思っている。儀礼的なものなので便利だから使っているのか。どちらにしても、この言葉が使い続けられていることに違和感を感じている。
本当にそう思って「誠心誠意、心を込めて演じます」を発しているなら、この言葉にどんな意味が含まれていているかを考えるべきだ。理解した上で確信的に使っているなら、質の問題になる。あえて蓋は開けないけれど、俳優が口にするにはあまりに軽率な言葉のような気がする。損なわれている重要なものが見えてくる。
儀礼的なものとして発言しているなら、人の心を動かすに値しない言葉としての代表格であるから(心の姿勢を言葉に変換して説明する行為。へりくだり。このような言葉は文章語にも非常に多い)控えるべきだと感じる。具体性がどこにも見当たらない。
意図して芯を喰わない言葉。
内容よりも他の何かを優先していることが何となく感じられるのだ。この「何となく」という印象を残すことが日本語の特質である。俳優はそこに身を寄せてはならない。
