最初で最後のバンド活動
偶然の始まり
高校生のとき、放課後暇を持て余していた。
クラスメイトのバンドマンがスタジオで練習するというので、呼ばれてもいないのにくっついていった。
本格的な音楽スタジオに入るのははじめてで、入った時の興奮は今でも覚えている。
どこを切り取ってもかっこよかった!
何やら、近々ライブをやるので練習しているみたいだ。
当時はコピーバンドだったので、有名な楽曲だけの構成だった。
最初は、ベース触ったり、ドラム叩いたり、練習が始まるとなんとなくその場にいて音を聞いてた。
当時、バンド内ではギタリストがかなり凄腕で、ギターソロを生で聞いた時は「カッケー!!」の一言だった。生演奏の迫力に圧倒された。
暇すぎたのと、楽曲の中に知っている曲があったので、お遊びで1曲歌わせてもらった。
カラオケは好きだったが、生演奏で歌うことの緊張感と、爽快感は半端なかった。
予期せぬ提案
そしたら、メンバーの一人が言った。
「おまえライブで歌えよ!」っと。
ん???
何をいいだすのだ??
僕はちょっとこのノリがよくわからなかった。
ライブなんて考えたこともなかったし、そもそも僕はバンドメンバーでもない。
でも、おもろそうすぎる!
だから安請け合いした。
本格的な練習の始まり
そこから、音楽に本気のやつらとの時間が始まった。
練習は週に2回とかやってた。
あとは各々家で練習しているようだった。
僕は合計で6曲か7曲の歌詞の暗記が仕事だった。
やっかいだったのが、選曲が僕の普段聞いている音楽じゃないこと。
半分以上が初めて聞いた曲だった。
中でも DIR EN GREY 「残 -ZAN-」があったのだが、まじで苦戦した。
どう歌っていいのかまじでわからない曲だった。
なので、これだけは完コピを目指した。
ライブの日が近づくにつれ、僕は一人で後悔し始める。
シンプルにしんどいからだ。
困難な準備期間
毎日風呂場で歌って練習した。
歌を聞きまくって、オリジナルの歌い方を参考にしまくった。
でも、歌詞が覚えられない。
残り1週間となった時でまだ2曲ほど半分も覚えられてなかった。
「なんで安請け合いしたんだろう」と何度も思った。
体調不良?っとか頭をよぎるくらい。。。
でも、今更やめるわけにもいかない。
メンバーたちの真剣な姿勢はビシビシ感じていたから、半端なことは出来ないとも思っていた。
ライブ当日の緊張
不安が残る中、ライブの日がやってきた。
何を着たらいいのかわからなかったので、とりあえず下北で買った「3」っと胸に大きく入ったTシャツとジーパンで乗り込んだ。
心臓はバクバクだった。そもそもライブハウス自体が初めてなのだ。
ステージにたち、周りを見渡した。
更に緊張した。
観客席には知らない人たちがたくさんいる。
照明が眩しくて、客席の表情はよく見えない。
友達が前にいてくれたが、奥の方の人はまったく僕らに興味を示さなかった。
緊張が極限まで来た時、
もうしらん!やるだけやったる!
っと開き直り、ドラムから始まりのリズムが鳴り出した。
初めての拍手
ライブがスタートした。
緊張で声が震えるかと思ったが、むしろ今までで一番いい感触。
高音も低音も、身体よく動く。
歌詞を忘れるかもという不安もなかった。
特に歌ってて気持ちが良い最初の2曲目が無事終わったところで、チューニングのため少し間があった。
その時、奥の方からチラホラ拍手をもらえた。
き、きもちいいかも。。。
僕は今を最高に楽しんでた!
ノリすぎた結果
僕はノッてきた!
最後まで歌い切り、最高な気分だった。
ノリすぎてまさかのバンド名とメンバー紹介し忘れた。
いや、今思えばバンド名ちゃんと聞いてなかった気がする。
メンバーには紹介飛ばすとかありえないと楽屋で言われたが、僕は興奮が収まらずにいた。
潔い決断
バンドはメジャー目指して本格的に活動するようだったので、僕は引退した。
この決断も、今思えば僕らしい選択だった。
今回はサブボーカル&ギターとして参加していた、もともとのボーカルがいたし、音楽に対する真剣さにギャップがあったから辞めた。
でも、あの1回きりのライブは最高に気持ちよかった。
偶然を受け入れる勇気
人生には予期せぬ機会がやってくるようだ。
その時、「面白そう」という直感を信じて一歩踏み出してみる。完璧にできなくても、やるだけやってみる。
そこから得られる体験は、きっと人生の宝物になる。
僕の「最初で最後のバンド活動」は、たった1回のライブだったけれど、僕の思い出の中でもかなりお気に入りの宝物だ。
もうおっちゃんになったけど、偶然を相変わらず楽しむ傾向は変わっていない。
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