見出し画像

人生で1度だけ、足が震えた瞬間がある

21歳くらいの時の話。

その頃僕はフリーターだった。

地元の友達で夜の仕事をしている女友達がいて、いわゆる幼馴染というやつだ。

住む世界は僕とは違って、キラキラしていた。
でも、なんか仲は良かった。
信頼もされていたからか、本当に困ったときは助けて電話がかかってきていた。

主に、酔っ払いすぎてやばいみたいな連絡。
僕も毎回行くわけではないが、行けるときは行ってあげていた。

様子がおかしい電話

そんなある日、また女友達から電話が来た。
僕はもう寝ていて、たぶん夜中の1時か2時だったと思う。

当時はLINEというものが無いので、基本はメール。
急ぎなら電話しかなかった。

寝ぼけながら電話に出て、「どした?」っと半分寝た状態で応答。

しかし、電話の向こうではなぜか「なんでもねーよ!」「ばいばーい!」っと。

普通にイラッとした。
かけ直したが、今度は出ない。
更にイラッとした。

お陰でちょっと覚醒して、眠気が飛んでいる。
もう寝る!!っと決めて布団に潜り込んだ時、メールが届いた。

暗号のようなメール

しかも、短文で全部をつなげて読まないと意味がわからないような内容。
流石にどんな感じだったか正確にはわからないが、わかりやすく例えると

「やばい」「〇〇のコンビニ」「○時くらい」「きて」「おねがい」

こんな感じで、5〜6通に分けて送られてきた。

僕は一気に目が覚めた。
いたずらか?いや、このいらずらは面白くないから多分いたずらじゃない。
素直に怖くなった。

こんなん、完全に巻き込み事故だ。
でも。。。
今の状況で、助けに行けるのはたぶんぼくだけなのだろう。
放っておけないという気持ちと、怖いという気持ちの間でずっと心がざわついていた。

覚悟を決めて

とにかく情報が少ない。

でもやばい状況らしい。
この何が起きているかわからないところも恐怖を増幅させていた。

最終的に僕は、覚悟を決めて車に乗り込んだ。

SUVの車内灯のスイッチを切って、女友達に現在位置をメールして待機していた。

冷静でいようとすればするほど、恐怖がのしかかって来て、何度も逃げ出したくなっていた。

黒いセダンとの遭遇

しばらくして、1台の見るからにイカツイ雰囲気の黒いセダンがコンビニに止まった。

中から男女4人が出てくる。その中に女友達もいた。

男2人は、想像以上にイカツくて、僕はもう何もかも嫌になった。

コンビニに入ってバラけたと思ったら、女友達が小走りで僕の車に乗り込んで、「出して!」っと小声で言う。

僕は静かに車を発進させてしばらく目的地もないドライブをした。

女友達も怖かったのか、いつもと様子が違う。
僕は何も聞かず、恐怖からバックミラーを何度も確認した。

最後の恐怖

30分くらい走っただろうか。

大きな交差点で信号で止まり、もう大丈夫かなーと思った瞬間、交差点の左から右に向かってあの車がすごいスピードで横切って行った。

僕は心臓が止まるかと思った。

女友達は車に気づいていない。

黙ったまま、家まで送り、僕も無事家に帰宅した。

もう空は薄っすらと明るかった。

今思うこと

特別な武勇伝でもなんでもない。
ただ、一人でビビって、一人で安堵したという話。

でも、家から車を発進させるあの時の震えは忘れない。
手も震えていたが、足も震えていた。アクセルを踏む足が震えていた。

それでも行った。

今、振り返っても全然かっこよくはない。
でも、震えながらでも、逃げずに向かっていったこと。
恐怖を乗り越えて前に踏み出したことはよくやったっと褒めたい。

たぶん、特別正義感が強いというわけでもない。
ただ、いざという時は、苦悩しながらも頑張って前に行こうとする選択肢はあるらしい。

ここで考えたのが、他の友だちでも同じことを出来たか?だ。

考えてみたけど。。。やっぱりその時にならないとわからないなーという結論に至った。

いいなと思ったら応援しよう!

等身大のT-Pen 読んでいただきありがとうございます。 もしよかったら、チップで応援いただけると励みになります。 御香を炊き、心を整えながらnoteの記事を書いています。 いただいたチップは御香代として、今後の執筆に大切に使わせていただきます。