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イヤイヤ怪獣(2歳)の観察日誌 〜テンプレは存在しない〜

現在、我が家には一匹の怪獣が生息している。
その名も「イヤイヤ怪獣」。
年齢は2歳。
ご飯の色、靴下の柄、世界のあらゆる事象に対して「いや!」という断固たる意志表示を繰り返す、小さな怪獣だ。

育児書やネットには、この「イヤイヤ怪獣」の攻略法という名の「テンプレ」が溢れている。
僕はそれらの情報を元にいくつか試した。
そして、気づいた。
僕の息子という名のこの怪獣に、テンプレは通用しない、と。

これは、イヤイヤ怪獣に正面から向き合った僕の記録である。

プロローグ:観察者のジレンマ
正直に言えば、怪獣の「いや!」の咆哮に、僕の心のシャッターがガラガラと閉まりそうになる瞬間は一度や二度ではない。
「もう知らん!」と投げ出したくなる。

でも、ふと我に返るんだ。
一番近くにいる僕がシャッターを閉じてしまったら、目の前で全身全霊で「いや!」を表現しているこの怪獣のエネルギーは、一体どこへ向かえばいいんだろう?

そう思うと、僕は僕を保ちつつ、この怪獣の訴えを受け止める道を探さずにはいられなかった。
かくして、僕の個人的な「イヤイヤ怪獣・観察日誌」が始まった。

観察記録①:共鳴作戦
【試したテンプレ】
子供と一緒になってイヤイヤしてみる。

【観察内容】
息子が「いやー!」と叫びだしたら、僕も「いやだいやだー!」と駄々をこねてみる。
大人が本気でやれば、その馬鹿馬鹿しさに面白がってくれるかもしれない、という淡い期待を込めて。

【結果】
ただただカオスな空間が生まれた。
二匹の怪獣が「いや!」を叫び合う地獄絵図。
横目で見ている6歳の長男も苦笑い。
これは早々に失敗だと悟った。

観察記録②:全肯定作戦
【試したテンプレ】
子供の気持ちをすべて肯定する。

【観察内容】
彼の「いや!」を菩薩のように受け入れる。
「そっか、そうだね!いやなんだね!」と、彼の感情にひたすら寄り添う。

【結果】
息子の表情に一瞬「お、わかってくれるじゃん」という変化は感じられた。
しかし、何も物事が先に進まない。
永遠に平行線のまま。
これも、現実的な解決策とは言えなかった。

観察記録③:強制突破作戦
【試したテンプレ】
親が主導権を握り、強制的に物事を進める。

【観察内容】
時間がない時などにやってしまいがちな、いわゆる「最終手段」。

【結果】
火に油を注ぐとはこのこと。
怪獣のイヤイヤのギアは一気にトップギアに入り、これまで以上のエネルギーで抵抗してくる。
これはやっぱりダメだった。
僕の心も、彼の心も、ささくれだつだけだ。

観察記録④:地蔵作戦
【試したテンプレ】
嵐が過ぎ去るのを静かに待つ。

【観察内容】
何も言わず、ただ彼のそばにいて、その様子を観察する。

【結果】
これも意外と悪くはなかった。
彼の感情の波は一時的に収まる。
しかし、こちらが何かコトを進めようとすると、即座にイヤイヤモードが再発動。
これもまた、平行線だった。

観察記録⑤:奇襲作戦
【試したテンプレ】
変な顔や動きで笑わせて、気を逸らす。

【観察内容】
彼の意識を「イヤ!」から「面白い!」に逸らす。

【結果】
打率としては2割かよくて3割くらいだろうか。
うまくいく時も確かにあった。
でも、確実性には欠ける。
ただ、これまでの中では一番いい線いっていた気がする。

観察記録⑥:意識転換作戦
【試したテンプレ】
全く別の話や遊びに誘導する。

【観察内容】
イヤイヤが発動したら、まずは「そっか、いやなんだね」と少しだけ話を聞く。
そして、彼の好きな絵本の話をしたり、お気に入りのおもちゃで遊び始めたりして、彼の意識が別の方向に向くまで、とにかく一緒に遊ぶ。

【結果】
これはほぼほぼうまくいっている。
打率は6割から7割といったところ。
もちろん、気持ちの切り替えには時間がかかるので、サクッとはいかない。
でも、一度彼の意識が「楽しい」に切り替わってしまえば、そのあとはさっきまでのイヤイヤが嘘のようにスムーズに進むことが多い。

観察日誌のまとめ
この6つの試行錯誤を通して、僕は一つの結論にたどり着いた。

イヤイヤ期に、万人に共通する「テンプレ」なんてものは、どうやら存在しない、と。

大事なのは、目の前にいる我が子が、今どんな状態で、何を求めているのか。
それを僕自身のアンテナで感じ取ろうとすることなんじゃないか。

僕が試した6つの方法は、ある意味で、僕のアンテナの感度を調整していくプロセスだったのかもしれない。
「その6」がそこそこうまくいったのは、それが僕の息子の今の状態に、たまたま周波数が合っただけなんだろう。

そう考えると、イヤイヤ期って、子供が親を困らせるための期間なんかじゃなくて、親が「テンプレ」という幻想から自由になり、自分自身のアンテナを信じるためのトレーニング期間なのかもしれない。

「OK.OK、今はそういう感じね」と、目の前のカオスを受け入れて、その上で「じゃあ、僕にどんな選択肢がある?試してみて面白そうなことはある?」と自分のアンテナに耳を澄ます。

ちなみに、現在進行形でまだ絶賛イヤイヤ期だ。
試行錯誤を続けていこうと思うが、おそらくこの観察日誌に、完璧な攻略法が書かれることはないだろう。
でも、僕のアンテナの感度が上がっていく記録にはなるはずだ。

僕はこれからも、この小さな怪獣とのカオスな日々を、僕なりのアンテナを頼りに、ちょっと強引かもしれないが、目一杯楽しんでみようと思う。

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